ワンコインで効果がある本(18)自滅はしたくない と思ったとき「自滅する企業」

    自滅する企業 エクセレント・カンパニーを蝕む7つの習慣病

    ジャグディシュ・N・シース(著者), スカイライトコンサルティング(訳者)

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    ミカド電装商事(株)の沢田元一郎です。今回は、公私ともども自滅はしたくないもんだな〜と思ったときに読みたい本「自滅する企業 エクセレント・カンパニーを蝕む7つの習慣病」をご紹介します。

    ベストセラーへのアンサーブック?

    実はこの本が出版された2008年をさかのぼること5年前の2003年 カリスマ経営コンサルタントのトム・ピータースのベストセラー「エクセレント・カンパニー」が同じ英治出版から販売されています(しかも訳者はあの大前研一)

    この本はエモリー大学ゴイズエタ大学院で長年教鞭をとるジャグディッシュ・シース(シェスとも)による「おごる平家は久しからず」といいますか

    せっかくエクセレント・カンパニーに成長したのに やがて自滅が訪れる

    というビジネス界の諸行無常を幾多の実例をひいて分析したスマッシュヒットとも言える名著です

    勝ちに不思議の勝ちあれど 負けに不思議の負けはなし

    あの野村克也さんも こうおっしゃってましたね

    だいたい人はすぐ それが成功への近道 と言わんばかりに 成功事例を知りたがりますが

    成功に至るには数々の偶然が必要であり 成功者と同じことをしてみても成功するわけではありません

    実際に成功者の周りには同じことを試した失敗者の死屍累々なわけで その差を分けるのは失敗を避けることができたかどうか

    (この場合 何もしないから失敗しない というのは除きます これでは偶然すら訪れず 成功もしないわけですから)

    ですから必然的な失敗に至る道をいかに避けるか が実は成功への近道ではないか と私はそう思うのです

    企業を自滅に導く7つの症状

    この本では企業を自滅に導く7つの症状として

    1)現状否認症・・・神話、定石、正当という呪縛

    2)傲慢性・・・成功により思い上がりが生じる

    3)慢心症・・・過去の成功がいつまでも続くと誤解する

    4)コアコンピタンス依存症・・・コアコンピタンスに頼りすぎ 環境適応が遅れる

    5)競合近視眼症・・・身近の競合と争っているうちに 思わぬ伏兵が現れる

    6)拡大強迫観念症・・・成長の限界を超えた挑戦

    7)テリトリー欲求症・・・縦割り組織内の縄張り争い

    を挙げ 実際の国際企業で起こった数々の事例を紹介しています

    登場するのは ゼネラルモーターズ ゼロックス モトローラ ソニー などなどの名だたるグローバル企業

    また企業ではありませんが 政府の保護による成功と挫折の事例として「日本株式会社」も紹介されています

    事例のあとには具体的な症状と なぜそうなってしまうのかの詳細な分析と治療法が続き

    各章末ごとの2ページにまたがる 「診断書」で「発症のきっかけ」「主な症状」「治療法」をとてもわかりやすく教えてくれています

    中小企業にも当てはまる

    この本を読んだ当時 最初こそ 総身に知恵がまわりかねる おマヌケな巨大企業のお話しだと 面白おかしく読み進めていた私ですが  そのうち段々と背筋が寒くなってきました

    だって それぞれの診断書の「発症のきっかけ」「主な症状」は 自分がこれまでやらかしてきたことか やらかしてしまった知人の経営者たちに当てはまるものばかりだったからです

    • 「我々は違う」症候群・・・競合で起きた問題が自分にも起きると思ってなかったが ちゃんと起きた
    • 意思決定を急がない・・・「考えてはいるんですけどね」などといっている間にチャンスをのがす
    • 顧客の忠誠心が消えた・・・お得意様がサービスに飽きて いつのまにか他から買っている
    • 販売への依存・・・営業力の高い幹部が抜けたとたんに業績が悪化した

    いかがです?

    皆さまの会社でも 少なからず当てはまることが 起きた経験があるんじゃないですか?

    予防は治療にまさる 人間と一緒

    「自滅的習慣を断ち切るためには、企業も人間もまず自覚する必要がある。各章に示してきたように『主な症状』を認識して『そうだ、私のことだ』と納得するところから始まるのだ。(P358)」

    最終章の「予防は治療にまさる」では 企業も人間の健康管理と同じように「自覚が大事」と著者は主張しています。

    最後はトップの力?

    最終章のおわりとなる「最終考察」で著者は 人間の平均寿命は伸びているのに 企業の平均寿命が縮まっていることから 予防や治療の難しさについて触れています

    そしてIBMやGEのように自滅的習慣から立ち直った企業の例から ルイス・ガースナーやジャック・ウェルチのような非凡な経営者による「先行経営」があればそれが可能 と結論付けています

    が・・・

    そんなに都合よく非凡な経営者がそこら中にいるわけではないですよね?

    もちろん これをお読みの皆さんは非凡だと思いますけど

    体質改善指導付き

    ご安心ください 著者のシース教授は最終ページに 「体質改善指導ー健康な組織を育成し、会社の寿命をのばすための予防策」として7つの症状に対する予防策を教えてくれています

    例えば 傲慢性には

    • 傲慢の落とし穴を絶えず指摘してくれるプロのエグゼクティブ・コーチを持つ
    • 個人が露出する広報活動を制限する
    • 誰か一人が絶対的な権力を持たないように 抑制と均衡のプロセスを確実に定着させる

    と言った具合です

    トップの力=認識力

    私は自分のことを非凡な経営者だとは思っていませんが この本にあるように

    今日うまく行っていることが 明日にはうまくいかないかもしれない

    という認識を持つことは 仕事でもプライベートでも非常に重要だな〜 と考えています

    とても簡単なことなんですけど なぜか忘れてしまうことです

    (ミカド電装商事(株)代表取締役会長 沢田元一郎)

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