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オススメの理由
・なぜ人間だけがパンツをはいているのかがわかる
・なぜ人間だけが同じ種同士で殺し合うのかがわかる
・なぜ交換やお金が生まれたのかがわかる
・なぜおかしな法律や決まりが生まれのかがわかる
・パンツを捨てるとどうなるか?が少しわかる
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☆ヨーロッパや中東で悲惨な戦争状態にある国が存在する時期に、人が殺し合う理由を冷静に論じた本を紹介するのもどうかと思いましたが、「天国に行く一番の近道は地獄へ至る道を知っていることである」という箴言に従って、書かせていただきました。☆
今回おすすめするのは私が青春時代を過ごした1980年代にブームとなった「ニュー・アカデミニズム」略して「ニューアカ」ブームの火付け役になった栗本慎一郎著「パンツをはいたサル」略して「パンサル」です。
(「イカ天」「朝シャン」「ゴクミ」あの頃は何でも略していましたね)
著者の栗本慎一郎(この人もなんかサルっぽい)は、人間を動物100%の存在として分析したベストセラー「裸のサル(デズモンド・モリス)」に対抗して、「確かに裸のサルには違いないが、サルと違ってパンツという余計なものをはいているじゃないか? これをどう説明するのか?」という問いをたてます。
彼はフランスや東ヨーロッパで発達した「経済人類学」を足がかりに、元々の専門の法学や、歴史、民俗学などなどの知見を縦横無尽に行き来しながら、
「人間は他の動物とは少々違ったところがあって、パンツに代表される過剰を生み出し、それを使い果たす(蕩尽)することに喜びをもたらす生き物である」と喝破します。
本書の中では
お金・(生殖を目的としない)性的行動・神経症・法律・道徳
を「過剰な存在」つまりパンツになぞらえて、その謎に切り込んでいきます。
それぞれの過剰がどうして発生したのかは、本を読んでいただくとして、一番の課題である
「人間は知恵ある生き物」のはずなのに、殺し合いや戦争がどうしてもなくならない理由を
「人間はパンツは隠すためではなく、脱ぐためにはいている」から
つまり「パンツを脱ぐためにはいている間は、過剰に人口を増やしてそれを使い果たす戦争に喜びを感じているので、(残念ながら)なくならない。」と説明しています。
そう言われてみれば、
ずーっと守っていた決まりを破って無礼講のお祭り騒ぎをするとき。
時間をかけて完成させた砂のお城やパズルを壊すとき。
人殺しはいけないことなのに、ドラマや映画でヒーローがバンバン敵を殺すのを楽しんでいるとき。
ワタクシたちは、はいていたパンツを脱いでいるのかもしれません。
彼は最後に「層の理論」という、ノーベル化学賞の候補者でありながら、のちに社会学に転向したマイケル・ポランニー(経済人類学者カール・ポランニーの弟)の難解な理論を持ち出し、「内知」にたどり着きます。
「内知(暗黙知)」とは、経験的に使っている知識だが簡単に言葉で説明できない知識のことで、そこから「真理」にたどり着くときが、人類が「パンツ」を捨て去るときであることを匂わせつつ、この本は終わります。
正直、「内知」が何であるかはよくわかりませんが、なぜ人間は殺し合うのか?パンツの存在意義はなんなのか?を知ることが出来るだけでも、この本を読む価値は大きいと思いますよ。
☆「安心してください はいてますよ Don’t worry. I’m wearing.」「Pants!」
なぜ裸芸が世界で通用するのかも分かる気がしますね。