ブックオフで 550円(税込)
オススメの理由
・事実は国連などが発表している公式のデータから簡単に知ることが出来る
・世界はショッキングでネガティブなエピソードで埋め尽くされているわけではないことが分かる
・実は世の中がそんなに悪くないことが分かる
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最近気の重い事件やニュースが多くて気になりますよね。
もしかしたら、世の中はこれからどんどん貧富の差が激しくなったり、人口が増え過ぎたり、動物たちもどんどん絶滅して、未来はディストピア(暗黒世界)化していってしまうのでしょうか?
そんなときは、この本がオススメ。
ハンス・ロスリングはスウェーデン生まれ、国境なき医師団の一人として活躍した医師であり、公衆衛生の専門家であり、TED (テクノロジー、エンターテイメント、デザイン)の人気スピーカーとしても有名でした。
実は「ファクトフルネス」が刊行された時、著者のハンス・ロスリングはもうこの世の人ではありませんでした。
この本を息子オーラとその妻アンナと共同で執筆を開始して間もない2016年2月に、ハンスは末期の膵臓がんの宣告を受けてしまったんです。
彼は残された時間をどう生きるかを考え抜き、60以上の講演の予定や、テレビ・ラジオ出演、映画製作をすべてキャンセルし、この本の執筆一本に集中することにします。
しかし残念ながら、本の完成を待たず2017年2月にハンスはこの世を去ってしまい、オーラとアンナが、完成までの作業を行って、約一年後の2018年4月(日本語版は2019年1月)に刊行の日を迎えたのです。
本の題名にもなった「ファクトフルネス」とは「事実に基づく世界の見方」であり、その姿勢のことです。
ハンス達によると、世界は、多くの人々が考えているほど悪くなっておらず、むしろ、多くの分野で改善が進んでいるそうです。
一例をあげますと、第二次世界大戦が終わって世界が安定しだした1950年の世界の平均寿命は40歳ちょっと。
ではここでクイズ! 2017年の世界の平均寿命は?
一番多い答えは60歳だそうですが、実際には72歳です。
医学の進歩によって、子供の生存率が劇的に上がったことと、重病でも治癒が期待できる治療法が増えたことが、大きいようです。
データや事実にもとづき、世界を読み解くと、以下に記す10の思い込みに気づくことができると、本書は述べています。
1,「世界は分断されている」という思い込み
2,「世界はどんどん悪くなっている」という思い込み
3,「世界の人口はひたすら増え続ける」という思い込み
4,「危険ではないことを恐ろしいと考えてしまう」という思い込み
5,「眼の前の数字が一番重要だと」という思い込み
6,「一つの例が全てに当てはまる」という思い込み
7,「全てはあらかじめ決まっている」という思い込み
8,「世界は一つの切り口で理解できる」という思い込み
9,「誰かを責めれば物事は解決する」という思い込み
10,「今すぐ手を打たないと大変なことになる」という思い込み
これらの思い込みは、私たち人類が厳しい自然を生き抜くために長い時間をかけて身につけた10の本能の副作用だそうです。
1,分断本能
2,ネガティブ本能
3,直線本能
4,恐怖本能
5,過大視本能
6,パターン化本能
7,宿命本能
8.単純化本能
9,犯人探し本能
10,焦り本能
これらの本能の副作用で引き起こされる間違った思い込みも、昔は個人やごく小さな集団だけにとどまるものでしたが、メディアや政治家の発言、SNSなどで大きく広がりやすくなってしまったため、だんだんと放っておくことができなくなってきてしまいました。
人間はネガティブな情報に強く反応する傾向があるので、せっかく改善が進んでいることでも、正しく認識することが出来ないために、不幸な気持ちになってしまったり、間違った行動を起こしてしまう可能性があるからです。
でも、安心してください・・・はいてますよ じゃなかった・・・
ハンス達が作ってくれた「ファクトフルネスの大まかなルール」を肝に銘じておけば、そんな私たちも統計データや事実に基づいた情報を重視できると思います。
1,分断本能を抑えるには・・・大半の人がどこにいるか探そう
2,ネガティブ本能を抑えるには・・・悪いニュースのほうが広まりやすいとおぼえておこう
3,直線本能を抑えるには・・・直線もいつかは曲がることを知ろう
4,恐怖本能を抑えるには・・・リスクを計算しよう
5,過大視本能を抑えるには・・・数字を比較しよう
6,パターン化本能を抑えるには・・・分類を疑おう
7,宿命本能を抑えるには・・・ゆっくりした変化でも変化していることを心に留めよう
8.単純化本能を抑えるには・・・一つの知識が全てに応用できないことを覚えておこう
9,犯人探し本能を抑えるには・・・誰かを責めても問題は解決しないと肝に銘じよう
10,焦り本能を抑えるには・・・小さな一歩を重ねよう
本書はハンス・ロスリングさんのこんな言葉で結ばれています。
「事実に基づいて世界を見れば、世の中もそれほど悪くないと思えてくる。これからも世界を良くし続けるためにわたしたちに何ができるかも、そこから見えてくるはずだ。」
死期を目前にしてもこう語ることができる、彼の確固たる信念に心を打たれる方も多いのではないでしょうか。
毎日報道やSNSで悪いニュースは飛び込んできますが、「それほど悪くない」世の中が、もっとそれほど悪くない世の中になるよう、私たちもお互いがんばっていきましょう!
そんな気持ちになれる一冊です。
☆この本の冒頭に世界の事実に関するクイズが載っています。
どの質問もA・B・Cの3択なので、仮にチンパンジーにこのクイズを出したら、正解率はだいたい「3分の1」になるという「チンパンジークイズ」。
12問のクイズを解いて、あなたはチンパンジーに勝てるかな?
訳者の上杉周作さんがWEBにクイズを載せてくださっています。
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