形から入ってみるのも悪くないかも 「なりきり」のススメ

最近某ナンバーワン自動車メーカー、トヨタのテレビコマーシャルでも活躍中の香川照之さん。

もともと実力派の俳優さんでしたがドラマ「半沢直樹」で「倍返し」される役で大ブレーク。

歌舞伎役者としても市川中車の名で活躍しているそうですが、ボクシングにも造詣が深く世界タイトルマッチのテレビ解説もつとめています。

そんな多彩な香川さんがもう一つのめり込んでいるのは、「昆虫」の世界。

「草むらをみるとムラムラする」

とのことで、その幅広い知識で国立科学博物館で開催された「特別展 昆虫」では、“昆活”マイスター(オフィシャルサポーター)に就任するなど大活躍。

NHKのEテレでは「香川照之の昆虫すごいぜ」という冠番組を持ち、「カマキリ先生」の名で出演、全身カマキリの着ぐるみ姿のままで熱演しています(顔は出てます)。

私も割と昆虫が好きなので時々観ますが、捕虫網を持って草むらの中に着ぐるみ姿のまま飛び込んでいく姿を見ると、「カマキリになりきってるなぁ」と感じます。

きっと香川さんはカマキリになりきることで、昆虫の気持ちを知りたいんでしょうね。

実は、尊敬するものや好きなものになりきって学ぶ習慣は、日本古来のものらしく「学ぶ(まなぶ)」の語源は「真似ぶ(まねぶ)」から来ているとも言われています。

1300年前、日本の仏教界をリードした空海(くうかい)は、それまでお経の解釈中心だった考えから、いきなり古代インド語のサンスクリット語(梵語)でお経を唱えることによって一気に仏様の心になりきる修行法をひらきました。

(だから大半のお経は何を言っているのか解らないんですね)

いまでもJPOPの歌詞によくわからない(でも雰囲気は伝わる)英語が入っているのは、実はそんな歴史を持っているからだとか違うとか。

何を言っているのか分からないお経も、JPOPの歌詞も、一旦なり切ってやってみることで、実際の仏教や語学への興味がわき、その理解の助けになるんだとおもいます。

例えば、何を言っているのか分からない人への対処法として、一旦その人の立場になりきって考えてみることで、その発言や行為にいたった気持ちや理由の一端が理解できることがあります。

こうなると苦手だったその人への対処が一気に楽になります。

私たちは子供の頃、ママごとや、戦隊ヒーローごっごで「何かになりきる」遊びをしました(専門用語ではこれをミミクリーというそうです)。

あこがれの大人やヒーローになり切れるときもあれば、やりたくもない口うるさい親の役や、いやな悪役になり切らなければならないことも時にはあったと思います。

でもそんなことで私達は、自分とは違う人達への理解や共感を高めていくんじゃないかと思うんです。

苦手な上司、口うるさいお客様、めんどくさい親兄弟、言うことを聞いてくれない子供、一回その人になりきってみることで突破口が開けるかもしれません。

☆おまけ・・香川さんは『おかあさんといっしょ』(Eテレ)、『はらぺこカマキリ』の作詞を「カマキリ先生」名義で発表するほど、その世界では評価されています。

☆雑学のおまけ・・ミミクリー(模倣・ごっこ遊び)はフランスの哲学者ロジェ・カイヨワが遊びの4形態として分類したものの一つで、他にはアゴーン(競争・かけっこなど)、アレア(偶然・くじなど)、イリンクス(めまい・ぶらんこなど)があるとしています。