ワンコインで効果がある本(12)少しお金にくわしくなりたいとき 数字嫌いにオススメの歴史から学べる会計の本3選


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    今回は会計の基礎知識と世界史の大きな流れが身につく3冊をまとめてご紹介。

    私は会社経営の上でも「会計知識」がとても大切だと思っています。

    会社を経営するのには他にも、儲かるビジネスモデルとか、社員に気持ちよく働いもらうための知識、社会のためにどう役立つか、などの知識も必要ですが、会計の知識はクルマで言えば燃料計のようなもの。

    どんなに良いエンジンを積んでも、良いタイヤを履いていても、どんな素晴らしいドライバーがハンドルを握っていても、燃料(お金)のことを知らなければいいレースはできないのです。

    もちろん、お勤めの方でも、会社の仕事に、会計知識はとても役に立ちます。

    ご自身の会社が上場企業なら、公開されている株主向け財務資料を、上場してない私の会社のようなところでも、社員向けに公開されている大まかな会計の数字を読み解いて、会社の現状や向かおうとしている先も数字で把握できます。

    私も当社の社員から経営についての意見を言われることもありますが、やはり会計知識に裏打ちされた意見の場合は、たとえ耳の痛い中身でも、しっかり聞かせていただきます。

    また、お給料を有効に使って日々を有益に過ごしたり、未来に必要な財産形成や、自己投資を行う上でも、会計知識はかならず役に立つと思います。

    とは言うものの、会計学の教科書はもちろん、「やさしい会計」などのタイトルの入門書も「しきいが高いなー」、と思う人数字嫌いの人は多いんじゃないかと思います。

    もしかしたら、「会計がどうして生まれたのか」という歴史のお話からなら、私のように会計の知識を手にすることが出来るかもしれませんよ。

    そう、私は経済学部卒なのに、会計学の単位を取るのに2年もかかった数字嫌いの超文系人間なのです。

    今回そんな私からおすすめする、歴史から学べる会計のオススメ本は3冊です。

    数字ギライも世界史ギライも受け止めます 

    「会計の世界史  ー イタリア、イギリス、アメリカ ー 500年の物語」 田中靖浩

    ブックオフで770円  

    公認会計士事務所の所長でもある著者の本。

    各章が歴史を表す絵画と、内容を象徴する短い物語から始まるこの本は、お堅いイメージのある会計士さんが書いたとは思えないエレガントさと親しみやすさにあふれています。

    蒸気機関車や自動車、そしてビートルズにマイケル・ジャクソン

    世界史に特にくわしくなくてもご存知のモノや人と会計の深い関わりから、会計の役割を知ることが出来る万人におすすめできる本です。

    近世ヨーロッパの歴史にも詳しくなれます

    「帳簿の世界史」 ジェイコブ・ソール 村井章子訳 

    ブックオフで330円

    「ルイ16世はなぜ断頭台に送られたのか」という序章で始まるこの本

    太陽王と言われ、フランス絶対王政の頂点に立ったルイ14世が、財務総監だっだコルベールから年二回受け取っていた決算資料を廃止。

    やがてルイ16世の財務長官が秘密のベールに包まれた王国の財政を「会計報告」で国民に開示。

    そのあまりのずさんさ、不公平さに怒った、「第三身分」と言われる平民層の怒りを買い、革命に至る経緯をわかりやすく紐解いています。

    イタリアのメディチ家、スペイン帝国の興亡からアメリカ独立の成功まで、主にヨーロッパを中心とした会計の歴史について書かれているこの本

    またヨーロッパの絵画やディケンズの小説、そしてダーウィンの進化論にまで、会計学が文化に与えた影響について述べ、

    「歴史を紐解けば正しい会計が繁栄をもたらすのは自明の理、会計の無視やごまかしが、衰亡を生む」

    というのがこの本の基調です。

    自身で小さな会社を経営し、一応経営コンサルタントでもある私も「本当にそうだな〜」と思いますよ。

    やがて必ず来る「清算の日」、つまりキリスト教の「最後の審判の日」を迎えるためにも、会計に対する誠実な態度が重要であることで結んでいるのも、欧米人らしい切り口です。

    日本版特別付録として、編集部による巻末の「帳簿の日本史」もうれしい。

    ブロガーによるとんがった解釈が魅力

    「会計が動かす世界の歴史」 ルートポート著 

    ブックオフで660円

    会計士研究家/ブロガーを名乗るルートポートさんの本

    「文字よりも先に広義の会計が生まれた」「会計の必要から文字が生まれた」という先鋭的な立場の本です。

    メソポタミアで貸し借りの記録用に生まれた、パンや家畜などの形をした粘土製の小さなトークン。

    記録のために大量に必要だったトークンを節約するために、粘土板にハンコのように押して記録することで象形文字らしきものが生まれ、

    さらにハンコも不要になるよう、尖った棒で粘土板に刻み込む楔形文字が生まれた。

    と著者は主張しています。

    また文字を持たなかったインカ帝国にも、家畜の毛糸でできた紐状の簿記システム「キープ」があったことも、会計が文字より先だった根拠としています。

    (「キープ」はまだ解読が進んでおらず、10進法だったことくらいしかわかっていません)

    さらに、ルネサンス、フランス革命、産業革命、日本の産業化、ビットコインの今後

    ヨーロッパ・キリスト教的な的な考え方や絵画の見方も同時に知ることが出来る快著です。

    来春以降社会人になる方も、どれか1冊お読みになると、今後の人生変わる! 

    かもよ しらんけど(笑)