オススメの理由
・そうそうたる一流アーティストが出演して歌い踊る
・アメリカ人の宗教観がナニゲにわかる
・なによりテンポの良いお話と映像が楽しい
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今回は本の世界をしばし離れ、映画の世界にご招待・・・と言っても私はあんまり映画を見る方ではなく、本当に何回も見たい映画というのはそんなに多くはありません。
でも「この映画だけは見ておけ」と言われたら迷わずこの映画です。
ブルース・ブラザーズはNBCの人気コメディー番組「サタデー・ナイト・ライブ」(SNL) の初代レギュラーメンバーであったジョン・ベルーシとダン・エイクロイドが、音楽的趣味から始めたボーカルコンビ名だったんですが、あまりの人気のために映画になったというわけ。
お話は、
仮釈放で刑務所から出てきたジェイク(ジョン・ベルーシ)とエルウッド(ダン・エイクロイド)が神の啓示を受け、彼らが育った孤児院の財政問題を解決するために昔のバンドメンバーを集めてライブを開く。
という割と単純なストーリーですが、ご当地アメリカはもちろん、公開された1981年日本でも大ヒットしています。
人気の原因としては
1.そうそうたるソウルやR&Bの一流アーティストが出演して歌い踊る
ジェームス・ブラウン、キャブ・キャロウェイ、アレサ・フランクリン、レイ・チャールズ、ジョン・リー・フッカー、チャカ・カーン、(イーグルスのギタリスト)ジョー・ウォルシュ(続編のブルース・ブラザース2000 ではBBキングやエリック・クラプトンまで!)
2.カトリック系孤児院出身の白人二人がプロテスタント教会でアフリカ系牧師の説教で神の啓示を受け、黒人霊歌をルーツとするブルースのバンドを率いて大活躍、という多様性。
3.行く手を邪魔するのは、アメリカ至上主義のカントリー酒場の店主と、ネオナチの男たちという、一つの考えに凝り固まった単一文化主義(monoculturalism)に対する強烈な皮肉。
この辺が輸出大国になって国際化が始まりかけた1980年代の日本の空気にマッチしたのかもしれません。
上記の3点以外で私がこの映画を強くおすすめする理由は、アメリカ人のおおらかさや、チャレンジ精神の源泉になっているのがなにかよく分かる、ということです。
この映画の主人公、刑務所帰りのジェイクと、義兄弟の契りを結んだエルウッドが、むかしのワル仲間をバンドに引き戻そうとしてたびたび口にするセリフは、
We are on a mission from God.
私達は神様の使命を帯びている
また、本編にもジェイクのセリフで1回出てきますが、続編の「ブルース・ブラザーズ2000」でエルウッドがたびたび口にする
The lord works in mysterious ways
神様は不思議な方法で私達を導く
という「ことわざ」というか英語の慣用句には「一見不可能や不可解に思えることでも、なんとかいい風になるもんさ。だって神様の導きは私達にはわからない不思議なものだから。」といったようなニュアンスがあります。
アメリカ合衆国は現在では多民族国家ですが、その始まりは宗教弾圧で国にいられなくなった、キリスト教改革派(プロテスタント)が作った国家です。
「我々は神様の使命を帯びて、世界を良くするために選ばれた国である。
そしてその使命がどんなに困難でも、神様の与えてくれたインスピレーションが導くままにがんばれば、必ず不思議な方法で解決される。」
アメリカ人は当時、そんなふうに心のなかで信じていたのだろうと思います。
その後、様々な問題に突き当たり、「世界のことなんかよりアメリカ・ファースト」と訴えたトランプ元大統領のように、アメリカはどんどん内向きになっているように思います。
しかし、アメリカがWe are on a mission from God.The lord works in mysterious ways に代表される宗教観で建国された以上、それを捨て去ることは難しいでしょう。
私達日本人は、太平洋をはさんだ隣人・友人として、ときには友愛に満ちてありがたく、ときにははた迷惑な彼らの正義に付き合って行くことになるのかな?
ではまた次回。
・ブルース・ブラザーズ
ジョン・ランディス(監督、脚本),ジョン・ベルーシ,ダン・エイクロイド
ブックオフで330円(DVD)
・ブルース・ブラザーズ2000
ジョン・ランディス(監督、脚本、制作),ダン・エイクロイド(脚本、制作、出演),ポール・シャファー(音楽)
ブックオフで330円(DVD)