春はすこし不安な季節

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    4月を迎えて桜も満開の仙台、いかにも「春」って感じになってきました。

    「春は出会いと別れの季節」なんてことも言いますが、「春」と文字を見るとなにか期待してしまうような、不安なような、こうふわふわしてしまう気持ちになってしまいますね。

    文学の世界でも、

    「春が空から落ちてきた」で始まる仙台在住の作家、伊坂幸太郎の「重力ピエロ」

    東北を代表する作家、宮沢賢治の「春と修羅」には「おれはひとりの修羅(仏教で人間界のワンステージ下とされる、争いを好む世界の住人)なのだ」という印象的なフレーズがありました。

    どちらも春のふわふわ、そわそわした感じがよく出ていると感じます。

    冬が長く厳しい東北の人はきっとこの「感じ」、わかってもらえると思います。

    春がきたときとおんなじように、人はなにか視界がひらけたときや、夢を持つとき、期待とともに不安も持つと思うんですよ。

    不安に思うのはもっともな話で、その開けた展望や持ってしまった夢は、たいてい思う通りにならないものだからです。

    むしろ、期待や夢を持ってしまったばっかりに様々な苦労をするはめになることも結構ある、と思います。

    (といいますか体験上はっきり「ある」と申し上げられます)

    困りましたね〜、「期待や夢を持つと苦労するリスクがある」ことがハッキリしてしまいました。

    やはり期待や夢など持たずに、淡々粛々と平穏な人生を歩んでいったほうが良いのでしょうか??

    でも私はこう思うんです。

    「夢や期待は持つものではなく(勝手に)来るもの」だと。

    そう、今来ているこの春のようにです。

    そうであれば、来てしまった春を喜び満喫するように、夢や期待が来てしまったときは喜んで迎え入れて、一緒にやってきた苦労も、タケノコや山菜の苦味のように味わってしまったほうがいいんじゃないかと思うんです。

    私自身もこれまでも夢を持って色々やってきましたが、正直言って何一つ思い通りになったことはありません

    夢のおかげで散々苦労したり、悲しい思いや情けない思いもしました。

    でも夢を持ったおかげで、様々な思いもかけない出会いや収穫があって、結構楽しい社会人生活だなぁと思います。

    割と大きな病気もしましたし、まもなく還暦ということになりますが、長寿化社会のおかげでまだまだ現役生活が続くと思います。

    今年から社会に出る皆さん、社会に出て伸び盛りの皆さんに混じって、私ももうしばらくは夢と期待を持って人生の春を楽しんでいきたいですね。

    おまけ1

    「青春」って言葉の元は、古代中国の考え方によります。
    春夏秋冬にそれぞれに色と霊獣が割り当てられていて、春の色は青で霊獣は龍、それで「青春」とか「青龍」という言葉があります。
    因みに夏は朱色と雀、秋は白と虎、冬は黒(玄)と亀です。「北原白秋」とか「白虎隊」とかの語源です。

    おまけ2

    「春」のつく食べ物といえば「春巻き」と「春雨」どちらも中華料理ですね。
    春巻きは英語圏でも「スプリングロール」で通じるそうです。
    海上自衛隊の現役護衛艦に「はるさめ」という名があるそうですが、こちらは食べ物ではなく、「春に降る静かな雨」から名付けられたそうです。