お客様に聞きました④ ~協業組合 県北清掃公社様~

    みかドン ミカどん

    ミカド電装商事のお客様をご訪問して、お仕事の内容やエネルギーマネジメントへの取り組みを伺うシリーズの4回目です。今回は当社代表取締役の沢田秀二と編集部が、宮城県登米市にある 協業組合県北清掃公社様をお訪ねして、鈴木貞夫理事長と熊谷正保専務理事にお話を伺いました。

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    県北清掃公社様は、下水道処理施設や排水処理施設の維持管理などを行い、一般廃棄物(し尿・ごみ)や産業廃棄物の回収・運搬も手掛ける協業組合です。

    2018年に当社の省エネ診断を受診された後、2019年に経済産業省の『エネルギー使用合理化等事業者支援事業』と宮城県の『省エネルギー・コスト削減実践支援事業』に採択され、国と県の補助を得て空調設備の更新と照明のLED化を実現されました。

    今回の低炭素機器の導入にあたり、当社では診断事業のほか、補助金申請のコンサルティングと設備更新工事の管理を担当させていただきました。

    平成31年度 エネルギー使用合理化等事業者支援事業 交付決定案件一覧(PDF)
    令和元年度省エネルギー・コスト削減実践支援事業補助金 交付決定者一覧(PDF)

    協業組合とは?

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    熊谷正保専務理事(左)と鈴木貞夫理事長(右)

    熊谷専務理事 協業組合というのは中小の事業者がそれまで営んでいた事業を共同経営するためにつくられた組合です。協業組合には一部協業と全面協業があるんですが、私達は全面協業です。

    一部協業の場合、統合した事業”以外”の業務に関しては、組合員が自分の会社で個別に継続できるんですが、全面協業の場合はメンバーの事業が共同経営の下にすべて一本化されるので、それぞれの社名や屋号で営んできた組合員の既存事業は事実上なくなります。だから協同組合ではなく「業を持ち寄る」という意味で『協業』なんです。

    私達は理事としては二代目になりますが、元々この組合は個人でやっていた地域のし尿処理業者が7社集まって昭和45年(1970年)に設立されたものです。町の水洗化に伴い汲み取りだけでなく浄化槽の仕事も増えてきまして、そうすると学校の大きな浄化槽などは個人ではなかなか対応できないわけです。そこで役所のほうから「組合をつくって合理的にやってみたらどうか?」と言われたのがきっかけです。

    色々な経緯を経て現在の組合員は4社ですが、会社というよりもその4名が理事として経営に携わっているというスタイルです。全面協業にしたのは、当時はどの事業者も汲み取りと浄化槽しかやっていなかったので、誰も残すべき事業がほかにはなかったというのが本音ですね(笑)宮城県内では気仙沼清掃事業組合さんも全面協業ですよ。

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    左より当社代表の沢田、県北清掃公社/熊谷専務理事、鈴木理事長

    現在は多様な事業を展開

    熊谷専務理事 昭和40年代の後半から産業廃棄物がどんどん増え始めました。たとえば新幹線の工事現場から出る汚泥とか製紙工場の汚泥とか。そこで私達も産業廃棄物の分野に参入しました。

    市町村の固有の事務であるし尿やごみ(家庭系・事業系)の一般廃棄物処理業務は、各市町村毎の認可が必要であるのに対し、産業廃棄物収集運搬業務は県の認可で、県内一円の業務が可能です。当組合では一般廃棄物は登米市、産業廃棄物は宮城県、岩手県の許認可を得て営業をしています。平成11年には下水道処理施設維持管理業登録をし、現在は公共下水道処理施設の維持管理を2か所ほど行っております。

    そんな中、下水道汚泥のリサイクル施設が宮城県には少ないんですよ。そこで岩手県の一関にある三菱マテリアル工場や大船渡の太平洋セメント工場へ密閉式のトラックで運搬して行き、リサイクルをお願いしています。大船渡の太平洋セメント工場では運搬した下水汚泥を燃料として燃やし、そこから出る灰はセメントに混ぜ再活用します。

    余談になりますが、処分料として受け入れてもらっていますが、材料を提供していると考えると、処分料でなく買収料になっても良いのではないでしょうか(笑)実際には色々な処理等で人手もかかるのだと思いますが・・・

    協業組合は縛りが色々ありまして、新規事業や新しい分野への参入は、複雑な手順を踏まなければいけなかったり技術者の育成など、実はとても時間がかかるんです。けれどそういうことをひとつひとつ辛抱しながらクリアしてやってきたと思います。

    (編集部) ありがとうございます。お話が弾んできたところで、ここからはエネルギーマネジメントや当社との関りについてお聞かせください。以下はお客様にお尋ねしている共通の質問なので、今回の事例に適宜置き換えてお答えくだされば幸いです。

    エネルギーマネジメントの分野でお困りのことは何でしたか?

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    照明が気になって仕方なかったと苦笑される鈴木理事長

    鈴木理事長 困っているというわけではありませんでしたが、照明のことはずっと気になっていました。当組合は2010年にみちのくEMSに加盟して認証も取得しています。清掃事業者としては早いほうだったと思いますが、照明のLED化は行っておらず、みちのくEMSの集まりで照明の話題が出るたびに、肩身の狭い思いもありました。

    蛍光灯はやがてなくなるのがわかっていることですし、何より当組合は生活環境事業者ですから環境負荷の軽減や地球温暖化防止のためにも、いずれはLED化しなくては、と思っていました。

    ところが少し前にLEDではない省エネタイプの蛍光灯に替えてしまったばかりだったんですよね。だから時期に関しては迷いがありましたし、そのときは補助金の存在もよくわからなかったので、経費のことを考えると「やるにはやるが、いずれそのうち」という気持ちでした。

    ミカド電装商事のエネルギーマネージメントをどうやって知ったのですか?

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    更新されたエアコンとLEDに替わった照明の下で記念撮影

    鈴木理事長 みちのくEMSのつながりです。今ここで『みちのくEMS』と言っているのは、指導やコンサルでみちのくEMSの認証取得を支援する認証機構組織のほうですが、その事務局を担当しているのが環境会議所東北というNPO法人で、協業組合 仙台清掃公社の渡邉理事相談役がそちらの理事も務めています。

    一方で環境会議所東北は経済産業省が全国展開させている省エネプラットフォーム(省エネルギー相談地域プラットフォーム)という相談事業の窓口もやっていまして、そちらは地域の省エネ相談を受け付ける様々な分野の専門家グループです。

    そういった人の交わりの中で、環境会議所東北の山岡講子専務理事から(照明のLED化に関して)「診断を受けてみたら?」という提案をいただき、省エネプラットフォームから派遣されてきたのがミカド電装商事の表さん(表伸也。当社:取締役 環境・エネルギー本部長 上席エネルギーコンサルタント)だったんです。

    沢田 そうでしたね。当社の表(おもて)は経産省の省エネプラットフォームに診断事業の専門家として登録されていて、グループの中ではメーンで活動していますが、診断ができる人材はほかにもいるので、もしタイミングが合わなければ別な専門家が派遣されたかもしれません。これもご縁ですね。

    エネルギーマネージメントサービス導入にあたって不安に思うことはありましたか?

    熊谷専務理事 この場合は、補助金の申請や設備の導入に対してということになるのでしょうが、不安はね、全くありませんでした。実直な表さんが「大丈夫」と言えば大丈夫な気がしてくるんですから妙な安心感がありますよね(笑)

    その不安はどう解消されましたか?

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    取材の後に配電盤を確認

    熊谷専務理事 不安がなかったので解消もないわけですが(笑)お陰様で経済産業省の補助金も宮城県の補助金も無事に交付が決まり、食堂の空調の更新と全照明のLED化を実現することができました。空調は9月、照明は10月に工事が終わりました。

    正直言って補助金などの審査は、点や丸がないだけでもハネられるイメージがあって、自分達だけではとても無理だし、そんなところに労力をかけるぐらいなら補助金なしでLED化したほうが楽なのでは?と思ったりしました。ですが、診断後は月々の電気量やエコライフノートをミカドさんに送って、色々と助言や指導をしてもらったので本当に助かりました。

    実は表さんに診断をしてもらったときに、これだけの節電、そして環境にもよくなりますよ、という説明を受けましてね、みちのくEMSのほうからも月々の電気量や環境負荷へのレポートが毎月来ていましたので、これがぐーっと減りますよと言われて、(設備導入への)気持ちが動きましたね。ぐーっとですよ、ぐーっと。ちょっとじゃないですよ(笑)

    導入してみていかがでしたか?

    熊谷専務理事 工事が終わったばかりなので、まだ電気代の変化や推移がわかりませんが、確実に言えるのは職員の意識が高まったということですね。

    今までも昼休みには消灯するなど、小まめに電気は消していたんです。なのに最近は「LEDにしたから消さなくてもいいんじゃないの?」なんていう冗談も出るくらいで(笑)何が省エネで何が環境にやさしいかわかっていないと、こういうジョークも出ないですよね。

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    女性職員の方達もLEDに負けない明るい笑顔!

    今後ミカド電装商事に期待することは何ですか?

    熊谷専務理事 まず沢田社長がトライアスロンやっているのがすごいと思います(笑)いやいや営業はそっちからですよ。それからこういうの(ミカドONLINE)を出されているのもすごいと思います。それをずっと継続して、提案みたいなのを出していただければありがたいです。

    これまでの照明工事等は当組合の要請に応じたものを電気工事店へ発注していましたので、今回もそうなるのかなと思っていましたが、空調設備や照明器具を交換した場合の効果やその意義をミカド電装商事さんから解りやすく説明してもらった事が実を結んだのだと思います。

    各団体が推奨するエネルギーマネジメントは自分達で決めて自分達で実践するのが基本のようですが、私達は専門家ではないので難しいことはわからないし、できないし、最初のうちは自分達では何も決められないんです。だから事業規模や業種に合わせて、こうやったほうがいいですよ、という助言はやはりほしいですね。

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    取材が終わった夕暮れの県北清掃公社様

    沢田(ミカド電装商事) ありがとうございます。今回のお話は「やるならまず食堂の空調をなんとかしたい」そして「照明はもちろんLEDにしたい」というところから始まったと思います。

    そして設備の導入に関しては、なるべくCO2削減効果が大きくなるように、範囲や機器の組み合わせなども色々検討してA案からD案まで4種類のご提案をさせていただきました。最終的に照明は駐車場などの屋外も含めてすべてLEDにしようということになりましたが、無事に工事も終わって安堵しています。

    これからもCO2の削減や低炭素機器の導入のサポートをして環境に貢献したいと思っていますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

    (編集部)ミカド電装商事がみちのくEMS認証を取得したのは2015年です。なので2010年にすでに認証を取得されていた県北清掃公社様は先輩格にあたります。鈴木理事長や熊谷専務理事からは昔の地域事情や過去のエピソードなどをユーモアたっぷりにお話しいただき、何度も笑いが起こる取材でした。このたびはどうもありがとうございました。


    取材先:協業組合 県北清掃公社 理事長 鈴木貞夫 様 専務理事 熊谷正保 様
    取材日:2019年12月13日
    取材者:ミカド電装商事株式会社 代表取締役 沢田秀二 ミカドONLINE編集部