ビジネスとSDGs(2)ミカド金属様で驚きのリサイクル現場を見学!電線も空調機も剥がして砕いて再利用!

    みかドン ミカどん

    今回は創業者が当社と同じでリサイクル事業を手掛ける株式会社ミカド金属様を当社の社長:沢田秀二と編集部がご訪問。ミカド金属の髙橋純平代表取締役社長のご案内で、普段は絶対に見られない驚きの(!)リサイクル現場を見学させていただきました。皆さん、ぜひ動画も見てください!

    (文中の敬称は省略させていただきます)

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    宮城周辺の電線リサイクルでは草分けの事業者さんです

    沢田 髙橋社長とは遠縁の関係になりますが、やはりまずは会社の成り立ちから教えてください。

    髙橋純平 社長

    髙橋 はい、当社は私の曽祖父に当たる沢田万三が創業者です。設立時は沢田万三が興した三興社という会社の一部門として非鉄金属のリサイクルを専門に担当していました。その後、何度かの組織改編を経て昭和44年(1969年)に(株)ミカド金属として独立発足したのが当社です。

    会社として大きな転機になったのは昭和59年(1984年)に現会長がナゲットプラントを導入したことです。

    ナゲットプラントというのは廃電線の中から銅線を取り出して、銅ナゲットと呼ばれる再利用に適した形状(粒)に加工する装置一式の名称ですが、当時はこの辺でそういったことをやっている事業者が誰もいなかったんです。

    そこから主に電気工事業者さんに営業をかけて、電気設備の更新や建物の解体の時に出る廃電線、それから新築時の余長電線(工事で使った残りの電線)を回収して当社で分別加工し、付加価値を上げたうえでメーカーさんに買っていただくという事業を長くメインにさせていただいています。

    今までは事業の希少性もあり、平成の半ばぐらいまでは地元の市場を独占するような形でやってきたのですが、それ一本というのはビジネスとしてのリスクもありますので、隣接業種でもある解体事業をのちにスタートさせました。そして平成26年に「株式会社ミカド解体工業」として分社化しました。

    解体工事業なら電気工事屋さんにお願いしなくても廃電線が直接手に入りやすいですし、お客様にとっても資源として買い取らせていただいた分を見積金額からお値引きするなど、長年、リサイクル事業者としてやってきた専門のノウハウが解体工事にも十分生かされており、それがひとつの強みにもなっています。

    (編集部:ナゲットプランの様子はぜひ動画でご覧ください)

    以前は剥線機(はくせんき)で電線の皮を剥いていました

    沢田 御社が電線リサイクルの草分けだとすると、それまではどうやっていたんですか?

    髙橋 それまでは手で剥いていたんですよ。

    沢田 するとそれまでは銅線の状態で納めていた?

    劣化していない動線(ピカ線)

    髙橋 はい、それはいわゆるピカ線と呼ばれているリサイクル品で、今でも作っています。あるメーカーさんは銅ナゲットのほかに1mぐらいにカットしたピカ線をご希望されているので、当社で現在も作っています。

    沢田 以前、御社の会長が電線剥きの大変さを嘆いていらしたことがあって、それが「剥線機(はくせんき)を入れたことでずいぶん楽になった」とお話されていたことを思い出しました。

    髙橋 そうですか。あいにくそのあたりの記憶は曖昧ですが、資源の価格が今は非常に高騰しておりますので、リサイクル品に対する世間の見方も変わっています。この分野には特に近年、外資系(主に中国系)の事業者の参入が相次ぎ、我々もライバルが増えている状況です。

    そんな中で困ったことが起こりました。それは2018年(平成30年)の末に、中国が金属スクラップの輸入を規制してしまったことなんです。中国は今まで世界中から様々な廃棄物を受け入れ、安い労働力と人海戦術でそれらをリサイクルしていました。

    しかしその過程で起こる環境汚染や不適切な排ガス・排水などの処理が表面化してしまい、ついに中国政府が廃棄物の輸入を禁止してしまいました。これは当社にも当社のお客間にも大きな不安をもたらしました。

    (編集部:当社の沢田社長が剥線機を使った電線の皮むきに挑戦しました!ぜひ動画でご覧ください)

    業務用空調機の解体事業を始めました

    編集部 先ほどの中国の輸入規制ですが、それはお客様から依頼された廃棄物を処理できなくなるということですか?

    髙橋 はい。当社が直接輸出をしていたわけではありませんが、輸出したほうが採算性がよいものは輸出業者に買い取ってもらっていました。結局今まで、全世界が中国に頼っていたんですよね。それができなくなって、この先どうなるんだろう?と思いました。お取引先様にも「今後は買取ができなくなるものがあるかもしれません」というご案内を実際に出したりしました。

    当社は空調機の会社さんともお付き合いがあるのですが、そちらも「どうすればいいんだ?」と大変お困りで、実はそれがきっかけで当社が空調機の解体も手掛けるようになったんです。けれど今まで20~30年もの長い間、廃棄物のスクラップ処理をすっかり中国に依存してきたので、国内には業務用機器を解体するノウハウが全くありませんでした。

    だから本当に一からです。まず機器を分解してみることから始めました。その後、試行錯誤を繰り返し、費用対効果を何度も計算したり、手解体がいいのか重機がいいのかを考えたり。中にはバラさないほうが高く売れるようなものもあったり、中国がなぜあの値段で買い取ることができたのか、いまだにわからないものも正直言ってあります。

    ですが、お陰様でようやく採算が取れるようになってきましたし、業務用空調機や配電盤、キュービクルなどは比較的利益率がいいことがわかってきたので、これからはもっともっと取り扱える品目を増やしていきたいです。

    (編集部より:実際に業務用空調機を解体する様子をぜひ動画でご覧ください)

    昔はクズ屋と言われても今はビジネスがSDGs

    髙橋 自分は全く経験がないのですが、先代や上の先輩たちは「クズ屋の息子」と言われてからかわれたこともあったと聞いています。当時の業界のイメージってあまりよくなかったと思うんですよ。

    ですがこれだけ資源が高騰している現在はリサイクルへの見方が本当に変わりました。SDGsも追い風になっていますが、自分としては20代の頃から家業として当たり前に取り組んできたことなので、それを今の流れと結びつけてしまうと、なんだか後付けのようで少し抵抗があるんです。

    だから当社ではSDGsをPRツールには使っていませんし、そのために始めた取り組みも特にないのですが、これから今以上に資源の価値が重視されていくと思うので、この事業を続けることがすなわちSDGsなのだと思っています。

    沢田 その意味では当社もそうかもしれません。バッテリーも重いですし、昔は自分たちが希硫酸を扱ったりしたので危険で嫌われる業種だったかもしれません。ですが今はバッテリーが省エネ・蓄エネに欠かせないものとして、とても認知度が上がりました。

    髙橋 沢田社長のほうがお詳しいと思いますが、省エネと言えば最近はインフラが省エネ型になっているので、使われる電線が以前より細くなってきているんです。大電流が必要ないんですよね。それに技術が進歩してきて、銅ではなく銅より安いアルミのケーブルも検討され始めています。

    電子・電気の分野で銅はとても優れた素材ですが、それだけに頼ってはいられません。リサイクル事業にいち早く目を付けた創業者やナゲットプラントで基礎を築いた先代のように、私も先を見据えて時代に合った資源活用事業を展開していきたいと思います。

    沢田 そうですね。今日は設備の見学も非常に勉強になりました。そして楽しかったです。どうもありがとうございました。


    取材先:株式会社ミカド金属 代表取締役社長 髙橋純平 様
    (工場見学 万代様、伊勢様)
    取材日:2023年2月3日
    取材者:ミカド電装商事株式会社 代表取締役 沢田秀二 ミカドONLINE編集部