省エネ最新事情④太陽の恵みを生かした”人に優しい”オフィス~サイト工業株式会社


    これまでの3回の記事は、設備の更新やエネルギー収支の統括的な見直しなどで、省エネを推進する内容でした。今回ご紹介するのは、自然の素材と太陽熱を生かした「人に優しい」オフィスです。

    取材でご訪問したのは、仙台市若林区卸町にあるサイト工業さん。建築・土木・躯体工事で実績のある会社さんですが、将来を見据え、現在は「はぐくみの木の家」という自社ブランドで、太陽熱を取り入れた高断熱住宅に取り組んでいらっしゃいます。

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    玄関先で感動したのは、中に入った瞬間に木の匂いがしたことです。2年前に建てられた新しい本社のショールームでは国産の杉無垢材や高断熱ガラス、そしてOMソーラーというシステムを使い、太陽熱という自然の恵みを生かした「人に優しい環境」でエコを実現されているとのこと。社長の齋藤元さん、そして営業部の伊藤壽章さん(グループ長)に、早速お話を伺いました。広報担当の遠藤智美さんも同席してくださいました。(以下、文中敬称略)

     

    太陽熱を生かすというのは、具体的にどういうことですか?

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    齋藤 「OMというメーカーさんがつくっているOMソーラーというシステムがあるんですが、太陽から集熱して暖房や給湯に活用する仕組みです。」
    伊藤 「発電だけでなく、集熱もしてくれるパネルをつかって、暖房・給湯・換気と発電の4つの働きを実現させているんです。暖房は、太陽熱で温まった空気を建物内で循環させます。給湯は集熱パネルの熱で不凍液を温め、この不凍液が給湯タンク内の熱交換器の中を流れることで水がお湯になります。」
    齋藤 「結構熱くなるよね」
    伊藤 「はい、季節にも寄りますが、300リットルのタンクの場合ですと50℃ぐらいにはなると思います。」

    齋藤 「ちょっと、これ見てください。今、暖房運転に切り替えましたけど(取材は4月)、手を入れると熱い空気が流れているでしょう?」

    編集部
     「うわぁ、本当ですね。温かい空気ですね。これが循環して暖房になるんですね。」

    齋藤 「それに約1.5cmの天然木の床材。ガラスも効果の高いものを使えば暑い夏も寒い冬も外気をシャットアウトできますし、高断熱の木の家にOMソーラーを組み合わせて、人に優しい住環境をつくっています。私の自宅も「はぐくみの木の家」で建てましたが、太陽光発電で売電もできますし、光熱費も削減できています。」

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    伊藤 「天井にはフェノバボードという90mmの断熱材を使っています。室内の空気は2時間ですべて循環しますが、最新の設備ですとPM2.5も除去してくれるフィルターの設置も可能です。夏は逆に屋根から暖まった空気を外に排気してやることで、自然な涼しさになります。盛夏や厳冬期には確かにエアコンなどの補助的な冷暖房が必要になりますが、家そのものが高断熱なので、効果も高くなるんです。」

    齋藤
     「質のいいものをつかっていくというコスト面では、電気料金の節約だけが目的の方にはご理解いただけないかもしれませんが、以前、70代のぜんそくの方が見学に来てくださったときには、この中にいると本当に気持ちがいい、とおっしゃっていました。」

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    伊藤 「暮らし方、だと思うんですよね。安心できる環境で赤ちゃんやお子さん育てたいという方に高い関心をいただいています。」 

    齋藤 「老人ホームなどの老健施設や、保育園、幼稚園などに採用されているんですよ。これからはそういった中で暮らしたい、という方も増えてくるのではないでしょうか。」

    木のぬくもりを感じながらお話を伺っていると、とても落ち着いてゆったりとした気持ちになります。サイト工業さんでは、新社屋に移転してから、社員の皆さんの気持ちも変わってきたとか。最近は経済的な側面でエコや省エネをとらえる傾向も強いですが、自然の恵みを取り入れた、こころのエコも大事なのではないかと思いました。(編集部)

     

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    ※取材:2016年4月27日
    ※お話:サイト工業株式会社 代表取締役 斎藤元様、営業部グループ長 伊藤壽章様
    ※図版出典:http://omsolar.jp/OMソーラー株式会社

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