
1/3の予算で設備を更新。こういう補助金もあるんだ!と驚きました

ミカド電装商事のお客様をご訪問して、お仕事内容やエネルギーマネジメントへの取り組みを伺うシリーズの11回目です。今回は当社代表取締役の沢田秀二と編集部が、大東精密株式会社様をご訪問して代表取締役の齋藤裕一様と総務部門責任者の遠藤裕之様にお話をお聞きしました。(文中の敬称は略します)

大東精密様のジャケットはリバーシブルで裏返すと作業着になるんです!(写真はこちら)
大東精密株式会社様 (以下、大東精密様)は、宮城県亘理町に本社をおくプラスチック加工会社です。
大東精密様は当社のサポートにより宮城県と経済産業省の補助事業に採択され、昨年、総事業費約900万円のコンプレッサーの入れ替えとエアコンの更新をほぼ3分の1の予算で完了いたしました。
【宮城県】「令和6年度みやぎ二酸化炭素排出削減支援事業」補助率:設備費+工事費の1/2
【経産省】「令和5年度補正予算 省エネルギー投資促進支援事業」補助率:設備費の1/3
補助金を活用してコンプレッサ―を入れ替えました

沢田 初めてお目にかかったのは東北学院出身の経営者が集まる「地塩会」(ちのしおかい)でしたね。製造業と伺ったので当社でお手伝いをしている補助金のお話をしたら、初対面なのにすぐに関心を持っていただきました。
齋藤 「地塩会」は亡き父が会員だったので1年と少し前ぐらいから私も参加するようになったのですが、工場のコンプレッサーを数年以内に入れ替えないといけないという話をちょうど社内でしていたところだったので「これはご縁だ」と思いぜひお願いしたいと思いました。
沢田 読者の皆さんのために、簡単に御社の業務内容をお話いただいてもよいですか?
齋藤 はい。当社はプラスチックの部品加工業をしております。プラスチック加工といってもいろいろ種類がございますけれど、私たちがやっているのは射出成型という製造方法です。
これはプラスチックの粉をドロドロに溶かし、高圧で金型に押し込んで製品の形にする成型方法です。その過程で空気圧を使うプロセスが多く、成型機の台数が少なければコンプレッサーを一台ずつ装置の近くに置く形態もありますが、当社は成型機が約30台ありますので、大きなコンプレッサーを別棟に設置してそこから枝分けされた配管で各装置にエアーを送っています。
沢田 今回はそのコンプレッサー2式と業務用エアコンの更新でしたね。
齋藤 ほかの工場でも同様にされていると思うんですけど、万が一、片方に何かあっても片方がバックアップするという理由で、大きいのを入れる場合は1台ではなく複数台入れるのが一般的ではないかと思います。それをローテーションで使っていく形ですね。
沢田 補助金の工事は採択後に開始されるわけですが、採択は宮城県のほうが6月ぐらい、国のほうが8月ぐらいで、遅いほうに合わせてスタートして12月には終えなくてはならないので、書類等を揃える関係で色々ご無理を申し上げてしまったかもしれません。
遠藤 いえいえ、すぐに動いてくださるので助かりました。それに工事はどうしても平日以外の日になるのですが、ミカドさんは休日も来てくださったので安全に工事を進めることができたと思います。
省エネ関連の補助金はノーチェックでした

沢田 昨年の11月に工事が完了しましたが、補助金を活用されてみていかがでしたか?
齋藤 実は製造業でも利用できる省エネ関連の補助金があることを今回初めて知ったんです。なのでミカドさんからそのお話を聞いたときは正直言って「そんなのがあるんだ!」と驚きました。
生産設備の補助金であれば「ものづくり補助金」などが有名ですが、そういった補助金はわれわれもアンテナを張ってよく見ていたんです。けれど省エネ関連の補助金というのはノーチェックといいますか、そういった補助金があるということさえ知らなかったんです。
しかも省エネの場合は国と県とダブルで受給できるというのも初耳でした。「ものづくり補助金」に詳しい方にお聞きしましたが、その方もご存じなかったそうです。
沢田 財源が別であれば問題ないんです。なので私どもは国・県・市町村をくまなく探していきます。場合によってはトリプルもあるんですよ。
齋藤 そうなんですか!こんなに条件がいいものがあることを我々は知らなったので、「知っている・知らない」の差は大きいですね。
製造業はいま粗利が取りにくくなってきています。生産設備は売り上げに直接関わる部分ですから投資を決断しやすいところだと思いますが、電気、ガス、水道、冷却水などのユーティリティや製造システムなど、インフラ部分の更新にはお金をかけづらくなっており、更新が必要であることは理解していても、躊躇してしまう会社さんは我々以外にも多いのではないでしょうか。
その意味で、ぜひ地元のほかの事業者さんにも伝えたいです。
遠藤 県に補助金の申請をしに行ったときにミカドさんも同席してくださったのですが、「ミカドさんがいらっしゃるなら」ということで担当の方の信頼感も増したようで、お陰様でスムーズに手続きをすることができました。
沢田 ありがとうございます。お客様の手間を最低限に押さえたいということを目標にやっておりますので、評価していただけたのはうれしいです。
バブル後に国内の製造業に危機感を感じフィリピンに工場を建設

沢田 WEBで拝見しましたが随分早い段階でフィリピンに最初の工場をつくられていらっしゃるんですね。今は2つの工場をお持ちとか?
齋藤 父や祖父はバブルが終わった頃から国内の製造業が失速している状況に危機感を覚え、これを機に海外に出てみようと思ったようです。
当社がフィリピンに最初の工場をつくったのは1994年ですが、その頃、逆にフィリピンでは経済を活性化するために製造業の定着に力を入れており、日本などの外資を積極的に取り込むために、ものすごい優遇措置を施していたんです。
中でも特に自動車産業を優遇したので、トヨタさんや三菱さんが後に進出して全体の活気が増し、当社にとっては本当にラッキーでした。途上国に進出するのはそれなりに不安がありますので、様々な日系企業同士でお付き合いも生まれ、やがて「こういうものを作ってほしい」というご注文をいただくようになりました。そのため現地では金属加工など宮城ではやらない製品も幅広につくっています。
そのほかの利点としては、通常ならリーチできないようなお客様にもコンタクトできたということです。当時は周辺にサプライヤーもいませんし「こういことはできますか?こういうものはつくれますか?」という他社様のニーズに応えていった形ですが、駐在員の方が日本に帰任しても、そのときの同朋意識や関係性が残っていて、国内のお仕事につながったケースもあります。
沢田 今のお話は非常に共感できます。私はミカド電装に入社する前はメーカーの本社で働いていたのですが、地方の支社や支店に赴任すると、通常は門前払いされそうな大手さんと赴任先で人脈を築き、お互いに本社に戻ってからも気軽に訪ねて営業する上司がいました(笑)
ミカドさんの知見を貴重に感じています。今後も前向きなご提案をお願いします

沢田 先ほど「ニーズに合わせて」とおっしゃいましたが、私どもも長い歴史の中で何度か取り扱い製品を変えています。環境に合わせていくのは重要ですよね。最後に当社への希望があればお話しください。
遠藤 さきほど次の工事の見積書をいただきましたが、これまでも様々なやりとりの中で「こういう方法があります」「こうしたらどうですか?」等々、色々なアドバイスをいただいているのがありがたいです。これからも建設的なご提案をお願いします。
齋藤 そうですね。我々は視野が狭くなっているので、多業種での事例をたくさんご存じのミカドさんの知見を貴重に感じています。ご提案はどんどんいただきたいですし、補助金以外にもミカドさんで提供しているサービスや製品などがあればそちらもぜひ教えてください。
沢田 ありがとうございます。今日は興味深いお話を大変ありがとうございました。
取材先:大東精密株式会社 代表取締役/齋藤裕一 様 総務部門責任者/遠藤裕之様
取材日:2025年4月9日
取材者:ミカド電装商事株式会社 代表取締役 沢田秀二 ミカドONLINE編集部
補助金活用についてのお問い合わせは

「ミカドさんに会わなければ、コンプレッサーの更新についてはなかなか決断できず、いまも不毛な議論を延々と続けていたかもしれません」と笑う齋藤社長のお話が印象的でした。「射出成型にとってコンプレッサーは本当に必要なものなのに、生産設備本体ではないので躊躇しがち」という言葉にも大いに共感した今回の取材でした。