資源を無駄にせず環境に配慮したモノづくりを
ミカド電装のお客様をご訪問して、お仕事の内容や様々な取り組みを伺う新シリーズです。今回は当社の沢田秀二と編集部が、山形県上山市にある長岡ダイカスト工業株式会社様をお訪ねして、長岡恭輔代表取締役社長にお話を伺いました。
長岡ダイカスト工業株式会社様は2015年11月に「ミカド電装省エネセミナー」に参加後、補助金を活用した当社のCO2削減ポテンシャル診断を利用されました。インタビューでは診断を受けてみての感想などもお聞きしました。
御社の業務を教えてください
長岡社長 アルミダイキャストの製造に携わって45年になります。ダイキャストというのは金型に溶融した金属を圧入して工作精度の高い製品を大量に生産する鋳造方式です。われわれの世代ですと超合金を思い浮かべる方も多いのですがあれは亜鉛のダイキャストなので、当社が扱っているアルミ製品とは異なります。
当社では自動車部品や自動車製造装置関連部品をはじめ、様々な分野の製品を手がけています。
ダイキャストは樹脂などと違って、溶かしたアルミを金型に横から射出して瞬間的に成形し、冷却にも時間がかからないので、世の中で一番量産に適した工法だと思っています。かつては自動車部品への依存度が高かったのですが、一極集中の危険性を感じたできごとなどもあり、現在では多方面への柱建てを行っています。
ミカド電装とのお付き合いのきっかけは?
長岡社長 DMをいただいて省エネセミナーに参加したのがきっかけです。私どもはエコアクション21という環境省の認定を取得していることもあり、以前から省エネやエネルギーマネージメントには高い関心がありました。DMは山ほどいただくのでほとんどスルーしていますが(笑)ミカド電装さんのDMは内容もさることながら、東北で地道に活動している正当な会社が、真面目に取り組んでいる雰囲気が紙面から伝わって来て、会場も行き慣れた仙台ですし、どんな会社さんなのか一応簡単に確認したうえで、参加してみることにしたのが最初です。(編集部:当時のDMはこちらです)
セミナーに参加されてみていかがでしたか?
長岡社長 この会社さんとは今後お付き合いしていくだろうという予感みたいなものを感じました。内容が現場寄りで信頼感が持てましたし、講師の表(おもて)さんの語りっぷりも朴訥な感じが逆に良かったんです。場馴れし過ぎたプロ集団の場合ですとあまり得られるものがないのですが、御社の場合は皆さんが誠実に頑張っている感じがして、つい、自分の会社の社員たちとオーバーラップさせてしまいました。現場を知っている方達への共感でしょうか。
CO2削減ポテンシャル診断を受けられたのは?
長岡社長 セミナーの印象がよかったので、その後、CO2削減ポテンシャル診断のご案内をいただいたときも、妙な説得力がありまして(笑)。けれど、国がさかんにPRしていて、製造業として導入実績のある補助金なら検討しやすいのですが、最初はCO2削減ポテンシャル診断ってなに?みたいな感じでした。ですが色々調べるうちに、こういう補助もあるんだということがわかると、逆に今しかないという気持ちになりました。補助金の今後の継続も不確かでしたし、当年に後発で診断希望者が多数出てきた場合は、国の予算が埋まって申請できなくなってしまいますから、やれるうちにやっておこうと思いました。
こういう言い方は語弊がありますが、国が補助金を出してまで進めようというものですから、将来的に間違いなくそちらの方向に抑制や規制が入るのは想像がつくわけですよ。それならいちはやく取り入れて自分で把握して、今後の対策を政府からされる前に準備しておかなければいけないと強く感じたので、それをやったということですね。
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診断を受けていかがでしたか?
長岡社長 ご指摘いただいたほとんどの項目はやるつもりでいます。ただ、ガスバーナーのリジェネに関しては(リジェネレイティブバーナー式への更新のご提案)、メーカーさんや大学の研究機関により「CO2は削減されるけれどもメンテナンス費用が今の3倍かかる」ということがわかったので困難に感じています。ひとつひとつのパーツが高価なんですよね。
けれど、一番よかったのは、意識が変わるということなんです。良品が仕上がるまでの時間は、暖機運転やウォーミングアップで違って来るのですが、装置Aと装置Bでどちらをどのようにつかえば最善の結果になるのか。余熱運転や暖機運転で相対的な負荷を下げた方がCO2削減につながるのではないか?そういったことを常に考えながら製造に取り組んでいます。
いただいたデータやレポートはすべて社員と共有して詳細まで報告していますよ。うちは朝礼で必ず環境対策についても言及していますので、全社員向けに、こういう形でこういう対策をしたところこうなりましたというのはトピックとして必ず話しています。我々も漠然と想像はしていましたが、CO2削減に関しても、ひとつひとつを見てもらって理論的にこうです、という結論が得られたので、非常に良い社員の意識高揚につながりました。
長岡ダイカストさんのその他の取り組み
長岡社長 CO2削減ポテンシャル診断以前に行っていたことですが、スラッジやスケールで正確な計測ができなくなっていた地下水のメーターを更新して、水量をきちんと管理できるようにしました。当社は製品の冷却に水を大量に使います。地下水は水道の水と違って天然の資源なので今まで強く意識したことがありませんでしたが、豊富な蔵王山系の水脈であっても大切につかっていかないと地球環境には優しくないと考え、メーターを新しくして適切な利用をはかったところ、3000㎥の水量節減を達成できました。
また、エコバッグの推進やプラスチックトレーの回収なども、朝礼で話題にするなどして、日常的に社内で意識付けをしています。今後も資源を無駄にせず環境に配慮したモノづくりを心掛けていきたいと考えています。
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・インバーター搭載型へのコンプレッサーの更新 ・変圧器の高効率タイプへの更新 ・リジェネレイティブバーナー式ガス溶鉱炉への更新 ・アニール処理装置の高効率機への更新 ・動力変圧器に関するご提案 ・太陽光発電導入のご提案 ・地下水くみ上げポンプに関するご提案 ・ガス炉および電気炉の排熱利用のご提案
長岡ダイカスト様から意識の高い日常的な取り組みを伺い、当社としても大変参考になった取材でした。
取材先:長岡ダイカスト工業株式会社 代表取締役社長 長岡恭輔様
取材日:2018年2月5日 取材:ミカドONLINE編集部