
道ばたにひっそり咲く黄色い花「ノゲシ」。雑草として見過ごされがちな植物ですが実は食べられるうえに世界中でさまざまに活躍しています。タンポポと間違われやすいけれど、よく見るとちゃんと個性があるんですよ!
タンポポじゃありません、ノゲシです

春先から道端や畑の縁で見かける黄色い花──それが「ノゲシ」、漢字では「野芥子(のげし)」と書きます。
名前に“ケシ”とありますが、ケシ科ではなく、実はキク科に属する植物です。タンポポに似た花を咲かせますが、葉にトゲのようなギザギザがあり、茎を折ると白い乳液を出すのが特徴です。
背丈は大人の膝ほどまで伸び、春から初夏にかけて旺盛に繁殖します。学名は Sonchus oleraceusといい、この「oleraceus」はラテン語で「食用になる」という意味になります。

実際にヨーロッパではサラダや炒め物にして食べられていた歴史があり、日本でも戦時中には食用とされていて、野草図鑑には「若葉をゆでて水にさらせばアクも少なく、おひたしにできる」などとと紹介されていることが多いです。
実際に食べてみた人のブログに寄ればお味は「青梗菜の茎だけの味」「苦みはサニーレタス風」で、シャキシャキして案外イケるみたいです。。
道端の雑草という印象が強いノゲシですが、実は人と意外と深い関わりを持っている植物のようです。それにしても「昔は食用だった(けれど今は食べられていない)」という植物って案外多いんですね。
ノゲシとオニノゲシ、あなたは見分けられますか?

ノゲシには見た目が似ている近縁種があります。その名前はオニノゲシ。こちらは葉のトゲが鋭くて痛いため、触るとすぐに違いがわかります。
ノゲシの葉のギザギザは一見鋭そうですが、触れても柔らかく、素手で扱っても痛くありません。この特徴から、ノゲシは“優しい雑草”と称されることもあるようです。
ノゲシは世界中に広がっていて、ニュージーランドやオーストラリアでは農業害草として嫌われている一方、アフリカや南米の一部では薬草として利用されることもあります。
また、種には綿毛がついており、風に乗って広く飛び、分布を拡大していきます。
このように、ノゲシはただの道端の雑草ではなく、食用・薬用・外来植物・在来植物という多面的な顔をもつ、実はとてもグローバルでたくましい植物なのです。
皆さんもこの時期、どこかで黄色い花を見かけたら、
①まず、タンポポかノゲシか見分ける
②次に、ノゲシかオニノゲシかを見分ける
この順番で雑草ライフ(?)をぜひ楽しんでくださいね。
(ミカドONLINE編集部)
出典/参考記事: など