特集記事「デンキのお仕事」です。暮らしの中で重要な部分を担当しながら、普段あまり表に出て来ない分野に焦点を当てて電気にまつわる最新事情をお伝えしています。第4回も前回に引き続き、仙台市若林区にあるミカド電機工業株式会社の澤田一幸社長にお話を伺いました。ミカド電機工業は当社と創業者が同じ会社さんですが、主に車の電装品を扱っています。(参考:ミカド電装ヒストリー)。今回は法人のニーズが伸びているという車両管理システムについて伺いました。※文中の敬称は省略させていただきます。
車両管理システムの需要が高まっています
編集部:最近の傾向として、車のバッテリー以外で変化を感じる市場などはありますか?
澤田:はい。いまは車両管理システムが伸びています。タコグラフって聞いたことはありますか?
編集部:はい、あの…トラックの後ろにシールが貼ってある?
澤田:それです。昔はアナログだったのが、今はデジタルタコグラフと言いまして、車両運行の速度や時刻など、全てのデータが記録出来るようになっています。近年は事業継続のリスクを回避する意味でも、管理体制が求められているので、車両を安全に運行できるようにしたいという要望が非常に強いんですよ。
編集部:それは一般の営業車ということですか?
澤田:基本的には大型トラックですが、乗用車とかバンとか法人車両の場合もあります。今はテレマティクスという仕組みがあり、これは車の運行状況をネットワークを通じて通信できる仕組みなんです。それぞれの会社の管理体制にもよりますが、社内で制限速度を設定し、超過したスタッフに注意を与えるような運用をしている会社もあります。
編集部:必要なのかもしれませんが、ちょっと窮屈で怖い感じもしますね。
澤田:確かにそういう側面もないわけではありませんが、ドライバーにとっても会社にとっても、「利用していてよかった!」というケースも多いんです。
編集部:それはどういうときですか?
正しい人が正しく行動した姿をきちんと主張できるツール
澤田:具体的にはドライブレコーダーに関してなんですが、ドライブレコーダーも広い意味では車両管理システムに入ります。
編集部:はい。
澤田:ドライブレコーダーというのは、車にカメラを取り付けて、走行を映像で記録していくものですが、これがあると事故が起こっても、その時の状況が記録されるので、普段からルールを守って運転している側にとっては、強い味方になるんですよね。大型車と小型車の事故で、大型車のほうに原因があるように皆が思っていても、カードを抜いて解析してみると、突っ込んでいったのは小型車のほうだった、などということもあるんです。
編集部:なるほど。そうなると正当性を主張するためのツールになり得るわけですね。
澤田:そうなんです。ドライブレコーダーを最初に導入したのはタクシー会社なんですが、これが、非常に普及しました。万が一、事故があったときの対応も劇的に早くなって、弊社のお客様からも「本当に助かる」と言われました。
編集部:考えてみたら、一般の人に比べると、業者さんて悪者にされやすいですよね。業者さんのほうも、仕事柄、強く主張できないときもあるんじゃないでしょうか?
澤田:そうですね。正しい人が正しく行動した姿をちゃんと主張できるし、それを証明してくれるわけですよ。それにドライブレコーダーは意外なところでも役立っています。
編集部:意外なところ・・・と言いますと?
澤田:倉庫内のフォークリフトです。フォークリフトって結構ぶつけるんですよ。なので注意が必要なのですが、事故が意外に多いんですね。といっても車の事故と違って命にかかわるものではなく、大半は商品にぶつかったとか何かが崩れたという部類になりますが、ヒヤリハットとよく言うように、こういうところから大きな事故につながったりしますので、未然に防ぐための検証にもよく使われています。
編集部:本当に様々な使い方があるんですね。
澤田:そうなんです。管理というと印象が悪いかもしれませんが、こういったものを活かして安全が最優先される職場環境になれば、それが一番、働く人へのメリットになるのではないでしょうか?
編集部:確かにそうですね。今日はいいお話をどうもありがとうございました。
先日、カー用品店に立ち寄ったところ、店内放送からドライブレコーダーの宣伝アナウンスが流れていました。今まで気が付きませんでしたが、澤田社長のお話を伺ってから耳に入ってくるようになりました。意識するって大事ですよね。ドライブレコーダーは、取り付けただけで事故発生率が減ったという実験結果もあるそうです。管理する・されるという発想ではなく、安全意識を高め事故を減らすためにも、車両管理システムは大いに役に立っていると感じました。次回は、電線の再利用をテーマに、ミカド金属さんにお話を伺います。
(ミカドONLINE 編集部)
取材先:ミカド電機工業株式会社 お話:澤田一幸 代表取締役社長
資料提供:ミカド電機工業株式会社 取材日:2017年3月24日 取材:ミカドONLINE編集部