特集記事「デンキのお仕事」です。暮らしの中で電気の重要な部分を担当しながら、普段あまり表に出て来ない分野に焦点を当てて最新事情をお伝えします。1回目は福島県福島市に本社を置く北芝電機株式会社です(前編)。営業本部営業推進部の五十嵐吉雄部長にお話を伺い、営業本部営業推進部企画グループの神野真由美グループ長にもご同席いただきました。※文中の敬称は省略させていただきます。
電力システムなど社会インフラの機器を製造するメーカーです
編集部:北芝電機さんはどんなメーカーさんですか?
五十嵐:北芝電機は東北唯一の東北に本社がある重電機器メーカーです。
編集部:東北に本社がある会社で重電機器を作っている会社は他にない?
五十嵐:東北で作っている会社はありません。 小さい変圧器などを作っている会社はありますが、我々のような強電分野、送電・配電・変電機器、つまり、一般の工場の変電所や電力会社を主体とした社会インフラの機器を製造している唯一の重電会社と認識しています。
編集部:主力の商品は何ですか?
五十嵐:変圧器と発電機です。変圧器は東北+新潟7県の各変電所などで採用していただいています。
編集部:長寿命を実現した次世代の新型変圧器を開発されたと伺ったのですが。
五十嵐:ウルトランスですね。Ultra-long life(長寿命) and Low loss(低損失) Transformer filled with Rapeseed(これが菜種の意味です)oil for Advanced Next Stageの頭文字を取って、ULTrans(ウルトランス)と名付けています。変圧器というのは絶縁のために油が充填されていて、通常は鉱油が入っていますが、新型環境調和型変圧器(ウルトランス)は絶縁油に菜種油を使用していることが最大の特長です。
新型次世代変圧器の絶縁油は菜種油!
編集部:菜種油(ナタネ油)!?
五十嵐:はい、菜種油を使うことで、「環境性能向上」「土壌汚染防止」「安全性向上」をかなえ、電力損失の低減や長寿命化を実現させました。開発は東北電力と共同で行い、昨年(2016)7月には、初号機が山形県の桜田変電所(山形市)で運転を開始し、8月には、新設された岩手県住田変電所(住田町)に導入されました。
編集部:どうして菜種油なんですか?
五十嵐:植物由来なのでカーボンニュートラルであることや、生分解性が高いので土壌汚染が少ないこと。それに、引火点が高い(330度)ので防火性に優れているなどの長所があります。実は、菜種油を入れた変圧器は昔からあったんです。それは大きい変圧器ではなく。 戦時戦後、鉱油が手に入らなくて、柱上の小さい変圧器に鉱油に替えて菜種油を絞って入れたら意外とよかった。そうした過去の話もあったので、変圧器の絶縁油として菜種油が使えるという発想はありました。
お話/営業本部営業推進部:五十嵐吉雄部長 取材日/2017年2月3日
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