面白くて眠れなくなる植物学
稲垣栄洋 著
PHP文庫 814円(税込)
植物学ってタイクツ?
皆さんは植物学にどんなイメージをお持ちでしょう?
神木隆之介さん主演で植物学者牧野富太郎をモデルにした 2023年4月放映の朝ドラ「らんまん」のおかげで 植物学もだいぶ市民権を得たような感じもしますが
「動きもしない しゃべりもしない 植物の研究なんてして何が面白いの?」
なんて感じる人もいらっしゃるんじゃないでしょうか
仲間内では「雑学王」と言われる私(ほんとは博物学者と呼ばれたい)も 正直言ってあまり興味をひかれない分野ではあります
みちくさ先生がその面白さを教えてくれる
そこで今回はそんなわたしたちに 身近な植物の面白さをわかりやすく教えてくれる 自称「みちくさ研究家」稲垣栄洋さんの著書から 「面白くて眠れなくなる植物学」を紹介します
稲垣栄洋さんは 農学博士で 静岡大学農学研究科教授という 大変お硬い肩書をお持ちですですから 楽しみながら正しい科学的知識を得ることもできます
花の色はどうやって決まる?
菜の花やタンポポなど 春先にできるお花畑はどうして黄色い花ばっかりなのか不思議に思ったことはありませんか?
これは 黄色い色を好み 花の蜜を吸いに来るアブの仲間に受粉のための花粉を運んでもらうため
アブは次から次と見境なく花を移動して密を吸うのですが 他の種類の植物の花に花粉を運ばれても 蜜の「吸われ損」なので 菜の花なら 菜の花に花粉が間違いなく届くよう 集まって咲いているんだそうです
逆に紫色の野草が 単独でひっそり咲いているのは 同じ種類の花を選びがちな ミツバチの仲間だけに来てほしいから
ミツバチの目は高性能で紫色が見える(紫外線も見えるとか) ので花の色は紫色に
しかも紫色の野草は花弁の形を複雑にして下を向いて咲くなどして 頭の良いミツバチ以外の虫には入ってこれない「ミツバチ専属」の仕組みにしているのだとか
花粉を運んでもらう昆虫の個性に合わせて 姿形を変える
実は植物ってめちゃめちゃ戦略的な生き物だったんですね
どうです だんだん面白くなってきたでしょ
植物には 合理的な戦略性がいっぱい
ほかにも
なぜ高さ100mを超える巨木は 根っこから吸い上げた水分を 樹冠(木のてっぺん)まではこべるか?
草原を形成するイネ科の草はどうしてウシ科の動物にモリモリ葉っぱを食べられてもすぐ復活できるか
逆にウシ科の動物はどうやって栄養分が少なく硬いイネ科の草を栄養に変えるか?
トリケラトプスなど恐竜の衰退は 大隕石以前に被子植物のせい?
などなど 面白くて眠れなくなる? 小ネタが満載
通勤・通学途中の雑草にも目を向けてみたくなる
この本を読んでから 通勤途中の歩道や分離帯に生えている雑草にも目が行くようになりました
エノコログサ・スズメノカタビラ・ヒメジョオン・・・
身近な草花の名前を知ると 知らない草花を見かけた時に
「おまん、誰じゃ?」
なんてつぶやいてしまうかもしれませんね 朝ドラの万太郎さんみたいに・・・
おまけ
身近な雑草たちのことを知りたくなったら ミカドONLINEの 「雑草! 名もなき草の名」をぜひご覧ください 面白いよ!