横山明日希著 青春出版社 1,100円
皆さんは数学お好きですか?
学研の高校生白書2021年度版の調査で、数学は「好き」が16.2%に対し、「嫌い」は22.3%と、「嫌い」が「好き」を上回り、好きな教科・嫌いな教科ともトップに輝きました
皆さまはいかがですか?
会社の数字を計算したり、科学系の本を読んだりするのが好きな私ですが、純粋な数学については実はそんなに得意じゃないんです。
中学のはじめごろまで四則演算や幾何は得意だったんですが、中学→高校と進むにつれ、いったい何の役に立つのかわからない、3次方程式や三角関数や行列にアタマがクラクラしてて、理系への道をあきらめました。
理系に行った友達をよく観察すると「何の役に立つのか」ではなく、数学をゲームやスポーツとして楽しめる、純粋な心の持ち主が多かったように思います。
そんな文系勢の救世主
そんな私たち文系勢に、もう一度数学の楽しさと意味を教えてくれるのが、この「文系も超ハマる数学」です。
著者の「数学のお兄さん」こと横山明日希さんは、なんにでも意味を求めてしまう「こころの汚れた」文系人間に対して、「この数学は、世の中でこんな役に立っているんですよ」という書き方で、確率論や統計、因数分解、そしてあの三角関数を説明してくれます。
突然出る「当選確実」おかしくない? 何かの陰謀??
今回はその中から「選挙で投票締め切り直後に、いきなりテレビで当確がでるのおかしくないですか? 何か不正が起きてるんじゃない?」問題について書かれたところを紹介します。
実はこの、当選確実の発表は各テレビ局が、投票所で「だれに投票しましたか?」とアンケートを採る「出口調査」をもとに判断されます。
当確を出すのに必要なサンプル数は何人くらいだと思います?
実は統計学を使えば、投票者数が10万人だろうが100億人だろうが、1500〜2000人の投票結果が分かれば、よほどの接戦でもない限り選挙結果は分かってしまうそうです。
根拠となるのはこんな計算式(本より抜粋)だそうです
意味は分かりませんがすごそうですね
なので、例えば投票所が484か所ある東京都議選なら投票開始から一か所5人、2420人も回答を得れば、投票結果が分かってしまう、と言うわけです。
(実際には2万人上の回答を得るそうです)
他にも数学でわかることは一杯あるらしい(知らんけど)
他にも、出現率が1%のガチャが100回やっても一度も出ない確率が36%もある話や、この瞬間に世界中で何人くしゃみしたかを計算する方法、そしてあの三角関数がGPSに役立っている話などなど。
私と同じように何を見ても「これは何の役に立つのか?」と考えがちな文系人間にはぴったりの内容だと思います。
逆に数学そのものが大好きで、その実用性には興味がわかない「純粋理数系」の人はハマらないかもしれませんね。
☆ 別の読み物で知ったのですが、高校生の時「これ何に使うんだろう?」と大疑問だった「行列」は、AIの深層学習に欠かせないものだそうです。山田先生(高校当時の数学の先生)馬鹿にしてごめんなさい!