一日一種 著 山と溪谷社

「生きもの」は「死ぬもの」
先日、庭の落ち葉を掃除していたらスズメの小さな羽毛が たくさん落ちていました。
どうやら軒先のスズメの巣にカラスが侵入し 子スズメを襲ったようです。
そしてそのスズメも、カメムシを捕まえて食べています。
生きものは必ず死んで 何らかの生きものに食べられてしまう・・・自然って残酷ですね。
子供の頃、アリの行列がトンボの死骸をせっせと運んでいるのをながめながら、おんなじようなことを考えたことを思い出しました。
さて今回はそんなことを考えたことがある人にも、ない人にも、自然を通じ、力のかぎり生きて死ぬことの大切さを教えてくれる、一日一種さんの「ざんこく探偵の生きもの事件簿」を紹介します。
作者の一日一種さん(変わったペンネームですね)は元「野生動物調査員」だそうです。
野生動物調査員というのは「公共事業などの工事を行う際に、周辺環境、特に動物の生態系への影響を調査する」のがお仕事だそうで、わりと博学(自分で言うか?)な私も、初めて聞く珍しいお仕事ですね。
物語は冷静沈着な日本リスの「ざんこく探偵」と怖がりで優しいハートを持つ助手の「タマ」(こちらは大きなツキノワグマ)が、森でさまざまな動物の死体に遭遇しその謎を解く、というもの。
全34話の短編マンガ集ですが、まず第一話が「ハサミムシ バラバラ事件」
ね 残酷でしょう?
他にも「イモリ 串刺し事件」「トンボ トゲトゲ死事件」など、さまざまな生きものの死にざまを推理していきます。
少しだけネタバレしますと、母ハサミムシは卵から幼虫がふ化すると、子供たちに自分の体を与え巣立つための栄養を与えるんだそうですし、
イモリはモズという鳥に捕まって木の枝に串刺しにされて保存食になっていた、というワケだそうです。
つまり生きものは 死ぬことによって自分の子孫や他の生きものの栄養となることで、地球上を永遠に循環しているってことです。
なんだかロマンチックですね。
このマンガを読むと、生きものの死体がたどるこれからの人生(??)に思いをはせることができます。
一日一種さんは他にも、日本の野生の生きもののあれこれをコミカルに描いた「わいるどらいふっ!(1〜3刊 山と溪谷社)」というマンガも書いておられます。
またWEBサイト「生きものデザイン研究所」にもマンガを公開してますのでぜひご覧になってみてください。
☆ え? 「ゴミとして燃やしたら循環にならない」ですって?
たとえば、ゴミじゃないけど人間が死ぬと大抵は火葬場で燃やされて、骨だけになっちゃいますよね。
人間も循環させるためには、燃やさないほうがいいように思えますが・・・
実は燃やされてしまった体は、分子・原子レベルの物質になって煙とともに大自然に放出されて、また大気や海水や地表に含まれ、やがて生きものに栄養として取り込まれていきます。
国立循環器病センター研究所名誉所長の菅弘之先生によると、
- ひとりの遺体が火葬されると500g前後の遺骨や遺灰を除いてすべての物質が燃焼し大気中に広がる。
- 人体構成物質は分子で見ると65%が水、16%が蛋白、13%が脂肪、5%がミネラル、1%が糖質。それらは酸化分解され水蒸気、炭酸ガスなどになって大気に混ざる。
- 計算すると大気1リットル中にある原子14万個が故人に由来する原子数となる。
- 1回の呼吸で0.5リットルの空気を吸い込むので7万個の故人由来原子が含まれていることになる。
(以上 池岡クリニックさんのブログからの引用を抜粋 詳しくはこちら)
ロマンと感じるか、「気持ち悪い」と感じるかはあなた次第です(笑)