馬田隆明著 英治出版 2200円
新年あけましておめでとうございます。
今回は自然科学そのものからちょっと外れて、「科学的思考」に役立つ本のお話をします。
東大の知恵をあなたに
ご紹介するのは東京大学Foundxディレクター 馬田氏の「解像度を上げる」。
Foundxは東京大学が運営する起業支援組織です。
なので本来は起業を志す東京大学の学生、卒業生だけのためのもの。
それを今回馬田さんは、だれにでもわかりやすい文章で公開してくれています。
しかも後で述べますが、その英知の一部を無料で見ることもできるんです。
ところで解像度ってなんなのさ?
解像度と言っても、カメラのことを書いた本ではありません。
ここで言う解像度は**「思考の明確さ・ピント」**のこと。
この解像度が低い=ふわっとしていると・・・
解決策にたどり着けなかったり
人に伝わらなかったり
開発した事業がうまくいかなかったりします。
だから「起業を目指すのなら解像度を上げよう」っていう内容です。
起業しない人にも解像度が必要
「えー でもボク起業するつもりなんかないし・・・」
っていう人にも解像度は大切です。
自分が抱えている課題を解決したい 他の人の課題を解決してあげたい
自分の考えを相手にわかるように伝えたい 面白い人と思われたい
これすべて、解像度を上げることで解決できるんじゃないですか?
解像度を上げるポイントはたった4つ
馬田さんはこの本で、思考の解像度を
「深さ・広さ・構造・時間」
という4つの視点に分解し、どう行動したら解像度が上がるのか教えてくれます。
特に「深さ」については全362ページのうち100ページ余を費やして詳しく解説
内化(読む・聞く・考える)と外化(書く・話す・発表する)を繰り返すことで、思考の解像度を深めることができると説いてます。
また広さは「高い視座」「相手の視座」
構造は「要素を分ける」「つながりを見る」
時間は「時間の経過による変化を見る」「過去から学ぶ」
ことであなたの解像度は急上昇⁉
購入をためらってる人に無料版118枚構成のスライドをご紹介
「でもな〜 362ページもある本を読み切れるかなー? 細かい字でビッチリなんでしょ?
新品で買うと2,200円もするし・・・」
と迷っている方に朗報です。
なんと無料で公開されている118枚構成の「解像度を上げる」スライドがあるんです。
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といいますか 実はこっちが「本家本元」でして
2021年に公開されたこの「神スライド」が評判を呼びそれが堂々の書籍化になった、と言うわけ。
しかも2023年に書籍化にあわせて大幅アップデートまでされているんですよ。
スライド見てもわからないかも?? と不安な方には馬田さん直々の解説YouTubeまで
もうほんとにここまでやってくれるのか! と言うくらい親切な馬田さん
なんとなんと! アップデートされたスライドの解説動画まで用意してくれています。
これを見ただけで解像度が上がること間違いなし!
しかーし、さらに上をいきたい方はぜひ書籍を手に取ってみてくださいね。
ささやかな自慢 「実は私も前からそう思ってました」
作品の中で、馬田さんは解像度の「深さ・広がり・構造」を、コンピュータのファイル構造でもある、「ディレクトリ(ツリー)構造」で説明しています。
私が初めて触れた40年前、パソコンはMS-DOSというOSで動いてました。
「MS-DOSのファイル構造は人間の考え方に似ているな〜」と妙に感心した私はそれ以来、自然とこのツリー構造で書いたり考えたりする癖がつきました。
以上、ささやかな自慢でしたが・・・
よく考えたら、コンピューターは昔「人工頭脳」なんて呼び方もされていたので、人間の考え方とそれを模倣してつくったツリー構造が似ているのは当たり前のことですし、今やこの考え方は「ロジックツリー」と呼ばれる論理的思考の代表的なツールとして知られています。