⑥圧縮空気蓄電システム~天才女性科学者

    1.あなたの知らない蓄エネテクノロジーの世界
    ~③圧縮空気蓄電システム(と、天才女性科学者)~

    新しい圧縮空気蓄電システムの開発がスタート

    2015年6月19日、神戸製鋼、早稲田大学、エネルギー総合工学研究所(IAE)の三者が、長寿命で信頼性と環境性に優れた「断熱圧縮空気蓄電システム」の開発に着手した、と発表しました。これは、風力発電設備の出力平準化を主な目的として、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「電力系統出力変動対応技術研究開発事業」の一環として実施されます。

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    風量発電の出力変動(出典:電気事業連合会

    風力発電は、出力が風速の3乗に比例して変化するため、風があるときとないときで得られるエネルギーの差が大きいのが特徴です。太陽光発電の日射量の変化と比較しても、台風など低気圧の通過や突風の存在を考えた場合、出力変動が激しく、瞬発的で予想も立てにくいことが容易に想像できると思います。そのため風力発電では、強風日に送電容量を超えて余った電気を蓄電池に蓄えるのが一般的ですが、蓄電池の多くは充放電を小刻みに繰り返すと性能が落ちる欠点があります。

    電気を圧力と熱に変換

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    断熱圧縮空気蓄電システムのイメージ (出典:早稲田大学

    今回、神戸製鋼などが開発するシステムは、余った電気をそのまま蓄えるのではなく、余剰電力で空気を圧縮して専用のタンクに蓄えておく仕組みです。風が止んで発電量が不足したときは、タンク内の圧縮空気をスプレーのように外部放出して発電機を回し、電気を安定供給させます。また、空気を圧縮すると熱が発生しますが(ボイル・シャルルの法則)、このシステムでは得られた高熱を圧縮空気のさらなる

    圧縮空気を使った海外の既存施設(出典:畑のたより 環境・核編)
    圧縮空気を使った海外の既存施設
    (出典:畑のたより 環境・核編

    加熱膨張に活用し、より発電効率が上がるようにします。発電機の出力は千キロワットとなる見込みです。

    圧縮空気貯蔵の技術自体は以前からあり、ドイツのフントルフではこの技術を利用した 29 万 kW のガスタービン発電所が 1978年から稼働しています。その後 1991 年には米国マッキントッシュでも商用プラントの運転が始まりました。日本でも1998~2001年に北海道で実証実験が行われていますが、それらは皆、ガスタービン発電機と組み合わせて燃焼効率を上げるために使われたもので、圧縮空気を貯蔵する場所も地下の岩盤や空洞でした。北海道の実証実験の場合は旧砂川炭鉱坑道を貯蔵箇所とし、深夜電力貯蔵によるピークカットを目的としていました。

    日本でも現実味を帯びてきた圧縮空気蓄電システム

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    ダニエル・フォン氏
    (出典:ウィキペディア)

    圧縮空気蓄電システムがここにきて開発が加速しているきっかけのひとつとして、ある天才女性科学者の存在を挙げる専門家もいます。彼女の名前はダニエル・フォン。小学校がつまらない、という理由で12歳で大学に入り17歳で大学院に進学しましたが、その大学院にも退屈さを感じてベンチャーを立ち上げました。そして世界中の余剰エネルギーを圧縮空気にして巨大なタンクに保存するという壮大な発想で資金を募り、ビル・ゲイツなどが投資をして話題になりました。

    それまで、圧縮空気は高圧エネルギーのため、安全で広い地下の岩盤に貯蔵する考えが一般的でした。そのため、地質上、適した場所がない日本では、技術的に困難と思われていましたが、タンクの技術開発や、前述のダニエル・フォンが立ち上げたライトセイル・エナジー社などの出現により、再生可能エネルギーの平準化という新たな課題への施策として、実用化が現実味を帯びてきたわけです。

    2017年度以降に商品化を目指す

    汎用機器で構成され、希少物質を使用しないという点が長寿命と信頼性と環境性に優れているといわわれる断熱圧縮空気蓄電システムは、一説では揚水発電のコストを下回るのでは?ともいわれています。プレス発表の予定では2016年度にMWクラスの実証機の試運転を行い、2017年度以降には商品化を目指しているとのこと。今後の動向に注目していきたいです。


    2.今月の家電ヒストリー「電子レンジ」~ミサイルと自転車~

     

     

    レイセオン社の「レーダーレンジ」(出典:Wikipedia)
    レイセオン社の「レーダーレンジ」(出典:Wikipedia)

    今月の家電ヒストリー「電子レンジ」~ミサイルと自転車~

    電子レンジはアメリカの軍需製品メーカーであるレイセオン社で偶然をきっかけに生まれた製品です。レーダーの担当技術者がマイクロウェーブを照射するマグネトロンという機器の前に立った時に、ポケットのチョコレートが溶けていることに気が付きました。そこから、レーダーのマイクロウェーブが食品の加熱にも利用できることがわかり、同社が1947年に売り出した「レーダーレンジ」という商品が世界で初めての電子レンジとなりました。しかし出力が大きく大型で高価な上に配管工事も必要だったため、あまり売れませんでした。

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    東芝の電子レンジ国産1号機(出典:東芝未来館)

    そのレイセオン社のマグネトロンをモデルに、国産1号機の電子レンジを1959年に開発したのが東芝です。東芝が開発した電子レンジは市販品ではなく防衛庁に納入されたもので、翌1960年には国鉄のビュッフェ用にも採用されましたが、設計はレイセオン社のマグネトロンを分解し、正確に計測する方式だったため量産はされませんでした。また大きさも冷蔵庫のようなサイズでした。

    一方、同じころにレイセオン社と日本無線の合弁会社として新日本無線株式会社が発足し、マグネトロンの小型化に成功しました。それを採用して家庭用電子レンジの商品化に取り組んだのが松下電器とシャープです。やがてレイセオン社の基本特許が切れる1960年代後半になると各社がマグネトロンの自社生産を開始し、小さくなって価格も下がった電子レンジは、参入するメーカーも増えて、次第に普及し始めました。そして日本製の小型電子レンジは世界を席巻するまでになりました。

    ちなみに電子レンジの「チン」という終了音を最初に付けたのはシャープです。「せっかく温まった食べ物が冷めないようにタイマー終了の合図が欲しい」という要望を受けて、自転車のベルをヒントにしたそうです。トマホークやパトリオットなどのミサイルをつくっている会社で開発された電子レンジが日本で小型化し、自転車のベル音が搭載されて本国アメリカに大量に輸出されるというのも面白い歴史ですね。


    3.あべクンが行く♪
    ~(1)仮装も楽しめるチャリテイーランニングイベント!~

    ポスター

    3.あべクンが行く♪
    ~(1)仮装も楽しめるチャリテイーランニングイベント!~

    シリーズ第一回目ということで、私がマラソンを始めたきっかけをお話ししたい…ところですが、実は皆さんにぜひオススメしたい大会の開催が迫っていますので、早速お知らせしてしまおうと思います(笑)10月25日(日)に岩沼市千年希望の丘で「PARACUP SENDAI」という震災復興支援のためのチャリティーランニングイベントが開催されます。チームでたすきを繋いで1周2キロのコースを3時間走るリレーマラソン大会です。仮装コンテストもあるので仮装するチームも多く見られます。屋台やステージ演目もあり、更に今年は走った後に日本酒試飲会まで!大人の運動会という感じですが、子ども向けの無料の種目や大人・子ども混合の種目、またゆるキャラが来たりと、もちろんお子さんも楽しめますよ。


    最近はこういう楽しめるイベントに職場の仲間で参加するケースも多く、会社のコミュニケーションイベントとして活用されているようです。皆さんの会社でもチームを作り、仮装して参加してみてはいかがでしょうか?
    私はボランティアスタッフとして当日参加しますので、ランニング経験がない方もお祭りのような気分で遊びに来てください!

    PARACUP SENDAI 2015 リレーマラソン @千年希望の丘
    with 『東北風土マラソン&フェスティバル』and 『仙台空港』
    http://www.paracupsendai.info/


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