私は今までリットルという単位を何の疑いもなく「ℓ」(筆記体)と書いていました。けれど今は「L」(大文字)と書くのだそうです(びっくり!)今回はリットルにまつわる小ネタです。
リットルという単位はフランスから始まりました
リットルはたて・よこ・高さが10㎝の立方体の体積を表す単位です。スーパーやコンビニに並ぶ大きいほうのペットボトルは2リットルですし、一升瓶のお酒は1.8リットル。
リットルは生活にも関わりの深い身近な単位としてよく使われています。
リットルという単位は フランスの伝統的な単位であるリトロンが(litron) 語源です。もっとたどると、古代ギリシア語のリトラ(litra)という単位がラテン語を経由してフランス語になったようです。
1790年(寛政2年。将軍は第11代徳川家斉)、革命後のフランスでは「世界中の人が使えるように、長さの基準を統一して新しい単位をつくろう」という提案が起こり、1793年に学者や有識者の委員会が結成されました。
その後、地球の長さを基準にした1メートルという単位が制定され、そのときにリットルも定義されました。メートル法に照らせば体積の基本単位は1立方メートルになりますが、日常的に使うには大きすぎるため、それまでフランスでカディルと呼ばれていた単位を再定義し直して、それが新たにリットルと命名されたようです。
2011年度から教科書のリットルの表記が変わりました
ところで皆さんは現在の教科書で使われるリットルが大文字のエル「L」であることをご存じですか?
実は2011年度(平成23年度)から小学校や中学校の教科書では、今までメートルなどの単位でつかっていた筆記体(斜体)をやめ、さらにリットルは大文字のエル「L」に変更されました。
これは日本の単位表記を国際基準(SI単位と呼ばれます)に合わせたもので、国際基準では,単位を表記する場合,その書体は”立体”(斜体ではない直立した書体)で表記するように決められているからです。
SI単位の国際ルールでは人名に由来する単位だけが大文字で書かれるはずですが、「l(エル)」は数字の「1」と混同されやすいため、リットルだけは「L」でも「l」でもよいという特例になっています。
しかし、アメリカ化学会 (ACS) の論文誌は「大文字のエル」に統一しており、「小文字のエル」で原稿を提出しても、編集段階で大文字に修正されるそうです。イギリスの英国王立化学会 (RSC) の論文誌では、著者のスタイルに任せているようですが、こちらも「L」を使うほうが多数派で、最近ではリットル=「L」という表記が定着しつつあります。
リットルという単位を筆記体で書いている皆さん、またはPCで環境依存文字「ℓ」をわざわざ変換して使っている皆さん、その表記は今では古い書き方ですよー!
といいつつ、実はそれ、この私なのでした(笑)
(ミカドONLINE編集部)
引用/参照記事 Litre Litre メートル法はいかにして生まれたのか? あるいは統一単位がない世界で君臨する不都合の数々 リットルは大文字か小文字か2015/01/19(月) など