もうすぐ2016年。
年始の神社は、一年の無事と平安を願う初詣客で賑わいます。基本の参拝作法として「二礼二拍手一礼」が知られていますが、拍手をする時、右手を左手よりも少し下げるのは何故なのでしょうか。
二回頭を下げて神様への敬意を表した後、胸の高さで二回拍手をします。
拍手をすることで神様を招くのだとも、自分が素手であり下心がないことを神様に証明するためだとも言われますが、どちらにしても、右手を左手の第一関節辺りまで下げて打ちます。
これは、左手を「陽=霊」、右手を「陰=体(身)」として霊を主体とする神道の考え方に由来しているとのこと。
右手がずれているこの時点では神様と人とがまだ一体になっておらず、その後できちんと指先を合わせて祈りを込めることで神様の力を体得する、という説もあるようです。
また普通に打つより音色も良くなるんだとか。拍手の後は願い事があれば心の中で念じ、最後にもう一礼します。
神社によって作法が違うこともありますが、これが基本の流れになっています。
ちなみに拍手は「柏手(かしわで)」とも言いますが、これは漢字が良く似ているために起きた誤記であるという説が有力。
手を合わせた時の形が柏の葉に似ているからという説や、殺菌効果がある柏の葉をお皿として利用していたことから、食べ物への感謝を込めて打つ拍手が「柏手」と呼ばれるようになった、という説もあります。
「拍手」という行為は称賛や喜びの表現として万国共通して見られますが、神様への拝礼にも取り入れられたのは日本だけだそうです。
ごく普通の行為を儀礼に高めるほど、神様は日本人にとって身近な存在なんですね。