これでなっとく!エネルギー(5)「地球」温暖化という表現は間違い?〜正確には「地表」の温暖化〜

    みかドン ミカどん

    エネルギーに関して日ごろから感じている素朴な疑問の第5回目は「地球温暖化」です。私は地球の規模からみて、人間の活動が及ぼす気候変動について疑問に感じるところもありました。ですが、そういうことではなかったんです(このシリーズのリストはこちら

    CO2濃度増加の4分の3が化石燃料の燃焼によるもの

    (画像:南房総市

    二酸化炭素(CO₂)、メタン(CH₄)、一酸化二窒素(亜酸化窒素、N₂O)、フロンなどを温室効果ガスといいます。これらの気体は赤外線を蓄積・放出する性質を持っており、太陽で暖められた地表の熱が宇宙に逃げていくのを防いでくれます。

    現在の地球の平均気温は15℃前後ですが、もし温室効果ガスがなければ地表の熱がどんどん宇宙に放出されてしまい、その場合の平均気温はマイナス19℃になるといわれています。 つまり温室効果ガスは私たちが地球上で生きていくために必要不可欠なものなのです。

    しかし、産業革命以降、人間が石油や石炭等の化石燃料を大量に燃やして使用したことで、大気中への温室効果ガス、特に二酸化炭素の排出が急速に増加しています。 このため、温室効果がこれまでよりも強くなり、地表面の温度が上昇しています。これが「地球温暖化」です。

    過去20年間における大気中のCO2濃度増加の4分の3が、化石燃料の燃焼によるものです。また、廃棄物の焼却も大量のCO2を排出します。

    温室効果ガスの発生は工業だけでなく、農業からも発生します。CO2の約25倍の温室効果を持つメタンの3割、約300倍の温室効果をもつ一酸化二窒素の約6割が農業由来です。

    温暖化は高度わずか10km以下の対流圏で起こっている

    (画像:JAXA

    ここまでが地球温暖化の一般的な説明ですが、それでは二酸化炭素など私たちが排出する温室効果ガスの影響はどこまでの範囲に及ぶのでしょうか。

    地球を包んでいる大気の存在する範囲は大気圏と呼ばれていますが、温暖化はその中の対流圏と呼ばれる層で起こっています。

    対流圏は(いわゆる)空気がある場所で、雨や風や雲の発生などの気象現象はここで発生します。

    これよりも高度が上がると空気はどんどん薄くなり、空気がほとんどなくなる地上100km以上は「宇宙」と国際航空連盟で定義されています。(米国空軍では80kmから)

    そして対流圏の高度は地上からわずか10km。それはエベレストの少し上で、ジェット機が飛ぶ高度とほぼ同じです。

    地球温暖化は思ったよりも狭い範囲の問題?

    この100年間で地球の平均気温は15度から15.6度に上昇しました。

    地球を直径1メートルの球にたとえると、対流圏の層の厚さはわずか1㎜くらいにしかならないそうです。これはリンゴでいえば皮の厚み以下ということになります。

    地球温暖化という言葉を聞くと、とても大きな規模で何かが変動しているイメージを持ってしまいますが、実際は地上の非常に薄い層で温室効果ガスの濃度が上がっているわけです。

    そう考えると人間が排出するCO2の影響も納得できます。

    その意味で「地球温暖化」よりも「地表温暖化」のほうが、よりしっくりくる表現のような気もしますが、いずれにしても想像以上に狭い範囲の問題とわかったことで、意識も少し変わりました。

    そして人間の努力でオゾンホールが縮小しているように、温暖化も人のちからである程度食い止めることができるような気もしてきました。

    皆さんは地球温暖化をどのようにとらえていましたか?仕事柄、地球温暖化はよく耳にする言葉なので今まで漠然とした認識しかありませんでしたが、今回改めて調べてみて少しびっくり。勉強不足だったことがよくわかりました。

    (ミカドONLINE編集部)