(49) 音力発電!?話し声も音楽も騒音も電気にできるって本当?

    みかドン ミカどん話し声や音楽や騒音で発電できる超薄い音力発電素子が開発されたそうです。今回は最新のニュースからお伝えします。

     

    音で発電できるの?

    (画像:左/東北制御、右/サックス フイテマス

    話し声や音楽や騒音などの「音」で発電できるのでしょうか?結論から言えば可能です。

    というか、すでに幅広く実用化されています。

    コイルの中で棒磁石を上下させると発電するのが電磁誘導の原理ですが、その方法を使えば音の小さな振動からでも発電できることが想像できる思います。

    このしくみを利用しているのがダイナミックマイクという種類のマイクです。ダイナミックマイクは、マイクとしての電源を必要とせずジャックに差すだけで使え、頑丈で大音量にも耐えられるので(繊細な音は苦手)ステージでのライブパフォーマンスに多く使われています。

    ですが発電と言っても「電気信号」レベルなので、この方法では何かを光らせたり動かしたりするエネルギーは得られません。つまり私たちが想像する「発電」のイメージとは程遠いものだったのです。

    そこで近年は振動ではなく圧力で表面に電荷が流れる「圧電素子」という素材が多数開発され、発電効率も大幅に向上しました。そちらもブザーや携帯電話のマイクなどに使われていますが、ほかにも発電床や発電靴などベンチャー企業のユニークな製品に活用されています。

    圧電素子の形状は様々ですが、デバイスなのでどれも一見して電子部品とわかるような見た目をしています。しかし先月、その常識を覆す薄型で膜状の新しい素材の発表があったのです。

    サランラップ5枚分の厚さで音力発電

    東京大学大学院工学系研究科の研究グループは2023年9月、会話や音楽、環境騒音などを利用して発電できる「音力発電素子」を開発したと発表しました。

    総厚みは50μm(マイクロメートル。1mmの1000分の1単位)で電力密度も世界最高レベルを実現したそうです。

    ちなみにサランラップの厚さが平均11μm(マイクロメートル)ということなので、音の振動を電気に変えるしくみがサランラップ5枚分の厚さの中にぎっしり詰まっているということになります。すごいですね。

    電解紡糸法で開発に成功

    今まで薄型で高効率な音力発電素子を実現することは困難とされていました。

    電力変換効率を向上させるための立体的な構造を薄い素子に持たせたり、音の振動を増幅させる微細な穴の構造を薄型素子に加工することが難しいからです。

    そこで研究グループは「電界紡糸法」と呼ばれる技術で形成した複数のナノファイバーシートを積層し、50μm以下という超薄型の「ナノメッシュ音力発電素子」を開発しました。

    電解紡糸法は溶解した材料に電界を印加して紡糸する手法です。細く尖ったノズルに高電圧をかけて液状の材料を噴出させることによって、直径がナノ寸法のファイバーを作ることができきます。

    会話や音楽でLEDが発光

    研究グループは、開発したナノメッシュ音力発電素子をマスクに貼りつけ、実証実験を行いました。その結果、会話の音や周辺からの音楽を電力に変換し、マスク上のLEDを発光させることに成功しました。

    また、温湿度センサーで計測した温度と湿度のデータを無線転送するセンサーシステムの電力源として利用できることも確認できました。

    音力発電の分野では2006年に(株)グローバルエナジーハーベスト(旧:音力発電)というベンチャー企業が設立されて前述の発電床や発電靴を開発するなど、斬新な研究を続けていますが、音響エネルギーは光や温度と異なり、季節や気候変動の影響を受けにくいというメリットがあります。そのため持続的な電力源として注目度も増してきているようです。

    小さな振動から小さな電気を生み出すしくみがどのように活用されるのかまだわかりませんが、こういった技術が普及すれば、ソーラー電卓のように電池がなくても使える製品がたくさん出てくるのかもしれませんね。

    (ミカドONLINE編集部)

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    参考/引用記事: 世界最高電力密度の超薄型音力発電素子の開発に成功 ―会話や音楽、環境騒音など様々な音を利用した高効率の発電を可能に―|プレスリリース 音力発電って何だ!? エアバスも大注目の日本発グリーンベンチャー | 企業戦略 | 東洋経済オンライン など

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