(56) こんな場所にも太陽光!〜技術の進歩で用途が広がる身近な暮らしのソーラーパワー〜

    みかドン ミカどん

    太陽光発電といえば広大な土地に広がるメガソーラーを思い浮かべる方も多いと思います。ですが近年はソーラーパネルの性能が上がり、今までにはなかった場所で太陽光発電を利用した設備や製品を見かける機会が増えてきました。今回はそういった事例をご紹介します。

    山小屋のソーラーパネル

    黒百合ヒュッテ(画像:気まぐれトレッキング紀行

    太陽光発電のメリットは、
    ・化石燃料を使わないのでCO2を出さない
    ・枯渇しない自然のエネルギーを利用するので持続可能

    ということになりますが、ほかにも利点があります。

    それは
    ・電気のない地域でも発電ができる
    ・燃料の補充が要らない
    ・大規模な土木工事を必要としない

    ということです。

    そのため現在では多くの山小屋に導入されています。

    工事中の涸沢ヒュッテ(画像:滝澤工務店

    電気もガスもない山小屋の電源は、ディーゼルエンジン発電機が一般的ですが、燃料だけでなく燃料をヘリコプターで輸送する荷揚げ費用も大きく高騰していることや、騒音・軽油の燃焼臭が自然環境にふさわしくないという理由で導入が進んでいます。

    山岳地帯は天候が悪い日も多いのですが、そういった日は強風が吹き荒れるので、風力発電と組み合わせたハイブリッド型も増えているとのこと。

    行者小屋(画像:山小屋.info

    ただし、宿泊施設である山小屋のすべてのエネルギーを賄っているというわけではなく、ある山小屋の管理人さんのブログによると「主に電気は台所の換気扇、通信機器の充電、携帯電話の電波増幅器等に使用」とのこと。当社の社長の話では、トイレの換気にも使われているそうです。

    古くて味わいのある伝統的な山小屋の外観とソーラーパネルは不似合いな気もしますが、それでスマホが問題なく充電できるのなら、個人的にはそちらがいいです。万全な通信手段の確立は安全対策としても重要ですよね。

    バイオトイレに太陽光発電が必須の理由

    商用電力のない山岳地や土木工事の現場などに、バイオトイレと呼ばれる水を使わない(または少量使用の)トイレが設置されていることがあります。

    これは微生物の力で排泄物を分解するもので、「水が不要」「臭いがしない」「大きな設備工事不要」「汲取り不要」「下水道不要」「バキュームカーが入れない場所にも設置できる」など多くの長所があります。

    ですが、そのためには必ず電気が必要です。なぜならバイオトイレは微生物を活性化させるために

    ・モーターによる「撹拌」
    ・ヒーターによる「温度管理」
    ・ブロアーによる「酸素供給」

    を行うからです。

    そこで活用されているのが太陽光発電です。これによってまだ電気が来ていない山間部の開発地やへき地、上下水道を設置できない海浜地域や国立公園・世界遺産、そして災害地用としても用途が広がりました。

    担体(分解が終わった排せつ物など)も肥料として再利用できるのでまさに循環型トイレと言えそうですが、処理能力に限りがあるため大人数が集まる行楽地やイベント会場には不向きとのこと。また汲取りは不要でも微生物の交換は定期的に必要です。

    (参考)バイオトイレとは?バイオトイレの特徴や仕組み、メリット・デメリットをプロが解説!/株式会社ミカサ

    工事現場や道路の照明、防災標識

    高速道路や工事現場でよく見るソーラー製品

    高速道路を走っていても太陽光発電を使った照明がよく見られるようになりました。道路工事の現場では電光表示板や看板灯に太陽光発電がよく使われています。

    工事現場でクルクル光るソーラー式の警告灯も今では当たり前になりました。最近ではカラーコーンの上に取り付けて明かりを点滅させるLED保安灯や、道路に埋め込んで暗くなると自然に点灯する道路鋲(びょう)にもソーラーパネルが使われています。

    近年はセンサーも進化して、ホームセンター売られているガーデンライトのように、周囲の明るさに応じて自動点灯/自動消灯するお手頃価格の製品も増えてきました。まさに技術の進歩を感じます。

    内蔵型の防災標識やスタンド看板にも

    ソーラーパネル内蔵のLED避難標識(画像:エコフューチャー

    ソーラーパネルを”内蔵した”標識も製品化されています。配線工事が不要で日没になると自動的に点灯し夜明けに自動消灯するこの標識は、パネルが外に出ていないので景観を損ねず、観光地などでもデザイン性に優れた防災標識を可能にしています。

    ソーラーパネルが筐体に覆われているので発電量が気になりますが、この製品を開発したエコフューチャー(株)のFAQによれば、「特殊な技術により太陽光を透過させるため、動作に必要な電力は問題なく生成」されるそうです。

    太陽光発電を使った標識はコードレスであることも強みです。コンセントが不要なので好きな場所に置いて移動も可能。

    そのため内蔵型のシステムはお店のスタンド看板などでも利用され始めているようです。ちなみに点灯/消灯時間は手動でも設定できるとのこと。

    ソーラーウォッチの”ソーラー”はどこに?

    (画像:ジャックロード

    今度はソーラー腕時計について です。腕時計の世界にもソーラーの波が押し寄せています。日本ではすでに大手のセイコー、シチズン、カシオなどから販売されていますが、近年はハイブランドが参入し始め、新たな展開を見せているようです。

    ソーラー腕時計はいったいどこにソーラーパネルがあるのでしょうか?

    (画像:TDK-TDCH)

    実は、ソーラー腕時計のソーラーパネルは文字盤の下に入っています。

    ソーラー腕時計では、アモルファスシリコンというフィルムタイプの太陽電池が使われ、透光性のある文字盤を通して外の光を感知するしくみになっています。

    アモルファスシリコンの光感度は人間の視感度に近く、蛍光灯の光でも効率的に発電できるのが特長です。

    実際の製品を検索してみると、白やグレーなど一見不透明に見える文字盤も多数ありますが、きっと文字盤のほうにも私たちがわからないハイテク技術が使われているのかもしれません。

    フランスのソーラーロードは「失敗」!でも再挑戦?

    (画像:ーンズ

    最後はフランスの話題です。フランスでは2016年から建設費用約6億円をかけ、政府主導で世界初の太陽光発電道路「Wattway」に着工し、翌年、長さ1キロにわたってソーラーパネルを敷き詰める工事が完了しました。

    これは道路の設備に電気を供給するものではなく、道路のスペースを利用して発電し、その売電収入を見込んだものだったようです。

    最大の長所は設置が簡単なことです。また、車がスリップしないように特殊な加工をしたり、大型車にも耐えられる強度にするなど、少なくても10年は持つと言われて期待されたトライアルでした。

    しかし2年後、当局の担当者は「この実験は経済的にも財政的にも失敗だったと気付いた」と語りました。理由は発電量が見込の半分、売電額は見込の1/3、そして騒音の大きさや路面の劣化の早さなど数々の問題が浮上したことです。

    当局担当者によれば、今後は古いソーラーパネルを撤去し、次世代パネルを長さ400メートルの区間に敷き直して再挑戦するそうです。(2019年時点)

    車道では失敗に終わりましたが、この技術は「太陽光路面発電パネル」として部分的に利用されており、日本でも取扱会社の敷地内などに設置されています。

    今回は「電気が不要」「燃料が不要」「設置が簡単」といういくつかの視点で活用されている太陽光発電について調べてみました。年々用途が拡大している太陽光発電ですが、数年後はもっと画期的な利用法が定着しているかもしれませんね。

    (ミカドONLINE 編集部)


    参考/引用記事: 再生可能エネルギーの山小屋 /山歩人・吉克の山楽日記 山小屋の生活[電力編]/平標山の人 バイオトイレとは?バイオトイレの特徴や仕組み、メリット・デメリットをプロが解説!/株式会社ミカサ 【ソーラー腕時計】ハイブランドも参入する、いま注目の腕時計とは? |/メンズ ブランド腕時計専門店 通販サイト ジャックロード ソーラー腕時計に内蔵されたフィルム太陽電池/電気と磁気の?館/TDK Techno Magazine 大規模な工事は必要なし。世界初、太陽光発電できる道路「Wattway」がフランスで開通! / greenz.jp グリーンズ 「ソーラーパネル幹線道路」は失敗、次世代パネルで再挑戦へ フランス 写真1枚 国際ニュース/AFPBB News など

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