北極圏の厳しい寒冷環境で生きるホッキョクグマ。

気温が−30℃を下回ることもある過酷な環境で、彼らは活動し、泳ぎ、子育てを行います。氷と雪しかない世界で、なぜ凍えずに生活することができるのかとても不思議ですよね。
その背景には、身体中を覆う「毛」に極めて合理的な断熱構造があるようです。
ホッキョクグマは白くない?
真っ白な毛並みが印象的なホッキョクグマですが、実はその毛並みは白くないという衝撃の事実がありました。(シロクマなのに..?)
実際には無色透明に近い構造なのだそう。毛の内部構造によって光が散乱するため、白く「見えている」だけで、色素による白さではありません。
外側を覆う長いガードヘアは内部が中空、あるいは多孔質に近い構造を持ち、内部に空気を保持します。空気は熱伝導率が低く、優れた断熱層となります。
つまり、毛そのものが空気を閉じ込める断熱材として機能しているのです。
「毛」と「皮下脂肪」の多重構造
ホッキョクグマの保温構造の中心は次の二つです
- 高密度で中空構造を持つ毛
- 厚い皮下脂肪層
毛が外気との熱交換を抑え、皮下脂肪がさらに熱の放散を防ぐ。この多層構造が極寒環境への適応を支えています。

また、ホッキョクグマの皮膚は実は黒いのだそう。あくまでも保温効果の主因は毛と脂肪層によるものと考えられていますが、黒色の肌が光を吸収しやすい性質であることも熱を保持しやすい一つの要因なのかもしれません。
自然界に学ぶ省エネ設計
ホッキョクグマの毛が持つ「中空構造によって空気を保持する」という仕組みは、物理的には断熱材と同じ原理です。
空気層を活用した断熱は、中空繊維の衣料素材や発泡系断熱材など、繊維・建築分野でも広く利用されています。
これらが直接ホッキョクグマを模倣したものとは限りませんが、自然界に見られる構造と共通する原理が活用されていると言えます。
生物の仕組みから着想を得て技術開発を行う考え方は「バイオミミクリー」と呼ばれ、さまざまな分野で研究が進められています。
進化の過程で形成された生物の構造は、限られたエネルギーの中で機能する合理的な仕組みとして、工学分野にも示唆を与えています。
参考記事:浙江大学の科学者、ホッキョクグマの毛皮のような保温素材を開発、Animal Facts-ホッキョクグマは寒くない?毛と皮ふに秘められた3つの特徴、動物毛研究~ホッキョクグマはなぜ寒くない?~等
























