ミカドONLINE編集部です。当社 ミカド電装商事は、環境省よりエネルギーマネジメント診断機関として採択され、エネルギーコンサルティングサービスや省エネセミナーなども行っています。前回に引き続き「職場の省エネ(見直し編)」というテーマで、当社の表(おもて)部長にお話を伺いました。
前回の記事「①ご用心!契約電力を毎月確認していますか?」
照明をLEDに変えて年間20万円の電気代節減
今日はオフィスの照明について、です。デスクワークが中心の一般的なオフィスの場合は、電気代に占める照明の割合が大きいです。日中は灯りを点けずに済むご家庭と異なり、広さを要する事務室の場合は外光が届かないので、常に照明が点灯している事業所も多いのではないでしょうか。
ミカド電装商事では、2016年3月に社内の照明をすべてLEDに変えました。以下はその資料です。(東北電力電気ご使用実績照会サービスによる)
この図をご覧の通り、全体的に電気の使用量が抑えられ、電気料金も減っていることが分かります。期間が限られた図なのでわかりにくいかもしれませんが、当社の場合、電気利用のピークは12月、一番少ないのは空調の稼働がない初夏の時期です。2月は日数が少ないので減っています。
次の図はLEDに変える前年と比較した月別グラフです。LEDにした2016年の電気料金は前年比で年間187,539円の削減になりました。これは当社の前年電気料金の約17%に相当します。このまま、20万円前後が毎年軽減される計算でいけば、11.7年で投資金額を回収できることになります。
編集部「回収期間が11.7年というのは平均的な数字ですか?」
表 「通常は6年と言われていますので、少し長いほうかもしれませんね。回収期間は、日常的によく使うところだけを更新すれば、短くなるんです。ですが、当社の場合は普段あまり使っていない箇所も含めて、社内のすべての照明をLED化したので、一般的な年数より長くなっています。」
編集部「その会社の進め方や方針に寄るんですね。」
表 「そうなんです。だから、エネルギーマネジメントというのは、一般論や数字だけでなく、その会社さんの業務内容や個別事情なども加味しながらとらえていかないと、効果的なご提案にはならないと思っています。」
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オフィス照明のLED化と省エネのポイント
編集部 「蛍光灯などの照明の省エネって、あまり電気を使わないイメージがあって、なんとなく、節電しても効果が少ない印象なのですが・・・?」
表 「そんなことないですよ。規模の大きいオフィスでは照明の電気量もそれなりに多いですし、24時間点けっぱなしのビルだと、LED化はかなり効果が大きいです。普通の40Wの蛍光灯をLEDに置き換えると、1/3の省電力(電気代節減)になります。それに、LEDは単価は高いですけど、とても長持ちするので、買い替えの費用も最終的にはLEDのほうがお得になると思います。」
編集部 「そういえば、私の前の職場では、設備のおじさんが、新しい蛍光管と脚立を抱えて、しょっちゅう職場をウロウロしていました(笑) 蛍光管って時間が経つと、暗いだけでなくチカチカして不快なので、気になって仕事に集中できないこともありますよね。」
表 「そうですね。LEDの寿命は40,000時間と言われていて、1日10時間点灯した場合は11年も使用できる計算ですし、24時間常時点灯し続けたとしても、4年半は持ちます。これは楽ですよ。それにLEDは熱をあまり出さないので、夏場のエアコン代も減らすことができます。蛍光灯からLEDに変えると部屋の温度が下がるので、冷房運転も抑制されるんです。最近は色々と便利な仕組みもあるので、そういったものと併用させて取り組むとさらに効果的です。」
編集部 「便利な仕組みとは?」
表 「人感センサーや調光システムなどです。廊下やトイレに人感センサーを導入するはいいですね。あれは、結構、利きますよ。工場内の人気(ひとけ)のない通路や用品置場などもそうですが、昔につくられた古い建物は、照明エリアの細かい調節ができなかったり、小まめな点灯が不便で、誰もいないのに点けっぱなしの箇所が多かったりします。社屋入口のエントランス照明も日中から常時点灯しているケースがありますが、そういったところも見直した方がいいかもしれません。」
編集部 「玄関周辺のエントランスはお客様をお迎えする大切な場所なので、個人的には灯りの演出があったほうが、歓迎のこころがこもっていて、印象がよい気もするのですが・・・」
表 「そうですね。なので、そういった個々の事情やお客様の価値観を考慮しながら進めていくのが、納得のいくエネルギーマネジメントと言えます。照明は古くなると、光源もくすんできますが、新しい設備に取り換えるだけで明るさが増すので気分も一新します。こちらとしては、計測データを取らなくても皆さんに喜んでいただけることが多いので、うれしいです(笑)。」
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LED化の注意点
編集部 「最近、ネットなどでは、LED電球が予想外に早く切れてしまった、という声も聴きますが。」
表 「通常の工業製品でも稀に不具合があるように、LEDの場合もそういったことがないとは、確かに言い切れません。LED素子そのものは間違いなく長寿命でも、基盤の品質やコンデンサーの劣化、半田付けの不良などが影響する場合もあります。照明のLED化をお考えのお客様は、経費の節減が一番の目的なわけですから、設備投資もなるべく抑えたいのが本音だと思います。ですが、安上がりな海外品の中には、品質にばらつきがあったり、長持ちしないつくりの製品もあるようですので、多少予算がかかっても信頼のおける国内メーカーのほうが、長い目で見ればお得だと思います。」
編集部 「家庭向けだと、工事不要という製品も見かけますが・・・?」
表 「節電を重視するなら、工事をきちんと行ったうえで取り付けた方がずっと効果が高いです。工事不要の製品は確かに手軽で、工事の費用も浮きますが、お金をかけたほどの効果は期待できません。やはり、器具ごと交換するのがおすすめです。」
編集部 「LED化は進んでいるのですか?」
表 「最近は加速しています。CO2の削減や地球環境保全は重要な課題なので、国も様々な施策で推進しています。体育館や工場の高天井によく設置されている水銀灯も、2020年で製造が禁止されますが、水銀灯って点くまでに5分かかるんですよね。そのため点けたり消したりせずに常時点灯させている場所が多いのですが、点灯時間が短縮するだけでも効率が上がりますよね。」
編集部 「では高天井の水銀灯もやがてLEDに切り替わっていくんですね?」
表 「原則としてはそうなりますね。水銀灯に代わるLED以外の代替え製品としては、エコセラやメタルハライドランプというのがあり、近々のLED化に課題のあるお客様にも導入されていましたが、GSユアサではそれらの製品も、昨年(2017)8月に受注を終了しました。エネマネ(エネルギーマネジメント)の視点でお話をするなら、今後はよりいっそう根本的な見直しをしていく時期なのだと思います。」
編集部 「ありがとうございました。”エネルギーマネジメント”や”オフィス照明の省エネ”とひとくちにいっても、様々なケースや考え方があるんですね。次回はボイラーなどの温冷水システムについて伺います。次もどうぞよろしくお願いいたします。」
電力使用状況のグラフは、東北電力に申し込めば個人・法人を問わず、誰でもサイトで確認することができます。そこで我が家も早速申し込んでみました。(申請はネットから可能ですが、パスワードは少し経ってからハガキで届きました)
うーん、それにしても、4人家族でこの状況は少し使い過ぎかもしれません(汗)前回の表部長のお話の通り、「見える化」って反省して取組み意識が高まるので、やっぱり効果的なんですね。
(ミカドONLINE編集部)
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