雑草:名もなき草の名(29)〜コニシキソウはすごくよく見かけるのに誰も名前を知らない別名「ボンド草」~

    みかドン ミカどん

    皆さんはボンド草と呼ばれている雑草をご存じですか?今回は地を這うように伸びて木工用ボンドにそっくりの乳液をコニシキソウをご紹介します。

    明治に日本に侵入してあっという間に広がった帰化植物

    (画像:暮らしニスタ

    コニシキソウは北アメリカ原産の一年草の帰化植物です。アスファルトのすき間や、土がむき出しになっているような場所で、地面にへばりつくようにのびていく小さな草です。

    写真を見ればどんな人でも「ああこれか!」とおわかりいただけると思いますが、認知度は高いのに知名度は著しく低く、ネットを検索してみると「名前が初めて分かった!」と感激しているブログをよく見かけます。

    実は私も編集会議で「次のテーマにどうか?」と誰かに言われて調べ、「これね!」と初めて知ったひとりでした。

    コニシキソウの名前の由来は、在来種のニシキソウに似ているからです。けれどニシキソウより小型であることから「コニシキソウ」と名付けられました。

    名付けたのは朝ドラで有名になった牧野富太郎博士です。命名された年も1895年(明治28年)とわかっていることから、日本全国どこでも見られるわりには歴史がとても浅く、日本には明治中期に入ってきたと思われます。

    それなのにここまで分布が広がっているのですから、外来種の勢いというのは本当にすごいですね。

    地味ながら合理的に生きている毒草です

    (画像:BIOME

    コニシキソウの特徴は葉に紫色の斑紋があることです。私にはこれが妙に毒々しく見えてしまうのですが、調べてみると実際に毒草でした。

    コニシキソウの茎を折ると白い乳液が出てくるのですが、これに触ると手がかぶれたり、赤み、腫れ、水ぶくれになることがあるそうです。

    また、食べると、吐き気、嘔吐、下痢を引き起こす可能性があるとのことなので、地味なのに怖い雑草らしいです。

    コニシキソウはその乳液が木工用ボンドに似ていることから「ボンド草」とも呼ばれており、中学生の中には、ほんとうにモノがくっつくのか実験をして自然科学コンクールで入賞した例もあるようです。

    (参考)本気のボンド草 (中学校の部 佳作) | 入賞作品(自由研究) | 自然科学観察コンクール(シゼコン)

    コニシキソウは繁殖力が強いため駆除にも手間がかかる嫌われ者の雑草ですが、実は日当たりのよい裸地でしか生育できません。となると、車の往来や人の踏み付けで他の雑草が生えない箇所が適地になるため、人間の生活圏にうまく適応した植物といえるかもしれません。

    ちなみにコニシキソウの送受粉や種子散布を手助けしているのは、蜂や蝶ではなく、なんとアリなんです。だから蜜は出すものの、目立った花を付ける必要はなく、むしろそのために地を這うように生きているのかもしれません。

    地味ながら合理的に生きているコニシキソウを皆さんも今度、観察してみてはいかがでしょうか。

    (ミカドONLINE編集部)


    出典/参考記事:コニシキソウ|農研機構(PDF) コニシキソウ|ビオ・荒川さいたま 【8月の道端の危険雑草】お子様注意!別名は「ボンド草」アリは集まるが、花言葉は男性が逃げ出す怖さです|園芸のアイデア|暮らしニスタ など