雑草:名もなき草の名(08)~葛(クズ)。雑草の帝王はファンタグレープの香りがするらしい?~

    みかドン ミカどん今回取り上げるのは雑草の帝王「クズ」です。葛湯や葛餅、葛根湯の語源となっている葛(クズ)は秋の七草でもありますが、個人的には風情のカケラも感じられず、雑草の帝王とはよくいったものだと思います^^

    雑草の帝王と呼ばれるクズは三枚刃で刈るのがおススメとのこと

    クズ(葛)はマメ科・クズ属に分類されるツル性植物です。今回クズをテーマにしたのは秋(今頃)に花が咲くからですが、クズを調べていたらこの動画を見つけました。

    興味を持って見て見ると、勢いとユーモアと野性味あふれる農業法人さんが雑草の帝王と呼ばれる厄介なクズの根絶方法を解説してくださっています。この方によると、草刈機の刃は三枚刃のものがクズが絡まなくていいそうです。

    ですが動画では「ラウンドアップの10倍濃い液」とか「グリホサートの原液」とか、なにやら恐ろし気な?撃退手段の名前が出てきます。要するにそういった強力な除草剤を使わなければならないほど、すさまじい繁殖力ということに尽きるのだと思います。

    米国ではグリーンモンスターと呼ばれる侵略的外来種

    (画像:ブーさんとキリンと生活

    日本発の雑草が海外で旺盛に繁殖してしまう例は「イタドリ」の記事で書きましたが、このクズもアメリカでは侵略的外来者として広く認知されています。クズがはじめてアメリカに紹介されたのは1876年のフィラデルフィア万国博覧会のときでした。

    元々はベランダに植えるための園芸植物として大規模に販売されたのが始まりですが、その後牛用飼料、土壌流出を防ぐための植物としても販売され、一時は政府からも奨励されたようです。しかし現在では連邦有害雑草法による規制対象に指定され、グリーンモンスターの異名もあるようです。

    花はファンタグレープの匂い?近年はバイオエタノール活用も

    (画像:日本で一番ユーモラスな理科の先生

    嫌われ者のクズですが、元々は秋の七草の1つとして万葉集にも歌が詠まれ、古くから観賞用の植物として日本人に親しまれてきた植物です。漢方薬の葛根湯やくず切り、葛餅など和菓子の材料としても長く利用されてきました。地中にある主根は大量の栄養分を含んでいます。葛粉(くずこ)はこの部分を何度も水にさらして抽出したものです。

    クズは日本でもかつては有用植物として里山でよく栽培されてきました。しかしジャガイモがでん粉の主原料になるなど、クズは時代と共に経済的な価値がなくなり、林業や製炭業が廃れて人々が山に入らなくなると共にすっかり雑草扱いになってしまいました。

    そんなクズは今(8月~9月)がちょうど花の季節。ニセアカシアやスイートピーなどマメ科の花は甘い匂いが特徴ですが、クズの花もまた甘い匂いを放ちます。花に近づいて匂いを嗅ぐと、なんとファンタグレープの匂いがするそうです。

    近年、クズは太陽光発電のパネルを覆う弊害がよく指摘されていますが、その一方でバイオエタノールの原料としても研究されるなど新しい可能性も出てきています。

    クズが繁茂する場所にはあまり近づきたくない私ですが、ファンタグレープの匂いには少し興味があります。今度見かけたら確認してみたいと思います!

    (ミカドONLINE編集部)


    出典/参考記事:<外来種シリーズ4>海外で猛威を振るう日本の植物「クズ」 | ニチノー緑化 “花は○○の匂いがする!【雑草の帝王・葛(クズ)の秘密】日本中にはびこるグリーンモンスターと呼ばれる「クズ」。その秘密にせまります。(「日本で一番ユーモラスな理科の先生」YouTubeチャンネル) グリーンモンスター「クズ」に立ち向かうには? 緑地雑草科学研究所に聞く(第8回・特別編) – 特集 – メガソーラービジネス : 日経BP クズ(葛)はすごい。薬、布、バイオ燃料にもなって食べると美味しい – ブーさんとキリンの生活 など