明星チャルメラや一平ちゃんでおなじみの明星食品が創立70周年にあたり、CSV経営を強化する方針を発表しました。CSVはCreating Shared Valueの略語で、日本語では「共有価値の創造」と訳されていますが、これだけではなかなかピンときませんよね。今回はCSVとは何か?をご説明いたします。
CSVとは”三方よし”を事業展開すること
明星チャルメラや一平ちゃんでおなじみの明星食品が創立70周年にあたり、CSV経営を強化する方針を発表しました。そのうえで、SDGsの目標達成に向けた施策として「環境対応資材の採用」「減塩商品の開発促進」「真のお店品質の麺の実現」に取り組んでいくそうです。
参考:明星食品 NEWS RELEASE(2020.9.8)
最近、企業の経営方針の中にCSVという言葉をよく見かけるようになりました。CSVとはCreating Shared Valueを略した言葉で、日本語では「共有価値の創造」と訳されます。これをわかりやすく言えば ”三方よし” の理念を実現する事業を展開して、社会問題の解決をはかることが企業としての利益につながり、かつ持続可能な経営を推進するという考え方です。
一例を挙げると、お茶の伊藤園では契約栽培と新産地事業を二本柱に茶産地育成事業を行っています。契約栽培では契約農家が生産した茶葉をすべて買い取ることで農家に安定収入をもたらしています。新産地事業では後継者不在で放棄されている耕作地を茶園として開発して国内の茶園面積の減少に歯止めをかけ、栽培農家を育成して農業の振興もサポートしています。
ですが、これらは決して慈善事業ではありません。そうすることによって伊藤園自身も商品の原料となる良質な茶葉を安定的に調達することが可能になり、品質保持による競争力の強化や見通しの立つ事業計画が巡り巡って同社の利益になるのです。
伊藤園はこれらの施策等で2013年のポーター賞を受賞していますが、CSV経営のわかりやすい事例として経営関連のサイトなどでもよく紹介されています。
CSVの世界的な事例として有名なのはネスレです。同社もまた社会的課題の解決をビジネスの機会ととらえ、それに全社で取り組むことが成長の戦略であるというCSVの発想で経営を推進しています。
ネスレ日本公式チャンネルの以下の動画では、「工場の15%で廃棄物ゼロ」「包装資材の削減」「温室効果ガス排出を2005年比で40%削減」など、環境への配慮も強調されています。
競争力を生み出す「価値の共有」とは?
CSVの概念を最初に提唱したのは、アメリカの有名な経営学者であるマイケル・ポーター博士です。それまでも寄付や慈善活動で社会問題の解決に取り組む企業はありましたが、ポーター博士はこうした後付けの活動では社会問題の根本的な解決にはつながらないと指摘しました。そこで、ポーターが提唱したのが「CSV経営」です。
ポーター博士は、企業が社会問題を解決する「社会価値」だけでなく、自社の利益も生み出す「企業価値」も同時に高めることが、企業の本来あるべき姿であると説きました。それが「価値の共有」です。社会にとっての価値と企業にとっての価値は一致すべきであり、ひいてはそれが競争力になるという考え方です。
たとえば、深刻な公害問題を引き起こした教訓が先進的な環境技術や省エネ技術を生み出し、今ではそれが強みに変わるように、ある種の制限が引き起こすイノベーションは新しい価値を創造します。人や環境にとって望ましいことと折り合いを付けながら進めていく企業活動は利益に反することではなく、むしろ利益を高める行動であるというのがポーター博士が提唱しているCSV経営の骨子です。
それが近年浸透しているSDGsの発想とうまくマッチして、CSVは「持続可能な経営」として多くの企業に導入されるようになりました。
ミカド電装商事が体現するCSV
CSVはCSRと比較して語られることが多いキーワードですが、両者の違いは本業に組み込まれているかどうか?が線引きの基準になります。
CSRは企業の社会的責任として本業に付加される社会貢献のイメージですが、CSVは本業そのものが社会貢献の一端を担うことです。
その意味でとらえると、非常時の電源を確保するために設置する蓄電池やクリーンなエネルギーの太陽光発電、そして地球温暖化防止に寄与するエネルギーマネージメントを業務とする当社は、事業そのものが人と環境に貢献する活動となっており、これってCSVなんじゃないかなぁ・・・なんて、個人的には思ってしまいます。
当社の沢田秀二社長が「エネルギーマネジメントに取り組み始めた背景とこれまでの歩み」でもお話をされていますが、マメな消灯で電気を節約したり森林資源のためにペーパーレスを推進する以上に、私達が本業として多くのお客様のエネルギーマネジメントの導入をお手伝いすることが、より大きなCO2削減につながります。
そこに当社の存在価値があると考えると、CSVも身近に感じられますね。どんな会社のどんな事業でも、誰かの役に立っているから成り立っていると考えられます。敢えて声高にCSVを叫ばなくとも、結果的にCSVが実現されているビジネスは数多くあると思います。
皆さんの会社はどうですか?この機会にCSVについて考えてみてはいかがでしょうか。
出典/参考記事:CSV経営とは?CSRとの違いや事例を徹底解説! 【最新CSV事例紹介】伊藤園の茶産地育成事業はとってもCSV的な取り組みです 茶産地育成事業|伊藤園 CSVとCSRの違いは?ネスレも取り組むポーター教授の差別化戦略の本質 など