夏も終盤戦、産卵をひかえたメスの蚊は
この時期がラストスパートとばかりに
私達から血を吸おうと「ぷーん」と寄ってきます。
最近は電気蚊取り器が主流ですが、
一昔前は蚊取り線香が定番で
家中にあの独特の香りが漂っていたものでしたね。
蚊取り線香を発明したのは、
キンチョー創業者の上山英一郎です。
1885年、恩師の福沢諭吉の紹介状を携え、
和歌山の自宅を訪ねてきた英国人アモアから
除虫菊の種子をもらった英一郎は、
研究を重ねその栽培に成功すると、
お線香にその成分を練り込む着想を得て、
棒状の蚊取り線香の販売を開始します。
当初棒状だった蚊取り線香は
1時間程度しか持たないのが悩みの種。
ある時、とぐろを巻いた蛇を見た妻ゆきから
「渦巻状にしたら?」という助言があり、
1902年ついに、
あの渦巻き型蚊取り線香が販売されたのです。
電気のいらない蚊取り線香は日本のみならず、
電化の遅れた東南アジア各国でも愛用され、
マラリア予防に貢献しています。
各地の除虫菊栽培にも力を尽くした上山英一郎は
その遺徳を讃えて尾道市にある除虫菊神社の祭神として祀られ、
毎年5月に関係者による参拝が行われているそうです。
<雑学の雑学>
渦巻き型蚊取り線香は伸ばすと約85センチ。
一般的な睡眠時間である7時間持つように、と
この長さになったそうです。
<雑学の雑学2>
血を吸いに来るのはメスの蚊ですが、 オスの主食はなんと果汁。
ジュラ紀から1億7千万年ずっと「草食系」なんですね。