大山観光電鉄殿の新型車両にリチウムイオン電池システムを納入 ~景観重視型架線レスケーブルカーに貢献~
昨年(2015)10月、神奈川県の丹沢大山国定公園内で、山麓と大山阿夫利神社(おおやまあふりじんじゃ)を結ぶ大山ケーブルの営業が再開されました。標高差約280mを片道約6分間で運行し、参拝客や登山客に古くから親しまれている小田急グループの鋼索電鉄です。
大山ケーブルは昨年(2015)5月より老朽化した設備を一新するために長期休業に入っていましたが、新システムでは景観重視型の車輛に切り替え、GSユアサ社製のリチウムイオン電池システムを導入して架線レスを実現いたしました。車両デザインを小田急ロマンスカー「VSE」や「MSE」などのデザインを手がけた「岡部憲明アーキテクチャーネットワーク」が担当し、小田急グループをあげて、大山を今まで以上に観光資源として売り出す戦略です。(車体製造は小田急エンジニアリング、川崎重工業、大阪車輌工業が担当)
これまでの車両では、照明や放送装置など車内で使用される電力は架線より供給されていましたが、新型車両ではGSユアサのリチウムイオン電池がその電力を供給します。車両に搭載されたリチウムイオン電池は、ケーブルカーが停車中に各駅に設けられた架線から充電されます。これにより、架線の撤去が可能となり、景観の向上が大変好評を得ています。
狭い山中の線路に運び込むため、車体をヘリコプターで搬入するなど、総額で約16億円の費用を投じた一大プロジェクトになりましたが、フランスの観光ガイド「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」にも掲載され、地元の熱い期待を担っています。
ちなみに引退した旧型車両の「たんざわ号」(レッド)は、現在、千葉県いすみ市作田の「ぽっぽの丘」に移され、第2の人生を歩み始めたそうです。電車クンにも電池クンにもぜひ頑張ってほしい今日この頃です!
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