当社の表伸也がエネルギーマネージメントについての記事をお届けします。第3回目は「電力料金」についてです。東北電力では業務用電力(500kW未満)の利用者に対して、過去のピーク電力で基本料金が決まる実量料金制度という方式を採用しているそうです。つまり電力の利用状況によって基本料金が変わるんです!(※このシリーズの全記事はこちら)
表伸也(おもて しんや)/当社執行役員 工務部長
当社取締役環境・エネルギー本部長 上席エネルギーコンサルタント
②電気料金の仕組み
電力料金は、以下の通り「基本料金」+「電力量料金」+「燃料費調整額」+「再生可能エネルギー発電促進賦課金」となっております。
基本料金
基本料金は契約電力で決まります。契約電力とは、使う可能性のある最大電力値(最大需要電力[kW])です。東北電力の高圧受電で契約電力500[kW]未満の場合、契約電力は計量した『その月の最大需要電力と前11か月の最大需要電力いずれか大きい値』により決定されます。これを実量料金制度といいます。つまり、以下の図のとおりです。
簡単に言うと1年間のうち一番大きい使用電力で決定されるということです。したがって、ある一時期だけポンっと使用電力が大きくなってしまうと、その後一年間あまり使用しなくても基本料金は高いままとなってしまいます。そこで、エネルギーマネジメントが重要となります。
電力量料金
使用電力量[kWh]できまります。文字通り電気を使った量できまります。純粋に使った量できまりますので、社員教育やエネルギーマネジメントがコスト削減の重要な要素となります。
燃料費調整額
電力会社が発電のために購入する燃料(原油・液化天然ガス・石炭)の価格は変動するため、燃料の価格に合わせて電気料金を調整する制度です。貿易統計価格(実績)から原油、LNG、石炭それぞれの平均価格(3ヶ月平均値)を算定し、原油1キロリットルあたりに換算した平均燃料価格を算定します。したがって、燃料の価格の上昇・下落によって変動します。
この費用は、使用電力量に比例して大きくなりますので、使用電力量のエネルギーマネジメントが重要となります。
再生可能エネルギー発電促進賦課金
再生可能エネルギー発電促進賦課金は、「再生可能エネルギー発電促進賦課金単価」に使用電力量を乗じて算定します。したがって、使用電力量のエネルギーマネジメントが重要となります。
「再生可能エネルギー発電促進賦課金単価」は、毎年適用される全国一律の単価を国が定められます。平成30年度は2.90円/kWhとなり、平成24年度の0.22円/kWhの約13倍となりました。今後更に単価は上昇すると思われますので無視できない額となり、何らかの対策が必要となります。
以上のような電力料金の基礎的な仕組みを理解しておくことが、エネルギーマネジメント及びコスト削減に重要なこととなります。
(次回につづく)
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表伸也(おもて しんや)
ミカド電装商事(株)取締役環境・エネルギー本部長 上席エネルギーコンサルタント
大手通信会社のエネルギー管理士として、大規模データセンター等のエネルギー管理業務に長年携わり、数多くの電力設備・空調設備等の省エネ実績を持つ。近年では、太陽光発電設備の設計・施工等創エネに関する実績も豊富な、エネルギーマネジメントのエキスパートである。2018年より環境省環境カウンセラー。
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