当社の表伸也がエネルギーマネージメントについての記事をお届けします。第2回目は「エネルギーマネージメントの基礎知識」についてです。エネマネは3つのポイントでとらえるそうです。(※このシリーズの全記事はこちら)
表伸也(おもて しんや)
当社取締役環境・エネルギー本部長 上席エネルギーコンサルタント
②エネルギーマネジメントの基礎知識
エネルギーマネジメントとは、文字どおり「エネルギー」を「マネジメント」することです。「マネジメント」とは、研究社 新英和中辞典 のmanagementの訳では、「経営」「管理」です。つまり、人、モノ、金、情報、などの資源を有効活用し、社会に貢献することで
- 新たな収入を生み出し売上高を向上させる
- 不要な支出を削減し利益額を向上させる
- 確実な資金繰りにより経営を安定させる
の3つを実現することです。
これに擬えると、エネルギーマネジメントとは以下の3つでエネルギー使用起源の二酸化炭素(CO2)排出量を減少させることにより、地球温暖化という社会貢献をすることといえます。
創エネ
- 新たなエネルギーを生み出し収入や利益の向上を図るとともに、社会のCO2排出係数(消費電力1kWhあたりのCO2排出量)を向上させる【創エネ】
- CO2排出係数の高い火力発電所の電力はできるだけ使用せずに、例えば太陽光発電設備などの再生可能エネルギーを使用した電力を自ら生み出し使用することで、社会全体のCO2排出係数が向上する。
- 売電による収入の増加や、自家消費による電力会社からの買電減少によるコスト削減が実現する
省エネ
- 不要な電力消費を削減しコスト低減を図るとともに、社会のCO2排出係数を向上させる【省エネ】
- 電力、ガス、重油、などのエネルギーを使用する効率の悪い古い設備を、最新の高効率機器に更新することで、エネルギーの使用効率の改善により社会のCO2排出係数が向上する。
- エネルギー使用機器の運用を効率化することで、事業活動自体も効率化する。
- 事業活動あたりの消費エネルギー量が減少するため、コスト削減が実現する。
蓄エネ
- 確実なエネルギー収支管理により、再生可能エネルギーの使用効率を高め、社会のCO2排出係数を向上させる【蓄エネ】
- 例えば太陽光発電のように日中しか利用できない再生可能エネルギー(電力)を、蓄電池などに蓄えることで昼夜問わずエネルギーを安定使用できるようになり、再生可能エネルギーの利用効率が高まることで、社会のCO2排出係数が向上する。
- 自然災害などで社会インフラが損壊しても、再生可能エネルギー+蓄電池によりエネルギーの利用が継続でき、ひいては事業の継続性や安定性が高まる。
このようにエネルギーマネジメントは、事業活動におけるエネルギー面に関する「経営」「管理」といえるのです。今後は更に事業活動におけるCO2排出削減に関する規制や世論が強くなってきますので、エネルギーマネジメントは今後の重要な経営課題と言えます。
(次回につづく)
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表伸也(おもて しんや)
ミカド電装商事(株)取締役環境・エネルギー本部長 上席エネルギーコンサルタント
大手通信会社のエネルギー管理士として、大規模データセンター等のエネルギー管理業務に長年携わり、数多くの電力設備・空調設備等の省エネ実績を持つ。近年では、太陽光発電設備の設計・施工等創エネに関する実績も豊富な、エネルギーマネジメントのエキスパートである。2018年より環境省環境カウンセラー。
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