【雑学】富を分けて災いを祓う「餅まき」

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    おめでたい時の食べ物と言えば餅。日本人の生活に深く根付いた米には稲魂が宿るとされ、古くから神様への供物、「神饌」として捧げられてきました。白い餅には霊力や生命力が宿ると信じられ、お祝いのハレの日に食べる習慣が広がったそうです。

    正月など餅の関わるおめでたい行事は色々ありますが、建物の上棟式もその一つ。棟が無事できたことを祝い、以降の工事や完成後の安全を祈願する祭事で、職人や招いた近隣住民に向けて屋根などから餅や小銭、お菓子などをまく餅まきが行われます。

    元になったのは「散餅銭の儀」という儀式。家を建てるということが地域の共同作業として行われた時代、富があることの象徴ではあるものの家を建てると厄災を招くという考えがあったため、餅と小銭をまいて共同体に富を分配し災いを祓ったという説があります。

    ちなみに、上棟式で拾った餅は焼くと火事に繋がるため焼いて食べてはいけないのだそう。現在は準備の負担や近所付き合いの変化などから餅まきや上棟式自体も減っていますが、敷地の広い場所や住民の交流が盛んな地域では今でも行われ、コミュニケーションの機会となっているようです。