【雑学】楽しいカーニバルの裏に藁人形

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    「カーニバル」と聞くと、何を思い浮かべるでしょうか。サンバを踊るリオのカーニバル、仮面を付けた人々が街を行き交うヴェネツィア・カーニバル、大きなパレードが行われるニューオーリンズ・マルディグラなどなど、世界中にさまざまなカーニバルがあります。日本でも昭和56年に始まった「浅草サンバカーニバル」などが毎年盛り上がりを見せていますので、賑やかで明るいイメージが浮かぶ方が多いでしょう。
    そもそもカーニバルとは「謝肉祭」のこと。カトリック教国で四旬節の前に行われる祝祭を指します。四旬節では肉食が禁じられていたためその前にごちそうを食べて大騒ぎしようというのが元々の趣旨でしたが、現在は宗教的な意味合いが薄れて観光行事になっている地域も多いようです。ちなみに今年の四旬節は2月10日から。1月の後半以降、各地でカーニバルが行われているようです。

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    カーニバルの由来には、冬を追い払い春の到来を喜ぶゲルマン人の祭りがキリスト教の中に入ったという説もあります。その原初的な形は、教会内外で一週間ほど大騒ぎをした後、なんと自分たちが羽目を外しすぎた責任を等身大の藁人形に転嫁して燃やしてしまうというもの。今でもその風習が残っている地域が各地にあり、藁人形を連れて街中を練り歩き塔から突き落とした挙句、最後には川に流す、というところもあるとか。日本で藁人形というと丑三つ時に五寸釘…といった恐ろしいイメージですが、海外でも人間が思い切りカーニバルを楽しむために散々な目に遭ってきたようです。日本の「流し雛」なども人間の罪やケガレを代わりに引き受けてもらうために川に流すためのものだったようですが、海外でも同じように人形に悪いものを引き受けてもらう文化があるのが面白いですね。

    ※写真はケルン(ドイツ)のカーニバル