カーナビ~世界初のカーナビは手動式でも画期的~
カーナビは日本で生まれ、日本を中心に発展してきた電子機器です。その元祖はホンダが1981年に発売した「エレクトロ・ジャイロケータ」と言われています。
当時はまだまだパソコンという言葉もCDもなかった時代。街には、レコード大賞をとったヒット曲「ルビーの指輪」が流れ、クルマはマニュアル車が主流でした。ドライブには地図を持つのが常識で、誰もカーナビのことなど考えもしていなかったその時期にホンダは、航空機がジャイロで位置を特定しているのに、クルマにできないわけがないと考えていました。
ホンダの開発チームは、飛行機でつかわれていて精度も高く、気体の動きで位置変化を検知する「ガスレートジャイロ」のオリジナル版を独自に開発し、それを用いて世界初のカーナビと言われる「エレクトロ・ジャイロケータ」を完成させアコード、ビガーに搭載しました。
「エレクトロ・ジャイロケータ」はモニターに印刷した地図シートを重ね、自動車の走行軌跡と地図の道を合わせることで、自車の位置を確認できる当時としては画期的な装備でしたが、人が地図シートをずらして車の位置合わせをする必要があることや、ガスレートジャイロのウォーミングアップに5分ほど時間がかかることなどから、多く普及はしませんでした。
「エレクトロ・ジャイロケータ」は今でこそアナログで原始的に感じますが、まだカーナビという言葉も概念もなかった時代の先駆けとなり、これを機に国内での開発が活発になりました。そして1990年世界で初めてGPSをつかった市販のカーナビがパイオニアから発売され、日本はカーナビ大国になっていきました。
※出典/参考サイト:
テクノロジーストーリー(本田技研工業株式会社)
ホンダアコード・ビガーに搭載された「エレクトロ・ジャイロケータ」(車情報マガジンCarMe)