日本における冷蔵庫の歴史は、
1923(大正12)年に三井物産が、
GE社の電気冷蔵庫を初めて輸入したことから始まります。
GE社はそれまでの手押しポンプや蒸気機関などに代わり、
電気コンプレッサーで冷媒を圧縮する電気冷蔵庫を、
1910年(明治43年)に世界で初めて開発し、
これが世界で最初の電気冷蔵庫になりました。
そして三井物産が輸入した
GE社製電気冷蔵庫の国内販売を手掛けながら、
自らも熱心に研究開発を進め、
ついに国産第1号の商品を世に生み出したのが
芝浦製作所(現:東芝)です。
芝浦製作所は1930(昭和5)年に
GE社の製品をモデルにして、
SS-1200と呼ばれる自社製品を完成させ、
3年後に販売を開始いたしました。
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https://homepage-town.jp/mikado-d/reference/201509.html#/history
その陰には、GE社の出向役員から
「日本の技術力では無理」と断言されたことに発奮した、
藤島亀太郎氏(後に東芝機械初代社長)らの
懸命の技術開発と努力がありました。
初めての国産電機冷蔵庫、SS-1200の当時の価格は720円。
これは庭つきの家が一軒買えるくらい超贅沢品であっため、
購入者はお金持ちや高級レストランなどに限られました。
しかしその後、1960年代に技術の著しい進化と
コストダウンがはかられたため、
電気冷蔵庫はここで一気に一般家庭に普及しました。
それ以前の電気冷蔵庫は白黒テレビ・洗濯機と並んで
「三種の神器」と言われ庶民のあこがれの的でしたが、
低価格化で誰でも買えるようになり、
次第に家庭の必需品となっていきました。
ちなみに、電気がまだ普及していなかった時代に、
実験用のアンモニア吸収式冷凍機を使い、日本で初めて人工的に氷をつくったのは東京大学です。けれどそれが最初に使われたのは、なんと熱病になった福沢諭吉のためでした。今は、福沢諭吉のようなVIPでなくても、手軽に氷が手に入る時代です。日本で初めて製氷機の恩恵にあずかった諭吉が見たら、驚くかもしれませんね。