当社が扱っている産業用蓄電池について解説しているシリーズです。今回は番外編として、太陽光発電でつかうパワーコンディショナー(以下、パワコン)のあまり知られていない機能についてちょっとだけ解説。※全記事はこちら
GSユアサのパワーコンディショナー
蓄電池を使うためには変換装置が必要
当社(ミカド電装商事)はGSユアサの代理店なので、GSユアサ製のパワコン(産業用)も扱っています。電池会社がなぜパワコン?と思う方もいらっしゃると思いますが、パワコンの主な機能である「直流→交流」の変換は、蓄電池会社が得意とするところなのです。
今までお読みの方はおわかりの通り、どんなときでも蓄電池を活用するためには「交流→直流」「直流→交流」の変換が常に必要です。蓄電池でつくられる電気は直流ですが、充電につかう電力会社の電気は交流であり、一般的な電気機器も多くが交流だからです。
身近なところでは、ガソリン車のバッテリーの電気(直流)をシガーソケットから使うときにも変換装置(インバーター)が必要ですし、電気自動車の場合はモーターが交流なのでシステムの随所に変換装置が組み込まれています。蓄電池と変換機能は切っても切れない仲なんです。
さて、太陽光発電も「太陽電池」という別称があるとおり、発電される電気は直流です。それを電力会社の電力系統に接続して売電したり、実際のオフィスや工場で使うためにはやはり直流を交流に変換する装置が必要です。
パワコンの仕事は変換だけじゃない
その機能を担うのがパワコンです。パワコンは一般的に「太陽電池モジュールで発生した直流電力を、商用系統へ供給できるように交流電力に変換する装置」と言われています。
ですが、電力系統に接続するためには、ただ変換すればいいという簡単なものではありません。電力会社の電気は交流のため電圧が波のように上下して流れていますが、それにタイミングを合わせた状態で連携させないと、周辺の地域に被害を及ぼしてしまう可能性があるそうです。
それについて、当社の表(おもて)上席エネルギーコンサルタント が解説をしてくれました。
つまりパワコンは商用電力と位相を同期させて同じ波形の流れになるように電圧を調整してくれているんですね。
太陽光パネルで発電された電気を、問題のない形で電力系統に流すためには、パワコン側で様々な調整がされていることがわかりました。
パワコンと蓄電池
太陽光発電設置の初期費用は年々下がっていますが、固定価格買い取り制度の売電価格も50kW以上の産業用は2012年のほぼ半分になりました。また制度開始時は住宅用と呼ばれていた10kW未満の太陽光発電システムは、来年(2019年)にスタートから10年を迎え、買取期間の満了を迎えるケースも出てきます。
今後の産業分野での太陽光発電は、蓄電池を併用して災害に備えたりピークカットやピークシフトで電力料金を抑えるなど、パワコンと連動させて活用する蓄電池の役割がよりいっそう重要になってくるのではないかと思います。
5回に渡って産業用蓄電池についてお届けしてきましたが、皆さまにご理解いただける一助となれば幸いです。最後に、GSユアサ製パワコン「ラインバックΣⅢ」のカタログから、パワコンの防災対応モードとピークカット(シフト)モードのイメージを添付してこのシリーズを終わります。
防災対応モード
停電や災害時に太陽光発電から特定の負荷(非常用照明など緊急用の機器装置)に電力を供給し余剰電力で蓄電池を充電、特定の負荷に対して太陽光の電力が足りないときは蓄電池から放電、夜間の特定不可は蓄電池からの放電でまかないます。
ピークカット(シフト)モード
日中の電力使用のピーク時に太陽光発電や蓄電池からの電気で電力を補い、使用電力量の最大値で変動する契約電力の数値が上がることを防ぎます。また、夜間の安い電力を使用して蓄電池を充電し電気料金を抑えて使用を平準化します。
※このシリーズはこの記事で終わりです。