(このシリーズの全記事はこちら)
今回は補助金についてまとめました。省エネ、創エネ、蓄エネ、に使用できる補助金は、経済産業省と環境省のものが代表的です。また各県等の自治体の補助金もあります。それぞれに分けてお伝えします。(表伸也)
経済産業省
省エネ補助金と省電力補助金の2つがあります。この2つは、使用エネルギーが複数あるか電気のみか等の条件で、以下の通りの選択方法となります。また、それぞれに「Ⅰ.工場・事業場単位」「Ⅱ.設備単位」の2つ選択肢があります。
・工場事業場単位の補助金種類選択
・設備単位の補助金種類選択
・申請パターン
①省エネルギー投資促進に向けた支援補助金【省エネ補助金】
Ⅰ.工場・事業場単位
- 業種や設備は限定していません
- 省エネルギー・省電力となる事業は申請可能です。「どのような省エネ設備に更新するか」、「省エネ取組を行うか」を検討の上、申請ください。
- 省エネルギー・省電力の計算方法は、事業者の方が検討・決定してください。
- 投資回収年が5年以上の事業が対象です。
- 「エネルギー使用量が1,500kl以上の工場・事業場」と「中小企業者に該当しない会社法上の会社(株式会社、合名会社、合資会社、合同会社、有限会社)」は、省エネ法に基づき作成した中長期計画等に記載されている事業のみが対象となります。
- トップランナー制度対象機器を導入する場合は、トップランナー基準を満たす機器のみを補助対象とします。
また、更に以下の4種類の申請要件があります。
(a)一般事業
省エネルギー設備への更新、改修等、計測・見える化・制御等の機能を備えたエネルギーマネジメントシステム(以下「EMS」という)の新設により、原油換算量ベースで省エネルギー率5%以上又はエネルギー消費原単位改善率5%以上のいずれかを達成する事業
※EMSの新設が必須といっているわけではありません。
補助率(中小企業者):1/3以内、(d)と同時申請の場合は1/2
補助対象経費:設計費、設備費、工事費
補助金額限度額:上限15億円/年度、下限100万円
(b)大規模事業
省エネルギー設備への更新、改修等、EMSの新設により、原油換算量ベースで省エネルギー量500kl以上を達成する事業
補助率(中小企業者):1/2以内、※投資回収年数7年未満の事業は1/3以内
補助対象経費:設計費、設備費、工事費
補助金額限度額:上限20億円/年度、下限100万円
(c)連携事業
複数の事業者間において、生産設備の統合やユーティリティーの共有によるエネルギーや生産品等の相互融通等により、一体となって省エネルギー化を図り、(a)又は(b)の要件のいずれかを満たす事業
補助率(中小企業者):1/2以内
補助対象経費:設計費、設備費、工事費
補助金額限度額:上限30億円/年度、下限100万円
(d)エネマネ事業
SIIに登録されたエネマネ事業者と「エネルギー管理支援サービス」を契約し、SIIに登録されたEMSを用いて、より効果的に省エネルギー化を図り、EMSの制御効果と省エネルギー診断等による運用改善効果により、原油換算量ベースで省エネルギー率2%以上を達成する事
※当社もエネマネ事業者に登録されております。
補助率(中小企業者):エネマネ事業のみの申請1/2以内
補助対象経費:設計費、設備費、工事費
補助金額限度額:上限15億円/年度、下限100万円
工場・事業場単位は、基本的にどんな設備でも対象となります。機器の更新以外に太陽光発電設備(FIT以外)にも活用できます。ただし、省エネ計算をエヴィデンスを明確にしながら行い資料を作成する必要があるため、申請の難易度は高いです。専門家に相談したほうが良いと思います。
Ⅱ.設備単位
- 業種は限定していません。
- 更新設備は設備区分の中から選択してください。
- 補助事業ポータルへ入力いただければ、省エネルギー・ 省電力計算や申請書類の作成が簡単にできます。
既設設備を一定以上の省エネ性の高い設備に更新する事業です。
対象設備:高効率空調、産業ヒートポンプ、業務用給湯器、高効率ボイラ、高効率コージェネレーション、低炭素工業炉、冷凍冷蔵設備、産業用モータ
補助率:1/3(対象は中小企業のみ)
補助対象経費:設備費のみ
補助金限度額:上限3,000万円、下限30万円
上記のような条件になってます。省エネ計算は、ポータルサイトの入力のみで出来ますので、申請の難易度は工場・事業場単位に比べると低いです。ただし、設備費のみが対象ですので、工事費その他は全額手出しとなります。対象設備も限定されます。
②電力需要の低減に資する設備投資支援事業費補助金【省電力補助金】
Ⅰ.工場・事業場単位
- 業種や設備は限定していません
- 省エネルギー・省電力となる事業は申請可能です。「どのような省エネ設備に更新するか」、「省エネ取組を行うか」を検討の上、申請ください。
- 省エネルギー・省電力の計算方法は、事業者の方が検討・決定してください。
- 投資回収年が5年以上の事業が対象です。
- 既存の電力使用設備を高効率の電力使用設備に更新する事業を対象とします。ただし、単年度事業に限ります。
- トップランナー制度対象機器を導入する場合は、トップランナー基準を満たす機器のみを補助対象とします。
また、更に以下の2種類の申請要件があります。
(a)省電力設備導入事業
省電力設備への更新、改修等、EMSの新設により、電力使用量を10 %以上削減する事業
※EMSの新設が必須といっているわけではありません。
補助率(中小企業者):1/3以内
補助対象経費:設計費、設備費、工事費
補助金額限度額:上限15億円/年度、下限100万円
(b)エネマネ活用事業
(a)の事業に加えて、SIIに登録されたエネマネ事業者と「エネルギー管理支援サービス」を契約し、SIIに登録されたEMSを用いて、より効果的に省電力化を図り、EMSの制御効果と省電力診断等による運用改善効果により、電力使用量を2%以上削減する事業
※当社もエネマネ事業者に登録されております。
※省電力補助金はエネマネ事業単独ではできません。必ず(a)とセットです。
補助率(中小企業者):1/2以内
補助対象経費:設計費、設備費、工事費
補助金額限度額:上限15億円/年度、下限100万円
申請の難易度は、省エネ補助金の工場・事業場単位と同様です。
Ⅱ.設備単位
- 業種は限定していません。
- 更新設備は設備区分の中から選択してください。
- 補助事業ポータルへ入力いただければ、省エネルギー・ 省電力計算や申請書類の作成が簡単にできます。
既設設備を一定以上の省電力性能の高い設備に更新することで、電力使用量を10%以上削減する事業
対象設備:高効率空調、産業ヒートポンプ、業務用給湯器、高効率ボイラ、低炭素工業炉、変圧器、冷凍冷蔵設備、産業用モータ
補助率:1/3(対象は中小企業のみ)
補助対象経費:設備費のみ
補助金限度額:上限3,000万円、下限30万円
上記のような条件になってます。省エネ計算は、ポータルサイトの入力のみで出来ますので、申請の難易度は工場・事業場単位に比べると低いです。ただし、設備費のみが対象ですので、工事費その他は全額手出しとなります。対象設備も限定されます。
環境省
二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(CO2削減ポテンシャル診断推進事業)
この補助金は、「CO2削減ポテンシャル診断事業」と「低炭素機器導入事業」の2つの事業が2階建てとなっております。
①CO2削減ポテンシャル診断事業
公募により採択された診断機関が、受診事業所を対象に、設備の電気・燃料等使用量の計測やデータ解析並びに設備の運用状況等の診断を行います。診断機関は、CO2排出量、エネルギー消費量削減のために有効と考えられる運用改善や設備導入等の対策を受診事業所に提案するとともに、対策に関する費用・効果等に関する情報を提供します。
※宮城県では当社1社のみが診断機関となっております。
補助率:10/10(ほぼ消費税のみの負担)
補助額上限:約100万円(診断費用が上限を超えることは、ほぼありません)
②低炭素機器導入事業
CO2削減ポテンシャル診断事業を実施した事業所において、システムの省CO2化のため、既存機器・設備の改修、または低炭素機器の導入をすることにより、当該導入事業所におけるCO2排出量の削減を目的としています。
したがって、まずはCO2削減ポテンシャル診断を受診した企業のみが、その後低炭素機器導入のための補助金に応募できる、という流れになります。
補助率:1/2
補助額上限:2,000万円
・全体のスケジュール
宮城県
①省エネルギー・コスト削減実践支援補助金
県内事業者の皆様の省エネルギー設備等の導入と経営コスト削減を支援するため,宮城県内の事業所で行う省エネルギー設備の導入事業に要する経費の一部を補助します。
4つの申請区分(EMS枠,診断枠,県産ものづくり振興枠,一般枠)があります。
補助率
EMS枠 EMS : 1/3以内,省エネルギー設備 : 以下の申請枠の補助率
診断枠 1/2以内
県産ものづくり振興枠 1/2以内
一 般 枠 1/3以内
補助上限額
申請枠に関わらず補助事業1件につき,500万円。
ただし,補助対象経費が100万円以上の事業が対象。
交付決定の順位
公募期間内に申請のあった事業の中から,次の順位で交付決定を行います。
(1)「EMS枠」,「診断枠」,「県産ものづくり振興枠,一般枠(当2枠は同順位)」の順
(2)前号の優先枠順により対象者を確定後,予算額を超過した枠がある場合,当該枠内における補助対象事業による二酸化炭素排出削減量を補助対象経費で除した値が大きい順
(3)前号の順位が同じ場合には,補助対象事業による二酸化炭素排出量削減量が大きい順(4)前号の順位が同じ場合には,補助対象経費が大きい順
※当社の診断でも診断枠が使えます
②再生可能エネルギー等設備導入支援
工場、倉庫、店舗、事務所など、宮城県内の事業所に再生可能エネルギー等設備を導入する事業者の皆様に対して、設備導入にかかる費用の一部を助成いたします。
(1)太陽光発電
1地点あたりの出力10kW以上。ただし、同時に施行する1件の事業として近接する複数の地点に設置する場合は,それぞれの地点における出力の合計が10kW以上で、かつ、1地点当たりの平均出力が4kW以上。
(2)風力発電
1地点あたりの出力10kW以上20kW未満
(3)バイオマス発電
発電出力5kW以上1,000kW未満
地域内で発生したバイオマスの依存率60%以上
(4)水力発電
発電出力1000kW以下(システムの定格出力でkW単位の小数切捨)
(5)地熱発電
バイナリーサイクル発電方式に限る。
(6)太陽熱利用
集熱器総面積10平方メートル以上
(7)温度差エネルギー利用
熱供給能力0.1GJ/h(0.02Gcal/h)以上
温度差エネルギー依存率40%以上
(8)バイオマス熱利用
バイオマスから得られ、利用される熱量0.2GJ/h(0.047Gcal/h)以上
地域内で発生したバイオマスの依存率60%以上
(9)雪氷熱利用
冷気・冷水の流量を調節する機能を有する施設であって、雪氷熱の供給に直接供される設備
(10)地中熱利用
暖気・冷気,温水・冷水又は不凍液の流量を調節する機能を有する設備
ヒートポンプを設置する場合は、冷却能力又は加熱能力が10kW以上
(11)ガスコージェネレーション
発電出力5kW以上
(12)燃料電池 発電出力
3kW以上
(1)~(5)の対象設備と併せて導入する蓄電池
・対象システムを設置する敷地内の土地又は建物に容易に取り外すことができない状態で固定され、かつ、当該対象システムから供給される電力を蓄電するもの
・併設することにより,再生可能エネルギーの有効な活用に資すると認められるもの
・導入する新エネルギー発電設備の出力の同等以下
補助率
(1)の対象設備(自家消費するもの):1/3以内(県内産パネル使用の場合 1/2以内)
(2)~(12)の対象設備:1/2以内
(1)~(5)の対象設備と併せた蓄電池:1/3以内
補助限度額
(1)の対象設備:500万円
(1)の対象設備と併せて導入する蓄電池:500万円
(2)~(12)の対象設備(自家消費):2,000万円
(2)~(12)の対象設備(売電):1,000万円
(2)~(5)の対象設備と併せて導入する蓄電池:(2)から(5)の設備と併せ補助限度額を上限とする。
今回は宮城県で使用できる補助金をご紹介いたしました。その他にも様々な補助金がありますので、お気軽に当社までご相談ください。
(次回につづく)
◀前の記事:もっと知りたいエネマネ講座⑧ ~これからのエネルギーシステム~
▶次の記事:もっと知りたいエネマネ講座⑩ ~まとめ「STOP!自然災害と温暖化」~
表伸也(おもて しんや)
ミカド電装商事(株)取締役環境・エネルギー本部長 上席エネルギーコンサルタント
大手通信会社のエネルギー管理士として、大規模データセンター等のエネルギー管理業務に長年携わり、数多くの電力設備・空調設備等の省エネ実績を持つ。近年では、太陽光発電設備の設計・施工等創エネに関する実績も豊富な、エネルギーマネジメントのエキスパートである。2018年より環境省環境カウンセラー。
(このシリーズの全記事はこちら)