【ヒストリー】43.電気機関車③ ~番外編 東北の物流を支えた長町機関区

    長町機関区の車両点検

    2回に渡って電気機関車の歴史を書いてきましたが、電気機関車の数は年々減っています。電気機関車は、車両の下にモーターを備えた電車と異なり、駆動しない客車を引いて走るため、加速が悪くスピードも出ないからです。

    ですが、まだまだ現役です。その舞台は貨物の輸送です。今ではそれもトラック輸送に王座を明け渡していますが、東北地方では1980年代に入るまで高速道路がなく、物資の輸送は鉄道が主流で東北本線はその大動脈でした。それらの車両のメンテナンスを長く行ってきたのが今はなき長町機関区です。機関区というのは、動力車の運転,運用,整備,保守にあたる鉄道の現場機関ですが、現在のあすと長町(仙台市太白区)の場所にはJRの長町機関区や広大な貨物ヤードがあり、長町機関区では大きな体育館のような建物の中で、電気機関車の点検整備が行われていました。

    廃止後もしばらく残っていた長町機関区(2000年)

    長町機関区は、大正15年に(旧)仙台機関庫から貨物と近郊のディーゼル車を分離する形で発足した長町機関庫が前身です。昭和11年に長町機関区に改称し、所属車両も時代と共に変遷してきましたが、平成11(1999)年に廃止され、宮城野区にある現在の仙台総合鉄道部に統合されました。現在の長町周辺は仙台の副都心として大きく変貌していまいましたが、長町機関区は東北本線の利用者や近隣の人々(編集部含む)にとっては、思い出に残るとても懐かしい風景なのです。


    写真の出典 上:ED75のメカニズム(機芸出版社/1998)下:長町機関区|撮り鉄「回送」録