これでなっとく!エネルギー(8)2024年の「今さら聞けない半導体って結局なに?」

    みかドン ミカどん

    今まで太陽光LEDの記事で半導体を取り上げましたが、昨年末報道された「宮城に半導体工場ができる」というニュースを踏まえ、今回はそもそも「半導体ってなに?」というテーマでまとめてみました。(このシリーズのリストはこちら

    半導体とは?最初の製品はトランジスタから

    SBIホールディングスと台湾の半導体受託生産大手、力晶積成電子製造(PSMC)が宮城県大衡村に8000億円をかけて半導体の工場をつくるそうです。いったいここで何がつくられるのでしょうか?そもそも半導体って何でしょうか?

    半導体復権へ大きな一歩…SBI・台湾PSMCが8000億円投資で新工場、宮城を選んだ理由

    半導体という言葉は英語の「semiconductor」を和訳したものですが、英語の「semi」には半分という意味のほかに「部分的な」というニュアンスも含まれます。一方、日本語の「半」は半熟卵や半透明のように中途半端でどっちつかずの状態を指す言葉でもあるので、私は長い間、半導体の「半」の意味がよくわかりませんでした。

    半導体とは不純物の導入や熱や光・磁場・電圧・電流・放射線などの影響で、その導電性が顕著に変わる性質を持つ物質のことです。簡単に言えば「条件によって電気が流れたり流れなかったりする物質」ということになります。

    地球上に存在する92種類の元素のうち半導体の特性がある物質はシリコン、ゲルマニウム、セレン等の数種類しかありません。中でもシリコンは半導体材料として極めて安定しており、現在半導体の材料はほとんどシリコンが使われています。

    (画像:モノタロウ

    最初の半導体製品は1940年代から通信システムやラジオの電子回路に使われ始めたトランジスタでした。

    たとえばシリコンは4個の荷電子を持つ元素ですが、そこに荷電子5個のリンや3個のホウ素などを注入すると内部のアンバランスにより電子に動きが生じ、そのままでは電気が流れないシリコンが電気を通す物質に変化します。

    それらの種類をうまく組み合わせてつなぎ方を工夫したものがトランジスタと呼ばれる半導体製品です。

    (画像:アレスネット

    トランジスタは小さな電気信号だけで回路の特定部分の電流を止めたり流したり増幅させたりすることができるコンパクトで堅牢な製品だったため、今までその機能を担っていた真空管は次々とトランジスタに置き換わり、トランジスタはその後、様々な電気製品の内部回路になくてはならないデバイスになりました。

    と、ここまでは一般的な説明ですが、いまネットや新聞等で「半導体」の記事を読むと、特定の物質やトランジスタ製品をさしているとは思えません。では現在の「半導体」にはどんな意味があるのでしょうか。

    いまは「半導体」と言えば「集積回路」のこと

    (画像:FAプロダクツ

    コンピュータが一般に普及し、コンピュータのみならず様々なシステムや他の製品においても膨大な機能を有する電子回路を必要とする現在では、トランジスタはコンデンサ・抵抗器と共に、幾重にも組み合わせられた緻密で複雑な電子回路として、ウエハーと呼ばれる薄いシリコンの基盤の上に直接焼き付けられるようになりました。

    これを集積回路(IC)と呼び、より集積度が高い大規模なものはLSIと呼ばれますが、今ははほとんど同意に用いられているそうです。そして現在「半導体」といえばこの集積回路をさすことがほとんどです。

    (画像:日立ハイテク

    よって国内の半導体工場ではシリコンのインゴットからウェハーを切り出して回路を焼き付けたり、それらを切り出してパッケージに封入しムカデのような足を持つICチップとして完成させるなどの工程が行われています。

    ちなみにこれら半導体の製造は以下のように3つの工程に分けられ、どの生産をおこなっているかはその工場によって異なります。

    • 設計:フォトマスクを作成する工程、回路パターン、レイアウト設計を行う工程
    • 前工程:シリコンウェハー上に、半導体チップを作る工程
    • 後工程:ウェハーからチップを切断して、製品として組み立てる工程

    東北の半導体および半導体関連工場が実際に何をつくっているのかは、以下のPDFの裏表紙で確認ができます。関心がある方はご覧になってみてください。

    岩手県半導体関連企業マップ(PDF)

    半導体工場建設地に宮城が選ばれた理由

    12インチ基盤の一例(画像:umejun.jp)

    今年の後半に着工し2027年の生産開始を目指す宮城・大衡村の半導体工場で生産されるのは12インチの基盤です。建設を決めた力晶積成電子製造(台湾)では日本進出を機に車載用の半導体(集積回路)を現行の1割から3割に引き上げたいとのこと。

    12インチの基盤とは直径300mmのシリコンウェハーのことですが、ウェハーの厚さが薄いほど製造原価は下がり、直径が大きいほど一度に生産できる半導体チップの数が増えるため、ウェハーの厚さとサイズは、さらに薄く、大きくなる傾向にあります。

    各ニュース記事によれば、宮城が選ばれた背景には同じ大衡村にトヨタ自動車東日本があり自動車関連のサプライチェーンが整っていること、隣接する大和町には半導体製造装置のメーカーである東京エレクトロンがあって周辺に関連産業が林立していること、そして東北大学の人材や地価の安さなども決め手になったようです。

    新工場で働く従業員は最大で1200人規模になる見通しですが、有能な理系人材の県外流出を防ぐと見られる反面、地域の企業は雇用の面で苦戦を強いられるかもしれません。

    これまでは半導体と聞いてもなかなかイメージがわかずピンと来ない部分もありましたが、これを機に今まで以上に興味をもって、報道などに耳を傾けたいと思います。

    (ミカドONLINE編集部)


    引用/参照記事 東北のシリコンロード再び 宮城・大衡村に半導体工場 化合物半導体とは|半導体事業部|住友電工 半導体製造工場の仕事内容と工程を徹底解説!向いている人とは? | バイトルマガジン BOMS(ボムス)  半導体の基板「シリコンウエハー」ができるまでをわかりやすく解説 | 株式会社菅製作所 台湾半導体3位の力晶、「車載」を3割に 宮城新工場が要[会員限定記事] – 日本経済新聞 など