
近年では、スマートウォッチなどの身につけるデバイスがますます進化しています。
活動量を測定したり、心拍測定機能で病気を見つけた、なんて人も。ついには、自分の動きで発電するウェアラブルが現実になりつつあります。
靴や衣類など、歩いたり動いたりするだけで、電気が生まれる世界。
今回は、そんなウェアラブル発電の可能性に迫ります。

動きや振動を感知して電気に
ウェアラブル発電では、日常の動きをエネルギー源として使います。
例えば、
・歩いた時の振動や衝撃
・体温と外気の温度差
・衣服や布の変形 など。

ある企業は「振動発電デバイス」を開発し、手を振る、回す、傾けるなどの動作で電気を作るモジュールを紹介しています。複数の動作形式に対応し、往復動作で100mwを超える出力を可能にしました。また、最新の研究では、布にコイルを織り込むことで、体そのものをワイヤレス充電にする試みも報告されています。
衣服がそのまま電源供給インフラになる、という可能性を秘めている訳です。
さらに、振動、熱、光などの複数の発電方式を組み合わせ、電池交換や充電不要の長時間動作を実現するウェアラブルの研究も進んでいます。
すでに実用化されつつある電池なしウェアラブル
靴底や衣服などに発電モジュールを組み込み、歩行、振動などの日常動作で電力を得ることが可能になり、照明やセキュリティ機器への応用が開始されています。
また、医療機器の電池交換の手間をなくすためのバッテリーレスセンサーを導入し、継続的なデータ取得を可能にする研究も進められています。
将来的には、衣服そのものが「充電できるインフラ」になり得る可能性を秘めています。
私たちの生活に馴染む日もそう遠くはなさそうです。
抱える発電量の壁、難しい設計
ウェアラブル発電は、多くの可能性を秘めている一方で、問題もいくつか抱えています。
まず、体の動きから得られる電力はどうしても小さく、スマートフォンのような高出力が必要な機器を直接動かすには力不足です。また、発電素子を衣類やアクセサリーに組み込む際には、重さや装着感、動きに対する耐久性といった「身につけるものならでは」の課題が出てきます。
さらに、発電量は体の動きや気温、環境の影響を受けやすいため、常に一定の電力を確保するのは簡単ではありません。
発電したとしても、電気をそのまま使えるわけではなく、デバイス全体が省エネ設計になって初めて成り立ちます。
ウェアラブル発電は、まだ発電量や使いやすさに課題はあるものの、私たちの動きや体温といった身近なエネルギーをそのまま電力に変えられる点で大きな可能性を持っています。
大がかりな設備ではなく、人の生活そのものが電力の源になる。
ウェアラブル発電は、そんな未来への一歩を確かに進めている技術です。
(ミカドONLINE 編集部)
参考/引用記事:人の歩行運動からの発電性能を約90倍に高めることに成功 ―充電不要な小型ウェアラブル端末開発への応用が期待―,ウェアラブルデバイスを充電できるウェアラブル発電器,バッテリーレス IoT / 振動発電デバイスの技術紹介



























