<2014年6月号の過去記事「スマートグリッド~電気とITの融合~」>のその後
今回の特集シリーズは「検証!あの記事は今?」と題して、ミカドONLINEで過去に掲載した内容が現在どうなっているのか?をテーマに3回シリーズでお届けいたします。
我が家もスマートメーターになりました
今年の5月30日、我が家の電力メーターがスマートメーターになりました。数日前に東北電力様から電力量計(メーター)交換の通知が郵便受けに入っていて、もしかしたら?と思っていましたが、工事完了後に渡された用紙を見ると、やはり「なお、本工事において、スマートメーターへの取替を完了しております」の一文が記載されていました。
ミカドONLINEの特集記事でスマートメーターについて書いたのが2年前の2014年6月。そのときはまだ計画段階でしたので、これから特別なことが始まるような印象があり、試験導入されているという装置も現在のメーターとは異なる形のものでした。ですが、実際に私の家で交換されたメーターは従来型とほぼ同じ外観で、作業時間もあっという間の30分(その間、10分前後、停電します)。スマートメーターに関しての説明は特になく、とてもあっさりしたものでした。
スマートメーターとは?
スマートメーターとは、使用電力をデジタルで計測し、メーター内に通信機能を持たせた次世代電力量計です。そのため今までのような円盤型の計測装置がありません。また、従来のメーターは需要家の電力使用量を電力会社に発信する仕組みはありませんでしたが、スマートメーターは30分毎の数値を電力会社に送ります。それによって電力会社は現在必要な電力量をほぼリアルタイムに知ることができ、予想をベースに発電している現在と異なり、今後はニーズに対応したきめ細かな発電が可能になります。結果的に発電コストの無駄が省けるとともに、天候に左右されて不安定になりがちな再生エネルギー(太陽光、風力など)からの出力変動を補います。検針の必要もなくなるため、人件費の削減が強調されることも多いのですが、前述の理由で電力の安定化と省エネにも大きく貢献する仕組みと言えるでしょう。
メーターデータ管理システム(MDMS)概略図
(出典:東北電力)
スマートメーターの通信と活用
スマートメーターの通信方式は、スマートメーターの端末同士が通信し合ってデータをリレー転送するマルチホップと呼ばれる方式や、携帯電話網、電力線通信(PLC)などを組み合わせて実現されます。また、電力使用状況を電力会社が利用者にフィードバックするBルートと呼ばれるサービスも昨年から各電力会社で開始されました。これはスマートメーターが計測した30分ごとの値を利用者のHEMS機器などに送信するもので、電気使用量の見える化や、対応する家電機器の自動制御が可能になるなど、効率的な電気の使用に役立ちます。
https://www.tohoku-epco.co.jp/news/normal/1190125_1049.html
2023年までに設置完了予定
東北電力では2015年1月から現在設置しているメーターの検定有効期間満了を迎えるものから順次スマートメーターに取り換え、2023年度末までにすべての利用者への設置を完了する計画とのことです。2年前に記事を書いた時には、詳細な情報が少なく明確にイメージできなかったスマートメーターですが、その後、規格や技術的な仕様も定まり、現在は順調に普及しているようです。関連メーカーの業績も好調とのことですよ。
<各電力会社のスマートメーター導入計画>
(出典:平成26年「スマートメーターの導入促進に伴う課題と対応について」経済産業省)