メルマガ110号からの新連載です!当社が扱っている「電気」の分野でも「エネルギー」の分野でも様々な単位がありますよね。今回からは、電気やエネルギーだけでなく色々な単位の成り立ちや歴史や面白エピソードなどをご紹介していこうと思います。記念すべき第一回の今回はプロローグとして、最古の単位についてまとめてみました。
そもそも単位とはなんでしょうか?コトバンクによれば「ある量を数値で表わすための比較の基準」だそうですが、私個人としては、他人と情報共有するときの共通言語だととらえております。車を運転する人なら、時速60km/hと言われて「あぁ、あの感じね」とイメージが付き、1坪と言われたら「畳二畳分の面積」とすぐに思い描けるような?
単位の歴史は計量の歴史であり数字の歴史でもありますが、現存する世界最古の数字の記録はフランスの遺跡で見つかった、月の満ち欠けの記録であると言われています。これはいまから1万3500年前の旧石器時代後期にマンモスの骨に刻まれたもので、7~8日ごとに刻みが付けられていて、新月、上弦、満月、下弦、の四つの周期になっているそうです。
人がいつから言葉を話すようになったのかは、学説が定まっていないので、それに名前が付いていたかどうかは不明ですが、これは月を基準にしているので、人類が最初に意識した単位は「時間」ということになるのかもしれません。
次に出てきたのは重さや長さの単位の様です。メソポタミア文明を開いたシュメール人は、指や腕を基準に長さを表現したようですが、他の地域では、視覚や聴覚を基にした単位もあったそうです。
たとえば、シベリアのブカーという単位は雄牛の角が見分けられなくなる距離を基準としており、条件により1.7km~7.7kmと、随分幅のある単位ですが、当時はそれでも意思疎通が成り立っていたのでしょうか?
また、インドでは、ゴルータまたはクローシャと呼ばれる距離の単位があり、これは牛の鳴声が届く距離ということです。三~七世紀の文献から現代の単位に直すと、1.8Km~3.6Kmに相当するらしいのですが、きわめて静かな平地で馬のいななきや犬の吠える声のきこえる実際の距離は2~3Kmとのこと。
そのぐらいの大雑把な感じでも、情報共有が成立していたのなら、太古の昔は本当に牧歌的でおおらかな世界だったのだと思います。次回からは現在使われている様々な単位について歴史を紐解いていくことにします。