今回はヘルツです。ヘルツに関してはこのサイトの電波の歴史シリーズで以前取り上げていますが、今回は単位という側面からまとめてみました。
ヘルツは波の単位です。1秒に1回が1ヘルツ
ヘルツは波の単位です。1秒に1回(ひと山)の波が1ヘルツです。
仙台のTBCラジオ(東北放送)は1260kHzなので、1秒間に1260×1000回振動する電波の波で番組が送られています。※k(キロ)は1000をひとまとめにする単位)
ヘルツは主に電波や電磁波や音などの周波数の単位として使われていますが、周期的な波を表す単位なので、他にも心電図やパソコンの処理能力(CPUのクロック周波数)を表すときにも使われています。
パソコンが波?と疑問に思われる方もいらっしゃると思いますが、パソコンはすべての情報を1(電圧が高い)と0(電圧が低い)に置き換えて二進数に換算して処理をしています。
(過去記事)単位の歴史(12)~ビットってなに?二進数がわからなくても大丈夫~
そのためケーブルを流れる情報は1(電圧が高い)と0(電圧が低い)を表す連続した波の状態になっており、単位にヘルツが使われているのはそういった理由からです。
周期的な波であればヘルツに換算することができるので、海面のうねり(波)は何ヘルツか計算してみました。こちらのサイトによると”中位のうねりの周期は8.1秒~11.3秒、長いうねりは周期が11.4秒以上”だそうです。
仮に12秒周期だとするとそのときの海の波の周波数?は0.83Hz(ヘルツ)ということになりますね。
電波の発見者のヘルツは「何の役にも立たない」と言った
ヘルツという単位は電波を発見したドイツの物理学者ハインリヒ・ヘルツにちなんで付けられました。
国際的な標準になったのは昭和の初めで、1930年に国際電気標準会議で制定され、1960年に国際度量衡総会で、それまでの単位名称「サイクル毎秒」を置き換えて採用されました。
日本ではその後もしばらくサイクル毎秒(記号:c/s, cps)という旧単位が使われていましたが、1972年7月1日を以ってヘルツに変更されました。
ですが(旧)計量法には、全面改正される1997年9月30日まで残っていたそうです。
ヘルツは若い頃から非常に優秀な研究者だったので、マックスウェル理論を証明する賞金のかかった研究に応募するように指導教官に勧められました。マックスウェル理論というのは電磁波の存在を予言した理論ですが、当時はまだ誰もその正しさを証明できていなかったからです。けれどその提案をヘルツは断りました。時間がかかって大変そうだったからです。
ヘルツはその後生活のために専門外である数学物理学の指導者になったことからマックスウェル理論が理解できるようになり、さらに偶然が幸いして電波(電磁波)の発見に至りました。
ところがヘルツは学問を突き詰める学究肌の研究者だったらしく、発見後に弟子が「これは何の役に立つのか」と尋ねたところ「何の役にも立たない」と答えたそうです。それをどう生かすのか?ということよりも実証することのほうが最優先で、活用に興味はなかったのかもしれません。
そのヘルツが「何の役にも立たない」と言った電波などの単位に使われているのは面白いですよね。ヘルツに関しては以下の過去記事も合わせてご覧ください。
(過去記事)電波の歴史~②電波を発見しても電波の価値は見いだせなかったヘルツ
(ミカドONLINE編集部)
参考/参照記事 「うねり」と「周期」について など