単位の歴史(13)~実際の「1反」の面積はこれぐらいです~

    1反は正方形にすると31.5m×31.5mの面積(300坪)

    農家やご年配の方と話をしていると、田んぼの面積を表す単位として、1町(ちょう)1反(たん)という古い日本の単位がよく出てきますが、田畑になじみがないとどれぐらいの面積を指すのか、すぐにピント来ませんよね。

    今回は「反」を取り上げて解説いたしますと、1反というのは正方形にするとだいたい31.5m×31.5mの面積です。・・・と言われてもなかなかイメージできないので、Googleマップの縮尺から割り出して当社の面積と比較してみたのが上の図です。
    これを見ると、赤い枠線が隣接する建物や隣の立体駐車場にかかっているので、当社の敷地は1反にはチョイ足りないという感じでしょうか^^

    サザエさんの家の敷地なら約4軒分

    1反を平方メートルに換算すると1反=約991.74平方メートルとなって端数が出てしまいますが、坪や畳に変換するなら、もちろんきれいに換算できます。1反は300坪で畳600枚分(600畳)なのです。
    1反は600畳ですから、6畳間が100部屋分ともいえます。サザエさんの家の間取りを見てみると、サザエさんとマスオさんのご夫婦の部屋が6畳間なのでそれの100倍分。
    これを図にしてみると、1反の土地にはサザエさんの家の敷地が4つぐらい入りそうですね。

    古い面積の単位は町>反>畝>歩

    古い面積の単位の簡易換算表です。(現在、1畝はほとんど使われていません)

    坪(つぼ) 平米(m2) 歩(ぶ) 畝(せ) 反(たん) 町(ちょう)
    1歩 1坪 3.3m2 0.0102畝 0.0011反 0.0002町
    1畝 30坪 99m2 30歩 0.1反 0.01町
    1反 300坪 990m2 300歩 10畝 0.1町
    1町 3,000坪 9,900m2 3,000歩 100畝 10反

    1畝(せ)から1町(ちょう)までは10倍ずつ増えていきますが、ちょうどいい按配に日本の1町がメートル法の1ha(ヘクタール。100m×100m)とほぼ等しくなります。そのため1町と1haがほぼ同義語として使われることがあり、話が余計にややこしくなってしまいますよね。

    ですが意外にもそのお陰で、国際的に単位を統一するときには、ヤード・ポンド法からの移行に困難を極めた欧米諸国と異なり、日本のメートル法への移行は(土地面積に関しては)比較的スムーズに進んだそうです。
    ちなみに1反は約10a(アール。1aは100平方メートル=10m×10m)なので10m四方の土地10個分の広さと捉えてもイメージしやすいと思います。

    古い日本の単位を尺貫法と呼びますが、現在ではこの単位を取引や証明に使うことは禁止されています。けれど住宅の分野では古くから日本家屋が尺貫法で作られているため、設計図面上の寸法はメートル法を用いて表記されますが、広さを坪や畳で表すなど伝統的な目安として利用されています。

    「反」の起源は中国の単位

    大宝律令の編纂に関わった藤原不比等(明治時代の作)

    反、町などの単位は、大化改新(西暦645年)のときに中国の度量衡体系(尺斤法)が日本に取り入れられたものです。
    しかし中国には「反」という単位がないため(尺はある)なぜこの文字が使われるようになったのかは不明です。

    一説では当時の中国で長さの単位に使われていた「端」が、何らかの形で変化したと言われています。(長さの単位としての「端」は反物の長さを表す「反」のほうに生きています)

    またほかには、日本では古来から大人一人が1年間に食べる米(1石=こく)が取れる田んぼの面積を「段(きた)」としてきたので、それが「反」に変化したという説もあります。段は現在ではそのまま「だん」と読みますが、反の同義語として今でも使われることがあるようです。

    最初に単位が定義されたのは大化の改新

    律令制度以前の日本では「1反=米1石がとれる面積」とされ、地形や土壌の違いで面積が異なっていても特に問題はなかったようですが、国が国民を管理する律令時代に入るとそれでは不都合になってきました。
    そこで大化の改新の詔(みことのり)では1段の広さを以下のように定めました

    およそ田は、長さ三十歩、広さ十二歩を段とせよ

    これはすべての土地は国のものであるという考えのもとに、家族数に応じて農地を貸与して米を作らせるため(班田収授)、面積を統一する必要があったからです。
    田んぼの面積を定める法律はやがて大宝律令に盛り込まれましたが、そのときの面積は30歩×12歩=360歩(ぶ)でした。それがやがて豊臣秀吉の太閤検地によって300歩に減らされ(実質増税!)今に至っています。

    ちなみに面積を表すときに1町歩(ちょうぶ)、1反歩(たんぶ)と「歩(ぶ)」を付けた呼び方をするときがありますが、これはその単位四方の土地という意味です。
    前述の詔では「歩」を長さの単位として使っているので冒頭の写真の赤枠がまさに1反歩の土地ということになりますが、私の感覚ではそこまで厳密に考えているケースはいまは少なく、話した感じの語呂がいいので使われている気もしますが、みなさんはいかがでしょうか。