mmHgを今まで意識したことがまったくありませんでした(!)
今回は単位の歴史の最終回です。取り上げるのはmmHgです。といっても聞いたことがないし読み方もわからない・・・と思って調べてみたら、なんとmmHgは血圧に使われている単位でした!
そこで先日、市民センターで測ってみた血圧のレシート(?)を取り出してみたら、mmHgという単位がちゃんと記載されているではありませんか!恥ずかしながら今までこの単位はまったく目に入っておらず、意識したこともありませんでした・・・
mmHgはPa(パスカル)に統一される前の圧力の単位
もともと圧力はmmHgという単位が使われていました。これは、1643年にイタリアの科学者トリチェリが、ガラス管に水銀(Hg)を入れて大気圧を測定したところ、ガラス管の水銀の高さが760mmだったことに由来します。
これは大気圧が760mmの水銀柱を支えているということです。ということは大気圧の760分の1の圧力で水銀柱1mmを支えることができるということです。
そこで、1mmの水銀柱のもたらす圧力を1mmHgという単位として規定し、1気圧を760mmHgとしたのです。
現在、国際単位系において圧力の単位はPa(パスカル。気圧のヘクトパスカルhPa等で使用)に統一されていますが、日本国内の単位法では、例外的な措置として、血圧を示す単位としてのmmHgの使用が認められ、その使用が継続されているそうです。
mmHgは何て読むの?
今まで意識したことがなかった単位なので読み方がわからず、ネットで検索すると以下のように様々な呼び名が登場しています。
・ミリエッチジー ・ミリメートルエッチジー ・ミリ水銀 ・ミリメートル水銀 ・ミリメートル水銀柱 ・水銀柱ミリメートル
個人的な疑問ですがたとえば「水銀柱ミリメートル」というのは、実際に医療の現場で使われていることがあるのでしょうか?一度医療従事者の方に現場での使われ方を伺ってみたいものですが、私たちが血圧の話をするとき単位を付けずに数字だけで会話するように、関係者の皆さんも日常的には省略しているのかもしれませんね。
そう思って検索してみると、やはり医療の現場では血圧に関して「単一をいちいち口にしていないようだ」と書かれたブログを発見しました。しかも現役のドクターでさえ、明確に答えられなかったとのこと!よろしければ以下を読んでみてください。
トリチェリってどんな人?
mmHgの由来となったトリチェリ(エヴァンジェリスタ・トリチェリ 1608年 – 1647年)はイタリアの物理学者/数学者です。
トリチェリは失明した晩年の G.ガリレイの秘書をしながら指導を受け、力学、光学、流体に関する研究を行ないました。
特に水銀を使った上の図のような装置で初めて意図的に真空をつくり出し大気圧の存在も明らかにした「トリチェリの真空」が有名です。
トリチェリは水銀を満たしたガラス管を水銀溜まりの中で逆さにしても、水銀が下に落ちて行かないのは目に見えない大気圧が水銀を押して、落ちて行こうとする水銀の力と釣り合っているからだと考えました。
その高さはガラス管をまっすぐに立てても斜めにしても、常に76cmのところで止まりました。そこで水銀を1mm押し上げる気圧の力が1mmHgと定義されたのです。
この単位は別名Torr(トル)とも呼ばれ(1mmHg=1Torr)こちらはトリチェリの名前から命名されています。
トリチェリは腸チフスのため39歳で亡くなってしまいましたが、血圧の単位として広く普及したmmHgは国際単位系で気圧がパスカルに統一されても、日本では継続使用が認められています。
皆さんも血圧を測ったときには単位を確認して、トリチェリの功績を思い出してくださいね。
(ミカドONLINE編集部)
引用・参照記事/画像サイト 圧力の単位、mmHgとTorrとは? 読み方は? 血圧の単位「mmHG」の読み方を知りたい 血圧の単位mmHg,今後はどうなる?【2013年「期限の定めなくその仕様を可能とする措置」により継続使用に】 など