今回は当社の会長からのリクエストでチドメグサをご紹介します。私はこの雑草の名前を知りませんでしたが、検索して写真を見たら今回は私のほうが「これかー!」と叫んでしまいました。皆さんもよく見る雑草です。
チドメグサなのに止血効果は期待できない?
チドメグサは漢字で血止草と書くウコギ科の多年草です。北海道を除く日本中のどこでも見られ、道端や人家の近くに根をはやして地中深くに茎を伸ばしながら増えていきます。
サイズはとても小さく、葉の直径はだいたい1cm前後なので、まとまっていなければ見過ごしてしまいそうな大きさです。横に伸ばした茎の節から次々と根や葉を出していくので、地面にへばりついているように見える植物です。
チドメグサの仲間には収斂作用による止血成分が含まれ、止血の民間薬として古くから利用されてきたようです。それが名前の由来にもなっており、たとえば水田や沼などでヒルに吸われたときに葉を揉んで患部に貼り付けると血が止まるとのこと。
ところが日本植物生理学会によると「止血有効化学成分は薬学的に同定されてはいない」そうです。収斂作用に関しても、多少の差を問わなければ他の植物と同程度らしいのです。
(参考)チドメグサの効能について | みんなのひろば | 日本植物生理学会
もしかするとチドメグサは湿気を好むため、ヒルがいるようなじめじめした場所によく生えていて、とっさのときでも手軽に利用しやすかったのかもしれませんね。
芝生の中に生えるゴルフ場の大敵です
さて湿った場所が好きなチドメグサは、スプリンクラーや池の水を求めてゴルフ場にも生えてしまうことがあり、その場合は除草対策がとても大変な雑草とされています。
繁殖力が旺盛なチドメグサは芝生の中に入り込んで根を張ってしまうこともよくあるらしく、芝生に侵入すると芝生の根と絡み合い、引っこ抜くと芝生まで傷めてしまいます。
そこで芝生を傷めずピンポイントでチドメグサなどに効く除草剤も販売されているようですが、あるブログの管理人さんは「ゴルフ場を対象にしている薬剤は値段が高い」と感じており、その方は藻、苔類に効果がある薬剤で代用されているようです。
(参考)カップ位置変更、4.7mmカット、チドメグサ駆除 – ゴルフと芝生とDIY
侵略的外来種のブラジルチドメグサは水槽の水草として輸入されたもの
チドメグサの仲間のうち、外来種のブラジルチドメグサは侵略的外来種の中でも特に規制・防除が必要な「特定外来種」に指定されており、九州などでは川を覆いつくすぐらいに大発生して生態系を壊し、治水上の大きな問題にもなっています。
その一方で元から日本にあった在来種のチドメグサは山などの表面を覆い乾燥を防ぐグランドカバープランツとして注目されていたり、水中でも育つことからテラリウムやアクアリウムでも人気があるそうです。
多くの人が駆除したいと思っている傍らで、育てたいと思う人がいる現実はなかなか複雑です。実はブラジルチドメグサも鑑賞魚の水槽に入れる水草として輸入されたのが始まりでした。(現在は輸入も栽培も禁止)
チドメグサを育てている人は不要になってもそのまま野外に捨てないでほしいですよね。ワニやピラニアだけでなく植物も捨て方を間違えると、とんでもないことになるようです。
(ミカドONLINE編集部)
出典/参考記事:雑草であるチドメグサについて/EPARKくらしのレスキュー 農村の草花「チドメグサ」/日本農研機構(PDF) 特定外来生物ブラジルチドメグサはくえないやつだった/ざざむし。 など