(63)事例で見る蓄電池の重要性~メインの火力発電所をまるっと蓄電所に切り替え~

    みかドン ミカどん

    昨年、ハワイのオアフ島で大規模な蓄電所がオープンしました。再生可能エネルギーの普及に伴い、蓄電池の役割がますます重視されている今日この頃です。

    ハワイ州が思い切った施策を展開

    (画像:Kapolei Energy Storage

    昨年(2023年)12⽉にハワイのオアフ島で大規模な蓄電所が稼働を開始しました。カポレイ蓄電所という名前の出力185MWの蓄電所です。

    このサイトでも何度かご紹介をしていますが、蓄電所とは、大型蓄電池を多数設置して電気を貯めておく施設で、風力や太陽光などの再生可能エネルギーで余剰となった電力を蓄え、電力不足や需要が集中する際に放出する働きをするものです。

    (過去記事)(58)大型蓄電池設備で収益を!〜 活性化してきた「蓄電所ビジネス」とは?〜
    (過去記事)(41) ~JFEエンジも参入を表明。来年新しく始まる蓄電池ビジネスってどんなビジネス?~

    蓄電所では、1秒未満の短い応答時間で電力系統の管理や需給調整を行うことができるため、実効性の高い再生可能エネルギー活用の新たな担い手として近年注目されています。

    自然環境を大切にするハワイでは脱炭素に大きく舵を切り、思い切った施策を取りました。100万人が住むオアフ島の、ピーク需要の17%をカバーできる島内のメイン石炭火力発電所を廃止して、その機能をすべて昨年末に稼働したカポレイ蓄電所に切り替えたのです。

    重要性を増す蓄電池の役割

    (画像:Kapolei Energy Storage

    ハワイ州は6つの島から構成されますが、電力系統が米大陸本土とつながっておらず、島同士を結ぶ海底送電ケーブルもありません。

    各島の電力系統が孤立しているため、電気料金も米国本土の3~5倍と非常に高くなっています。

    また電力系統が孤立しているということは、電力の需給調整も島内で完結させなくてはならず、自然条件に恵まれて太陽光発電が普及しつつあるハワイでは、その点も大きな課題でした。

    オアフ島唯一にして最大だった石炭火力発電所の代替施設となったカポレイ蓄電所は、ほぼ同等となる185MWの出力を持ち、158台ある系統用大型蓄電池はテスラ製です。

    再生可能エネルギーの活用に伴う⼤きな周波数変動に対しても、250ミリ秒という極めて俊敏な応答速度できるとのことで、この点でも火力発電を大きく上回っています。

    日本も同じ島国であるため、脱炭素の行方として大いに参考になる事例となりそうですが、もしこういった形で化石燃料の発電所が次々と蓄電池を利用した蓄電所に切り替わっていくのであれば、蓄電池の役割もますます重要性を帯びてくると思われます。

    私たちミカド電装商事は蓄電池を扱う会社なので、これは注目すべきニュースだと思い、今回はご紹介をさせていただきました。皆さんに蓄電池の大切さが伝われば幸いです。

    (ミカドONLINE 編集部)


    参考/引用記事: ハワイ州最大の系統用蓄電池、州最後の石炭火力を代替 | 日経クロステック(xTECH) など

    記事一覧